#16 迷子の子ヤギ
「ここは……」
「お、起きた。死んだかと思ったわ」
「失礼な!ボクは生きてます!」
ぱちぱちと数回瞬きをして、子ヤギの男の子が起きた。黄色というか、金色に近い目の色をしており、瞳孔が水平になっている。
子ヤギ君は弱っているかと思えば、そうではなかったみたいだ。ヤンキー赤ずきんさんの呟いた言葉を拾い、プンプンと可愛く怒っている。
「なあ、赤ずきん。コイツ食べちゃダメか?」
「ひっ……お、狼!?」
悪びれる様子なんか微塵もない狼男は、ヨダレを垂らしながらギラギラとした目で、子ヤギ君の事を見ていた。
その張本人である子ヤギ君はと言うと、白い顔を青くさせたり、うるうるとした目で狼男を見ていた。
そんな子ヤギ君を見て居た堪れない気持ちになり、とりあえず子ヤギ君の前に立って、狼男からも見えないようにする。
「え……」
「んだよ。庇ってるつもりか?」
「だって、なんか……怖がってるから?」
「お前もよく分かってねぇのかよ…」
自分でも何をしているのかよく分かってないが、この子ヤギ君が凄く泣きそうな目でいたから、何となく助けなきゃ、という気持ちになった。
「えっと、あの…」
僕の背後からぴょこっと顔を出し、恐る恐るという様子で、ヤンキー赤ずきんさんと狼男を見る子ヤギ君。
子ヤギ君は白髪で、小学生低学年くらいの身長。ヤギの耳としっぽが生えていて、耳がなければ一見ただの少年に見えるだろう。
「ボク、家族といたはずなんですけど、いつの間にかここに飛ばされてて……」
『飛ばされた?』
僕とヤンキー赤ずきんさん、狼男が声を揃えて聞く。
「なにか、よく分からない赤い頭巾の形をしたピンバッジのようなものが落ちていて、それを拾った瞬間、こんな所に……。あ、これがそのピンバッジみたいなやつです」
そういった子ヤギ君の手のひらの上には、赤い頭巾の形をしたピンバッジのようなもの。
というか、これはピンバッジだな……。
そのピンバッジをまじまじと見て僕らは「あっ!」と叫んだ。
『これが欠片か!』
またもや息ぴったりな僕らは、このピンバッジの正体に気づき、欠片について慌ただしく子ヤギ君に説明する。
すると、3回ほど同じ事を説明するとやっと理解できたようで、眉間に皺を寄せて、なにか考え込んでいるようだ。
「んー、その話的にボクは自分の世界のピンバッジ……いや欠片を探さなきゃ行けないってことですよね?一体どこにあるのか…」
「その赤ずきんさんのピンバッジは何処で見つけたの?」
「ボクのいつものお散歩コースの道端に落ちてました!太陽に当たってピカピカ光ってたので、気づいたんです」
「なるほど……」
まだ一つしか見つかっていないから分からないが、落ちているところには、関連性があるのかないのか……。
まだまだ欠片の謎は深そうだ。




