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生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜  作者: mitsuzo
第三章<セルティア魔法学園/生活魔法クラブ編>

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105「魔法騎士科1年生(3)」



「な、何をする?! ケビン・スレイプニール!」

「何をするもないだろ! お前ら、何マリアをいじめてんだ!!」

「ケビン君っ!?」


 マリアを監視して3日後、ついにマリアをいじめている現場を抑えた私とケビンは、すぐに現場へ赴くとケビンがそのマリアをいじめた相手の胸倉を掴み詰め寄った。


 そして、その横では、突然登場した私とケビンに驚いて声を上げるマリア。


「べ、別にいじめてなどいない! わ、私たちは、この平民の女が礼儀知らずだから礼儀を教えてやっただけ⋯⋯」

「適当なこと言ってんじゃねーぞ!」


 ガン!


「ぐはっ!?」


 ケビンがそのリーダー格の男の胸倉を掴んだまま、体ごと壁に叩きつけた。


「ゴ、ゴホ、ゴホ⋯⋯。な、何をする!? 私たちは貴族だぞ! 生活魔法しか使えない平民を六大魔法が使える我々貴族が守っているんだ!! このくらいしたって別に構わないだろうが!!」

「そ、そうだ! 僕たちは貴族だぞ! 平民より偉いんだ!」

「そうだ、そうだ!」


 リーダー格の男が「貴族だから少しくらい平民に対して何をやっても問題ない」という思想を持って、ケビンに詰め寄ると、この男の子分の貴族も便乗してケビンに良い寄った。


「⋯⋯お前らいい加減にしろよ? 貴族だからって平民に何をしたっていいだと? ふざけんじゃねーぞ、コラァァァ!!!!」


 そう言うと、ケビンが本気の拳をこのリーダー格の男に叩きつけようとしていた。


 まずい! 


「ケ、ケビン⋯⋯待て! お前が本気で殴ったら下手するとこの男⋯⋯死ぬぞ?!」


 私はそう言って必死にケビンを止めようと叫んだ。


「構わん! そんなことよりも俺はこいつを殴り倒したいっ!! アリスには悪いが俺はやめねー!!」


 げぇぇ⋯⋯ケビンの奴、マジ切れだ!? ま、まずい、まずいぞ!!



——その時だった



「へ、いいのか? 私にこんなことして⋯⋯」

「何?」


 突然、リーダー格の男がそんな強気な発言をしてきた。


「わ、私の名は⋯⋯マルコ。マルコ・フリューゲル」

「マルコ⋯⋯フリューゲル⋯⋯?」

「あっ!?」


 ケビンは名前を聞いてもピンときていないようだが、私はそのリーダー格の男の名前を聞いた瞬間——思い出した。


 マルコ・フリューゲル。フリューゲル伯爵家嫡男。称号はたしか『水魔法中級士』。正直、彼自身は大したことないが、しかし、彼の⋯⋯彼の家、フリューゲル伯爵家は『既得権益貴族』の家の一つだ。


 そして、彼の家が既得権益貴族であるということは彼のバックには⋯⋯、


「わ、私に何かあったら⋯⋯フリューゲル家だけでなく、あ、あの、ヴィバルディア・キリシュタイン様やその家であるキリシュタイン侯爵家が黙ってないぞ!」

「何っ!?」

「⋯⋯⋯⋯」


 まー当然か。いくら学園の中とはいえ、こうも平民をあからさまにいじめるなんてこと、普通に考えたら『既得権益貴族』かその関係者であることはわかっていたがな。


 しかし、『既得権益貴族の家』の子供だったか。これでは、もう、これ以上、この男を責めることは⋯⋯。


「⋯⋯だからどうした?」

「何っ?!」


 バキィィィィィィィっ!!!!


「ぐはぁぁぁぁぁ!!!!」


 そう言うと、ケビンがマルコにそのまま拳を叩き込んだ。


「な、何を⋯⋯?」


 マルコは自分の家が『既得権益貴族の一つ』であることや『キリシュタイン侯爵家』の名を出して、まさか殴られるとは思っていなかったのだろう⋯⋯。それでも殴ってきたケビンに「信じられない」とでも言いたそうな顔をしてブルブルと震えている。


 たしかに、そのマルコの様を見れば「よくやった!」とケビンを褒めてやりたいが、しかし⋯⋯、


「な、何をやってるんだ、ケビン! やめるんだっ!!」


 私は思いっきり彼を止めるべく叫んだ。しかし、


「いいんだ! 大丈夫だ!」

「何? 大丈夫⋯⋯だと?」


 なんだ? ただの強がりか?


「つ、強がりは⋯⋯よせっ!!」

「強がりじゃない!!」

「何っ!?」


 強がりじゃない⋯⋯だと?


 何だ? ケビンに何の考えが⋯⋯?


「アリス、俺に考えがある! とにかく⋯⋯俺はこの目の前の勘違い野郎のガキと、その仲間のふざけた貴族のガキをぶっ倒す!!」

「「「⋯⋯っ!?」」」


 そう言って、ケビンの怒りの拳がマルコを含めた3人に降り注いだ。




「あ〜あ⋯⋯やっちまった」

「おい!」

「あだっ!?」


 ケビンが「やっちまった」などと自分の犯した事の大きさを『他人事』のように呟くので、私はすかさずケビンの頭にチョップをお見舞いした。


「痛って〜なぁ!」

「当たり前だ。痛くしたんだからな。それよりも、これからどうするつもりだ? さっき『考えがある』と言ってたが何をするんだ?」

「ああ、そのことだけど⋯⋯おっと、まずはこの3人組を保健室まで運ばねーと」


 そう言って、ケビンと私⋯⋯そして、私たちと一緒についてきたマリアで、一度この3人組を保健室まで運んで軽く手当てをしてベッドに寝かしつけた。そして、


「ついてきてくれ」


 と、ケビンがそう言うので私とマリアはそのまま彼の後ろをついて行った。すると、校舎から離れ、さらに北東側へと歩いて行く。


「あ、あの、アリス⋯⋯。何か、ケビン君どんどん校舎から離れて行くんですけど大丈夫でしょうか?」


 マリア嬢が不安な顔をしながら私に尋ねた。これはいけない。マリア嬢にそんな顔をさせてしまった私は反省しつつ、


「おい、ケビン! お前、一体どこに行く気なんだ!? マリア嬢が怖がってるじゃないか!!」


 私がそう言うと、こちらに見向きもせずにズンズン歩き続けていたケビンがクルッと振り向いた。


「ここだ」

「「え?」」


 そう言って、ケビンが足を止めた場所は、今も使われているのかわからないような古い2階建ての建物だった。


「は、初めてきました。学園の中にこんな場所があったんですね⋯⋯」

「⋯⋯ああ」


 マリア嬢と同様、私も学園内にこんな場所があったとは知らなかったので驚いていた。おそらく、他の生徒も知らないだろう。


 そして、そんな場所に私たちを連れてきたケビンの目的は⋯⋯何だ?


「⋯⋯ケビン。なんだ、ここは?」

「ここは、生活魔法クラブの部室棟だ」


「「生活魔法クラブ?」」


「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵ギフトというぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」

https://ncode.syosetu.com/n3084hz/


『毎週土曜日13時更新』です。


よろしくお願いいたします。


mitsuzo


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