#18 手を繋いで
「……で?なんでこいつも着いてきてんの?」
「食われに来たんだろ」
「失礼な!貴方みたいな馬鹿じゃあるまいし、そんな事しません!」
心の底から狼男の事が嫌いなのか分からないが、ヤンキー赤ずきんさんに比べて、狼男の方が言葉の火力が高い気がするのは気のせいだろうか?
あの後、ヤンキー赤ずきんさん達に急かされながらも、玄関でヤンキー赤ずきんさんのお母さんに泊めてもらって、ご飯も食べさせてもらった感謝を伝えて、やっとおばあさんの家に向かっている。
出ようとなってから、クラージュ君の登場だったり、一悶着あったため、目的の時間よりオーバーしてしまった。
おばあさん、怒ってないといいな……。
「ボクもこの旅に少しの間お邪魔させていただくことになったんです。だからといって、必要以上に関わる気は無いですし、どうぞ 空気とでも思ってください」
確かに、出会い方があんな感じだったし、信用しろという方が難しいだろう。だとしても、年齢に反して凄く冷静で、人間関係を悲観しているとも思った。
別にクラージュ君を否定する気は無いが、不思議な子と思う反面もあったのだ。
そうこう歩いているうちに、おばあさんの家の前に着き、ヤンキー赤ずきんさんが先陣を切ってガチャッとドアを開ける。
狼男は前の出来事があったからか、少ししっぽが垂れ下がって怯えているようだった。
そんな狼男とは裏腹に、クラージュ君は表情ひとつ変えずにいる。
「おや?やっと来たかい。待ちくたびれたよ。……旅の仲間も増えたみたいだね」
気前よく出迎えてくれたのは、紅茶を飲みながら、椅子に座っているおばあさんだった。
変わりはなく、優しげで、少し元気のある笑みを浮かべて、
「このクッキーのどこかに次の世界に繋がる欠片が入っとる。触ったら、直ぐにその世界に行ってしまうから、全員事前に手を繋いでおくんだよ。いいね?」
と衝撃の事実を言った。
その言葉を聞いた時、一瞬にしてクラージュ君と狼男の顔が歪んだ。
「ボク、こいつとは手を繋ぎたくないです」
「は?オレだって嫌だわ。てか、手繋ぐとか幼稚園かよ」
そうは言っても手を繋がなきゃ離れ離れになってしまうと思うから、ヤンキー赤ずきんさんがクラージュ君と、僕が狼男の手を掴んで、最後にヤンキー赤ずきんさんと狼男がいがみ合いながら手を繋いだ。
「クッキーのどれか……?」
空いた右手で、周りのクッキーを動かしたりすると、他とは違う見た目のお菓子の家の見た目をしたピンバッジのようなもの、そう欠片があった。
それに気づいた僕らは、覚悟を決めて、グッと手を伸ばす。そして、欠片を掴んだ。
「この世界の欠片はその世界のどこかに絶対ある。やるべき事をやってらっしゃい!」
そんなおばあさんの言葉は全員に届き、それぞれ思うことはあるだろうが、僕とヤンキー赤ずきんさんは力強く頷いた。
そして、目の前が真っ白になって……。
気がつくと僕は、青空の下、倒れていた。




