040「生活魔法クラブ」
「生活魔法⋯⋯クラブっ?!」
な、何の⋯⋯ひねりもない⋯⋯だとっ?!
あまりにひねりもへったくれもないクラブ名に度肝を抜かれた私は、一瞬「何かの隠喩かっ!?」と疑ったりもしたが、しかし、どうもそんなことはなく、本当にそのまま、ただのクラブ名だった。⋯⋯なるほど。ひどいな。
「ちなみに私が、その生活魔法クラブの顧問をやっている」
「スタリオン先生が⋯⋯顧問!」
スタリオン先生はそう言うと話を始めた。
「生活魔法クラブは、さっきも言ったが『生活魔法を深く探求し、可能性を追い求める』という理念のもと活動しているクラブでね、まー君もわかる通り、本来魔法と言えば『六大魔法』のことを言うだろう?」
「はい」
「そして、生活魔法は『役に立たないクズ魔法』と言われ蔑まれている。そういうこともあって、なかなかクラブに入部してくれる生徒がいなくてね⋯⋯ははは」
「ま、まーそうでしょうね。だって、生活魔法はこの世界では『異端』のような扱いですから」
「ああ、その通りだ。しかし、ウォーカー⋯⋯いやさ、ラルフ君! しかし、私はそうは思わない! むしろ、生活魔法は本来、六大魔法よりも遥かに優れている魔法とさえ思っているんだよ!」
「い、いやいやいや⋯⋯! 先生、それは、だいぶ過激発言なのではっ?!」
「フフ⋯⋯まーそうだね。でも、ここは私専用の部屋だ。ラルフ君と私以外誰もいないのだから問題ないだろう?」
「ま、まー、それはそうなのですが⋯⋯」
いや、でも、国の教育機関なんだから盗聴とかされていないのだろうか?
「もしかして、盗聴を気にしているのかな? はっはっは、それなら大丈夫。すでに撤去済みだ」
いや、盗聴器仕掛けられていたんかいっ!! ていうか、この世界には盗聴器があるのか!
私が一人、その盗聴について考えていると、
「ラルフ君」
「! は、はい⋯⋯!」
突然、スタリオン先生がは真面目な顔をして尋ねてきた。
「ラルフ君は、本当に⋯⋯⋯⋯生活魔法に興味があるのかい?」
「! は、はい!」
「では、その⋯⋯ウチに⋯⋯生活魔法クラブに入部する⋯⋯ということでいいのかな?」
「はい、よろしくお願いしますっ!!」
そう言って、私は深く頭を下げた。
「そ、そうか! そうか! うん、うん⋯⋯よく言った! 歓迎するぞ、ラルフ・ウォーカー君っ!!」
スタリオン先生は私が本当に入部希望なのかギリギリまで信じていなかったのか、私が頭を下げるとさっきまでの緊張していた顔が綻び、満面の笑顔で私を強く抱きしめた。
「よかった〜! 本当によかったよ〜! これで⋯⋯⋯⋯⋯⋯廃部にならなくて済みそうだよ〜!!」
「い、いや、そんな〜⋯⋯⋯⋯⋯⋯ん? 廃部?」
「よかった〜! これで来月までにあと一人、部員を見つけることができれば廃部免れるぅ〜!」
「⋯⋯⋯⋯」
スタリオン先生の話によると、どうやら、この『生活魔法クラブ』は現在部員が3年生の一人しかいないらしく廃部寸前らしい。そして、廃部を免れるには私以外にあと1人部員が必要だと言う。
「あ、あの、ちなみにその部員さんっていうのは?」
「え? ああ、そうだな。早速紹介するよ。ついてきたまえ!」
そう言って、私は先生のあとをついて行った。
********************
「ここが⋯⋯⋯⋯『生活魔法クラブ』の部室だ!」
「⋯⋯」
そこは、校舎からだいぶ離れた北東側の角に寂れた場所だった。
「あ、あの、何ですか? この古い建物は?」
「うむ。よくぞ、聞いてくれた。これは旧校舎でな。今の新校舎ができる前まで使っていた建物だ。まー見た目はちょっとばかし古いが、見た目以上にしっかり作られているのでまだ使える! しかも、この建物全部一棟丸々、我々『生活魔法クラブ』の部室兼研究室だぞ! わっはっは! どうだ、すごいだろ!」
「⋯⋯」
た、たしかに、この2階建ての洋館が全部生活魔法クラブの部室兼研究室なのはすごいと思う。だが、正直⋯⋯⋯⋯今にも崩れ落ちそうである。
「こ、これ、本当に大丈夫なんですか?」
「大丈夫! これまで死者は出ていないぞ!」
「へ、へぇ〜⋯⋯」
死者は⋯⋯ねぇ〜。
「さあ、とりあえず中に入ってくれ。たぶん、今は研究室にいるだろう。2階になるからついてきたまえ!」
そう言って、ズンズンと歩いて行くのでとりあえずついていった。
バン!
スタリオン先生は、いきおいよくドアを開けるや否や、中の人に向かって大きな声をあげた。
「やー、レイカ君! 息災かいっ!」
「うっせぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜っ!!!! 死ねや、クソセンコーぉぉぉ〜〜〜っ!!!!」
バコォォォォォォォン!
「はうっ!?」
ドアが開かれ先生が声を上げたとほぼ同時に、室内から直径10センチほどの魔石が飛んできて、スタリオン先生の顔面ど真ん中に直撃! 先生は鼻からブーと勢いよく血が飛び散ると、そのまま倒れ込んだ。
「っ!?」
私は突然のことに体が硬直する。すると、
「ああっ!? んだ、てめぇ〜⋯⋯?」
「えっ?! あ、いや、その⋯⋯あのぅ〜⋯⋯」
目の前に、背中まであるきれいなブロンドロングヘアーを真っ赤なリボンでまとめた美少女が、眉間にものすんごい皺を寄せ、ガンを飛ばしていた。
「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」
https://ncode.syosetu.com/n3084hz/
毎日13時更新(現在は投稿休止中。二週間〜1ヶ月以内に再開予定)。
よかったら、こちらもお読みいただければ幸いです。
mitsuzo




