039「専門科目③」
生活魔法基礎の授業が終わった現在、次にどの授業を受けるかという話をテイラーと王女⋯⋯ミーシャも加わって行っていた。
「私は次は『魔石専門1』と、あとは『魔道具専門1』を取る予定です」
「俺も『魔石専門1』だな。もう一つは特に決めていない」
「なるほど。『魔石専門1』は私も取る予定でした。本当はもう一つ取りたいのですが⋯⋯」
「? どうしたんですか?」
「その⋯⋯『お茶会』参加の時間として空けないといけないのよねぇ〜⋯⋯はぁ」
ミーシャが大きなため息を吐きながらそう呟く。
第一王女という身分だと『お茶会』という名の社交もまた必要⋯⋯⋯⋯ということか。
「あ⋯⋯な、なるほど」
「し、心中お察しします」
私とテイラーはしみじみとミーシャに同情の目と言葉をかけた。
「あ〜ん、もう! 面倒くさいわ!」
ミーシャの第一王女の印象はお淑やかな美少女というイメージだったが、実際話してみると想像以上に活発な感じだ。
「ミーシャお嬢様、言葉遣いが⋯⋯」
「え? あらやだ。おほほほ⋯⋯」
「「⋯⋯」」
ていうか、だいぶ砕けてるな〜。
まー、こちらとしては喋りやすいけど、侍女はすごい渋い顔している。
さて、そんなこんなで午後の2つめの授業は『魔石専門1』を受けることに。
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「はい。『魔石専門1』は私の担当です。よろしく〜」
と挨拶したのは『魔法自由科』の担任の一人でもあるフリオ・スタリオン先生だった。
「え〜、魔石専門では主に魔石のこれまでの歴史と現状。そして、魔石の使用方法や効果などについてを学習します。本で学べるものもありますが、魔石を加工したり使用したりする場合、実践経験がモノを言います。この魔石専門ではそういった本格的に魔石の扱いについて勉強していきますので将来的にも役立ちますから、ぜひ受講を検討してみてください」
確かに、スタリオン先生の言う通り、魔石は本で自己学習はしたけど実際に加工などする場合は実践経験が不可欠だ。
「この授業の受講は決定だな」
「だな」
「そうね。魔石は戦闘でも日常生活でも必要とするものだからいろいろと将来的に役立つわね」
ということで、三人ともが意見一致で『魔石専門1』の受講が決定した。
「じゃあ、私は行きますね。では、明日からまたよろしくね。ラルフ! テイラー!」
「はい。よろしくお願いします!」
「おう! よろしくな!」
そう言って、ミーシャは寮へと戻って行った。
「それじゃあ、あと1つ⋯⋯『魔道具専門1』と。テイラーはどうするの?」
「俺は『剣術・体術』かな」
「えっ!?⋯⋯『剣術・体術』取るの?」
「ああ。俺、結構剣術と体術は得意なんだぜ?」
「そうなんだ!」
「ま、魔法関連の授業だけだと体がなまるからな」
「あ、たしかに⋯⋯」
テイラーからそう言われて私はハッとした。
「『魔道具専門1』を取ろうと思っていたけど⋯⋯⋯⋯そうだな。私もテイラーと同じ『剣術・体術』を受けることにするよ。これまで家で剣術や体術を習っていたから錆びないようにしないとね」
「おお、そうなのか! じゃあ、授業で一回手合わせしようぜ!」
「あ、ああ。⋯⋯お手柔らかにね」
正直、テイラーはすごく強そうなのでまともにやり合うのは避けたい。
とはいえ、同い年の友人との稽古なら家でやっている稽古よりも楽しくなるだろうと期待もしている。
結局、私は午後の専門科目は『生活魔法基礎』と『魔石専門1』、そして『剣術・体術』ということになった。ちなみに最後に取った『剣術・体術』の担当は『歴史』の担当だったあのマッチョ先生ことゲーリック・ハンセン先生だった。うん、何か納得だった。
というわけで、これから1年間の授業は以下のように決まった。
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『魔法自由科』
担任:フリオ・スタリオン
担任:セフィロ・アルマーニ
<必修科目(午前)>
・魔法基礎 :セフィロ・アルマーニ
・歴史 :ゲーリック・ハンセン
・作法・料理:ミレーネ・ザックボンド
<専門科目(午後)>
・生活魔法基礎:ルナ・ウェンブリー
・魔石専門1 :フリオ・スタリオン
・剣術・体術 :ゲーリック・ハンセン
※授業は1日毎に変わる
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「よ〜し⋯⋯んじゃ、寮に戻るか〜!」
「あ、ごめん。私はちょっと行くところがあるから寮に先に戻っていてくれ」
「どこに行くんだ?」
「あー、スタリオン先生のところに生活魔法についての話を聞きに行こうかな〜って⋯⋯」
「ふ〜ん、わかった。じゃあ、先行ってるわ〜。後からな〜」
「ああ」
そう言って、テイラーは男子寮へと戻って行った。
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「失礼します。スタリオン先生はいますか?」
「ん? おお。え〜と、たしか⋯⋯」
「ラルフ⋯⋯! ラルフ・ウォーカーです」
「ああ、ウォーカー辺境伯の息子さんか。どうぞ、どうぞ、入りたまえ」
「失礼します」
そう言うと、先生は部屋に入るよう言ってくれたので私はお言葉に甘えて部屋の中へと入った。
ちなみに、この学園の先生は日本の大学のように『一人一部屋』与えられているので、現在、部屋の中には先生しかいない。
「で、どうしました?」
「せ、先生が昨日の朝、生活魔法に興味ある人は声をかけてね⋯⋯と言われていたので早速やってきました」
「おお、そうなんですね! 何とフットワークの軽い! ということは、ラルフ君は生活魔法に興味が⋯⋯?」
「は、はい!」
「素晴らしいぃぃ! では、ぜひ、私のクラブに入ることをお勧めします!」
「クラブ⋯⋯?」
「はい。そのクラブは『生活魔法を深く探求し、可能性を追い求める』という理念を掲げ活動しているクラブです。その名も⋯⋯⋯⋯⋯⋯『生活魔法クラブ』!」
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mitsuzo




