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定刻の暗殺者
電車の走行音というものはなぜあんなに不快になるのだろうか。ガタンゴトンなどという擬音語を作った本人は本当にこの音がしたのであろうか。私は電車をこう考えている。人を目的地に運ぶ電車。人の生活に欠かせない電車。人が押し込まれている電車。人を轢き殺す電車。私は電車が嫌いである。しかし、皮肉なことに私は電車に乗らないと通勤することができない。お金を多く持っていたら、こんなもの使わないのだが、余裕はまったくと言っていいほどない。
いつも通り6時半のアラームで起きる。寝ぼけながらテレビをつけ、ニュースを見ながら身支度をする。髭を剃る時に肌を切ってしまった。今日はついてないな。なんてことを思いながら顔を洗う。7時18分の電車に乗るために家を出る。私の最寄駅はJR総武本線(ここからは総武線とよぶ)荻窪駅である。ご存知の方もいるかもしれないが、総武線というものは遅延が多い路線である。私の体感であるが、半分以上が人身事故である。この日いつも通りの時間にホームに着き、好きな小説家のミステリを読んでいた。私が不快な走行音で電車が来たことを確認し、本をしまおうとしたとき、ゴンという鈍い音がしたかと思うと、目の前には真っ赤な光景が広がっていた。




