048「特訓!ヤン式拳法」
「ちょっ!? ラ、ラルフ⋯⋯っ!!」
彼女にさも愛の告白をしたような状況だったので、私はそんなつもりではない旨を説明した上で改めてレンレンに拳法を教えてくれるよう懇願した。
「べ、別にいいけど⋯⋯ウチも基本の型くらいしか教えてもらってないよ? それでもいいの?」
「いい! 全然いい! 基本の型を教えてくれたら自分なりに改良するから! いや、むしろ改良したいので!」
ちなみに、この拳法の名称は『詠春拳』ではなく、『ヤン式拳法』というものらしい。私としてはレンレンから基本型を教えてもらったあと、ブルー◯リーのように独自の拳法を作りたいと考えていたので、むしろちょうどよかった。
「わ、わかったアル」
「ありがとう! じゃ、じゃあ! 明日の早朝とかどうかな?!」
「ええっ?! 明日の早朝!!」
「お願い!」
「じゃ、じゃあ、今度王都にあるスイーツを買ってほしいアル!」
「仰せのままに!」
「え、いいの?! やったアルー!」
商談成立。
ということで、次の日、早速早朝から詠春拳⋯⋯ではなく『ヤン式拳法』の特訓が始まった。
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「そこ! それだと攻撃が連動していないアル!」
「ぐはっ! うう⋯⋯難しい」
次の日、早朝からレンレンと『ヤン式拳法』の特訓を始めた。実際に教わってわかったことは思っていた以上に『攻撃の連動』が難しかったことだ。
「す、すごいな。レンレンはよくこれを会得したね」
「ウチだって基本型をマスターするのに半年かかったアル! だから、ラルフも簡単に会得はできないアル!」
「うん。でも、私は少しでも早く基本型をマスターしたいから全身全霊を注ぐよ!」
「その心意気や、良しアルぅぅぅ!!!!」
ガガガガガガガガガガガガ、バキぃぃっ!
レンレンに心意気を褒められたが、そのタイミングで連撃を繰り出された私は全弾ヒットして意識を手放した。
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「テイラー君。そう言えば、最近ラルフ君が顔を見せないですね。何かあったのですか?」
生活魔法クラブに行くと、フリオ先生が俺に声をかける。
「あいつ、何サボってやがる! ぶっ殺すぞ!」
同時に、レイカ先輩が鬼の形相でセリフで俺に突っかかってきた。
「ちょっ!? ま、待ってください、レイカ先輩! 顔! 顔が怖いですから! あいつは今、特訓をしていて⋯⋯」
「「特訓?」」
「は、はい。クラスにいる女子が使う『拳法』っていうのにすごい興味を持って⋯⋯それで、彼女にその拳法を教えてもらっているんですよ。一応、彼女とは早朝訓練だけやっているんですが、それ以外の時間もすべて拳法特訓にハマっていて⋯⋯」
「拳法? それって、もしかしてヤン男爵家の『ヤン式拳法』か?」
「あれ? レイカ先輩知ってるんですか?」
「ああ、まあな。ふむ、そうか⋯⋯『ヤン式拳法』か。ラルフの奴、面白いものに手を出したな」
「え? 面白いもの?」
「ふふ⋯⋯いいだろう。それを会得してクラブに顔を出したら、その時に特訓の成果を見せてもらおう」
ニチャァ。
レイカ先輩の顔が歪む。ただでさえ美貌な彼女のその笑みは想像以上にゾッとさせる。
おお、怖ぇ。ラルフ大丈夫かな?
くわばら、くわばら。
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——2週間後
「うん! これで『ヤン式拳法』の基本型はすべてアルよ!」
「ありがとう、レンレン」
「ていうか、ラルフはすごいアル。ウチが半年かかって体得した基本型をほぼ2週間でマスターするなんて頭おかしいアル」
「おい、頭おかしいはやめろ」
そんなわけで私は2週間に及び特訓の末、『ヤン式拳法』という名の『詠春拳』の基礎をマスターした(テッテレー)。
「それじゃ、仕上げは今日の午後の『剣術・体術』の授業でやるアルよ!」
「わかった」
——午後『剣術・体術』
「それじゃあ、用意はいいか。二人とも」
「準備OKアル!」
「こっちもOKだ」
現在、『剣術・体術』の授業中ではあるが、授業を受けている生徒が全員私とレンレンの模擬戦を見るということで取り囲んでいた。その中には、
「うん、青春だな! 思いっきりやりたまえ!」
と、担任のハンセン先生もいた。
授業開始前——ハンセン先生にレンレンと模擬戦をしたい旨を伝えたところ、「お前らの話は聞いている。存分にやりたまえ!」と了承を得たのだが、先生は授業開始のときに「今日は最初にラルフとレンレンの模擬戦を皆で観戦だ!」と言われ、このような状況になっている。
「うぉぉ〜! ラルフがんばれー! 前回の屈辱をはらせー!」
「レンレンちゃん、ファイトだー! ラルフなんかに負けるなー!」
やいの、やいの。
周囲の野次馬たちの声もだいぶ熱が入っている。
「な、何か、大事になっちゃったな⋯⋯」
「ははは、でもいいアル。このほうがやりがいあるアルよ!」
そう言って、レンレンがニカッと笑う。さわやかスマイル全開だ。
「⋯⋯ふぅ、そうだな。せっかくだから楽しむか!」
「その意気アル!」
そう言って、私とレンレンはほぼ同時に相手から距離を取った。
「よーし、じゃあいいか⋯⋯二人とも?」
ちなみに、審判をしているのはテイラーだ。
「いいアル!」
「いいぞ」
「それじゃあ⋯⋯⋯⋯はじめー!」
「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」
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mitsuzo




