044「生活魔法クラブの活動内容②」
「ふふふ⋯⋯まー普通はそう思うよね。でもね、実はそうでもないんだなぁ〜、これが」
「??」
「私の仮説では⋯⋯⋯⋯生活魔法でも土魔法などの六大魔法は使えると考えている」
「っ!?」
「とはいえ、あくまで理論上で、そもそも成功したことはないがね⋯⋯ははは」
「⋯⋯は、はぁ」
「しかし! しかしだ! 私の仮説では、生活魔法でも六大魔法を生成することは絶対に可能だと思っている!」
「先生⋯⋯」
「私の仮説が正しければ、『豊富な魔力』と『正確な魔力制御技術』があれば可能なはずなのだ!」
「『豊富な魔力』と『正確な魔力制御技術』⋯⋯」
「そうだ! いいかい? たしかに生活魔法はちょろっとした火をつけたり、水を出したりと、日常生活で使える程度の魔法でしかないためクズ魔法などと言われているが、しかし、それは私からしたら見当違いも甚だしいのだよ! わかるかい、ラルフ君っ?!」
「は、はい⋯⋯!」
フリオ先生が興奮しながら詰め寄ってくる。あ、圧が⋯⋯。
「生活魔法は日常生活で使える程度の魔法でしかない⋯⋯のではなく! 使用する魔法士の魔力量が少ないことと、魔力制御技術が低いがために日常生活程度の魔法しか使えない⋯⋯というのが『真相』だと私は思うのだよっ!!」
「な、なるほど⋯⋯」
「つまり!『生活魔法が使えない』のではなく『魔法士が生活魔法を使いこなせていない』ということを私は声を大にして言いたいのだぁぁぁ〜〜〜っ!!!! はぁはぁはぁはぁ⋯⋯」
フリオ先生が一気に持論を捲し立てた。そんなオタクのような饒舌ぶりを発揮したフリオ先生の説明を聞いて私は驚いた。
(私と同じ理論をすでに確立していた人がいたとは⋯⋯!)
その後、フリオ先生は落ち着くと、
「ま、まー、さっきのはあくまで仮説でしかないけどね⋯⋯。本当は実証したいんだけど、それを可能とする魔法士がなかなか見つからなくてね⋯⋯ははは」
「⋯⋯⋯⋯」
たしかに、『豊富な魔力量』『高度な魔力制御技術』を持つ生活魔法士なんて、まずいないだろうな。
「なので、現状は『魔石に魔法と魔力を閉じ込める作業』を行います。あ、『魔法だけ』でも問題ないです。ちなみに、魔石に魔法と⋯⋯できれば魔力も閉じ込める作業ができるようになれば、魔力制御の勉強にもなるので色々とプラスになることは多いと思うよ」
「わかりました」
「うむ。さて、じゃあ今日はここまでかな。明日から徐々にいろいろ教えていくよ。じゃあ、あとは2階に行ってテイラー君と交代して、レイカ君の生活魔法研究の話を聞きに行ってきてください」
「はい、わかりました」
その後、テイラーと交換して私はレイカ先輩の『生活魔法研究』のレクチャーを受けた。
——生活魔法研究:研究室にて
「いいか、ラルフ・ウォーカー! あたいたちがここでやる『生活魔法研究』ってのは、新しい生活魔法を編み出すか、発見するか、工夫して改良するか、この3つのどちらかを日々探し続けるというものだ!⋯⋯⋯⋯以上!」
「⋯⋯え? 終わり?」
と、レイカ先輩はほんの一息でしゃべれる内容量で『生活魔法研究』についての説明を終えた。
「さすがレイカ先輩。雑すぎる」⋯⋯などと思っていたら、
「活動内容はシンプルだが、一番難しい課題ばかりなのがこの『生活魔法研究』だ」
とのこと。まー個人的には魔道具開発が先なので『生活魔法研究』は来年からになる⋯⋯かな。
レイカ先輩との話が終わった後、フリオ先生から「明日から少しずつ作業を教えていきますので、今日は寮に戻っていいですよ」とのことだったので、私とテイラーは寮に戻った。
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——生活魔法クラブ/一階(大広間)
「おいフリオ! 実際どうだった、今日の二人?」
「フム。なかなかの逸材だと思うな」
「どっちがだ?」
「どっちもだ。ただ、どちらかというと、ラルフ・ウォーカーのほうが気になるかな」
「右に同じだ。⋯⋯⋯⋯ラルフ・ウォーカーか」
「ところでレイカ君。彼⋯⋯ラルフ君の称号は知っているかい?」
「いや?『生活魔法っぽい称号』てことしか⋯⋯」
「彼の称号は『生活魔法帝』という称号名だ」
「せ、生活魔法帝? なんだ、そりゃ?! 初めて聞くぞ!」
「ああ、私もだ。当時⋯⋯⋯⋯えーと『神託の儀』のときだけど、その時いた司祭様や神官らは『生活魔法関係の魔法だろう? 話にならんよ』と言って、大して調査はしなかったようだ。しかし⋯⋯」
「! おいおい、フリオ。お前、まさか⋯⋯」
「フフフ⋯⋯せっかくウチのクラブに入ってくれたわけですからね。魔道具開発と並行して色々調べてみようと思っています」
「ほどほどにしろよ? あんた、一応ここでは先生なんだからな! それに普段は落ち着いて物腰柔らかいキャラのくせに、好きなこととなると、一気に素が出てきて相手に引かれちゃんだからな!」
「ええっ! で、出てましたか⋯⋯?!」
「出てたらしいぞ。ラルフの話では圧をかけながら饒舌に魔道具開発の説明をしていたそうだ」
「ええっ! そ、そんなっ!!⋯⋯⋯⋯以後、気をつけます」
「ああ。マジでそうしてくれ」
「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」
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mitsuzo




