29、神様の配役。死んでもいい人間。
「13歳の時に先々の事まで起こることを夢に見たのです」
「夢に……?」
さすがにゲームの世界に転生したとは説明的にも言いづらくて夢を見たことにした。
マティウス殿下の事は色々振り回してご迷惑をおかけした。
私は生きているだけで色々迷惑をかける。
マティウス殿下にはそろそろゲームの強制力で死ぬ前に、事情を話した方が良いだろうと思った。
「私はその夢の中で後々18歳で処刑される貴族令嬢に生まれているんです。自分の夢の通りの登場人物、夢の通りの日常。夢の通りに初めて見た『神の世界の作品』も初めから最後まで内容を知っていました。そして私は殿下の婚約者になって、でも18歳の時に、この国に貢献するルーチェ・マーキスさんを害した罪で処刑されるのです」
「ルーチェ・マーキス嬢……だから時折色々先を知っている風だったのか?」
「そうです。色々未来を知っていて、まだ見たことのない『神の世界の作品』の内容を知っていて。自分が死ぬ未来を夢で見て。私は悟りました。そんな夢を見たという事は、運命に……神様に、死刑宣告されているって事。神様にお前は死んでもいいって言われているって事。18歳で死ぬのが正しいって言われているって事なんです」
「そんなそこまで決まっているはずは……」
でも、殿下は報告で聞いて、特に接触もないルーチェさんに私が最初から興味を持ち、ルーチェさんの後をついて回っていた事、着いて回った挙句に知っていたかのようにモンスターを退治して回っていた事、その結果、魔王を目覚めさせようとしている団体が居ることを突き止めた事を知っているだろう。
私とルーチェさんは一言もお話したことはない。
その不自然さは重々ご存じだろう。
「ここまで操られて配置されているのに? 例え奇跡的に18歳で死ななくても、もういつ死んでもおかしくない。だって神様に死んでもいい場所に配置された自分なんだから」
私は、感情的に殿下に思っていたことをほとんどぶちまけた。
往生際悪く、真面目で純粋な殿下に『前世』とか『ゲーム』とか言って、完全に頭のおかしいやつとか思われたくなかった。
けれど、運命とか神様とか言っている時点で、相当頭はおかしいだろう。
もうこれで円満に婚約破棄されて、気持ち的にもすっきりして、後は侯爵家の隅で処刑される時まで待って、ゲームの強制力に引きずられて、何かヒロインを害して、『はい、処刑』かもしれない。
前世のWEB小説では、悪役令嬢はゲームの決まりに逆らって自分の運命を回避するタイプが多かった。
しかし、私は弱い人間で、神様にそんな位置に配置されたショックに耐えられなかった。
神様に(運命に)、処刑される登場人物に転生させられたことで、心が折れてしまっていた。
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