27、悪役令嬢の未来は不穏で当たり前でした。
※展開を若干駆け足にしました。
王都にモンスターが出るようになってからしばらく経った。
と言っても、アイステリア王国民に被害が出ないように、地方は地方領主に王家が応援の兵を派遣していたし、王都はルーチェさんと私とターシャとオランジェ侯爵家の護衛騎士たちが頑張っている。
王都は特にルーチェさんが行く先々に現れるので、ルーチェさんを追っていればいいので、今のところ王都民に被害は出ていない。
チラッとルーチェさんがいなくなったらモンスターも出ないのでは、と思ったけれどこんなこと考えてはいけないだろう。
………でも、だって、ルーチェさんは前世の探偵みたいだ。その探偵が居ると事件が起きる。そしてその事件を探偵が解決する……。
そんなこんなで、ルーチェさんをフォローして回っていると、アイステリア王国にモンスターをけしかけている大元の存在が分かった。
新興宗教団体が古代の魔王を無責任にも目覚めさせようとして、魔力を持っているアイステリア王国民を集めようとしていたのだ。多分、調査結果から考えて生贄として。
アイステリア王国民は近隣国でも特に魔法を使えるものが多い。
平民にも魔法を使えるものがちらほら居るくらいだ。
さすがに私はここまで調査してから、王家にまとめた調査結果を報告したし、私に付けられている王家の人間も大体を把握していたみたいだった。
私もここから先は一人で新興宗教に突っ込んでいく気はない。
今にも魔王が万が一何かの生贄で目覚めてしまうところかもしれないし、下手に突っ込むとタイミングを間違ったら、ちょうど私が生贄にされて古代の魔王が復活もありうるとはちゃんと考えた。
…………マティウス殿下は、夜の王都に出ている私の話を聞いて、ご自分も私のフォローに出ようとしていたらしいけれど、更に私の時を上回る反対にあって、最後には無理に出ようとして陛下の魔法を受け、王宮に監禁状態になっていたらしい。
マティウス殿下は、陛下の魔法で氷漬けになって(マティウス殿下専用魔法『氷の牢獄』ではない)牢の一室に監禁されていたと聞いて、さすがに可哀そうになった。
「色々、あなたは分かっていると思うし、何かあなたの事情があるのよね?」
と、タウンハウスに帰ってきて、そんなマティウス殿下の話を聞いて、お父様の執務室で立ち尽くしている私を見て、お母様が言った。
お母様は、
「小手先の交渉でどうにかなるものじゃなかったわ」
と、頭を抱えていた。
私は居てもたってもいられず、待っていたかのように出されている城への登城命令に従って、城へ向かった。
城では、私の報告と王家の部下の報告を総合して報告を受けた大臣たちと王族が、謁見の間で待っていた。
いち早くモンスターの存在に気づいて退治を始めたルーチェ・マーキスさんへの対処については悩むところらしいし、新興宗教への立ち入りをどうやって行うかについて議論している。
とりあえず、新興宗教の生贄を集める企みは、基本的に阻止できているはずと王宮の魔術師たちは言っているらしい。
古代の魔王というようなアイステリア王国の歴史でもほぼ聞いたことのない伝説上の存在を目覚めさせるには、莫大なコストがかかる。
今のところ、そのコストは足りていないはず、という事だった。
なるほど。
そして、そんな一連のルーチェさんの行動から始まる事件に気づいて、王太子の婚約者にも関わらず独断専行してた私にも、当然、王城の大臣たちの疑問が飛んだ。
(前世にプレイしたゲームの記憶からルーチェ・マーキスさんがヒロインとして怪しいな、と思って張っていました………なんて、その話を話しても狂人と思われて信じてもらえないし、最終的には私はルーチェ・マーキスという『光の聖女』を害した罪で処刑されるから、好き放題やりたかっただけです、と話しても信じてもらえないだろうと思っていました)
とは言えない。
なんと言っていいか本当に分からなくて、口を噤んでいると、大臣達の私を批判する声が強くなった。
「そんな勝手な行動ばかりするものが未来の王太子妃が務まりますかな」
「もっと身分をわきまえた行動をするべき」
「モンスターを退治するマーキス男爵令嬢とやらの後ろを着いて回って、本当はいつか殺してやろうと思っていたのでは」
等々、好き放題言われる。
もっともだ。何も言えない。
私は、自分が処刑されると最初から諦めていて、それでずっと好き放題行動していたのだから。
そんな中、陛下が座っている玉座のひじ掛けを軽くコツコツと叩いた。
大臣たちがハッとしたように静かになる。
「ナタリー・ド・オランジェを息子の婚約者に指名したのは余だが………?」
かなり強めの言葉で、大臣を咎めた為、大臣達はなりふり構わず真っ青になってその場に平伏した。
そして私も平伏するとそれはそれで問題なので、最上位のお辞儀をして頭を下げる。
「この国を思っての事でございました。申し訳ございません」
「出過ぎた真似を致しました」
大臣たちが口々に言い訳を口にする。
今まで、黙っていた王妃様が、お辞儀をしている私に向かって、
「ナタリー。顔を上げてちょうだい」
と仰ったので顔を上げる。
「あなたが何を背負っているのかは分からない。でも、今はあの子の所に行ってあげてくれるかしら。あの子は待っているから」
「申し訳ございませんでした。行ってまいります」
王妃様の言葉に礼をすると、陛下も目線で私に『行け』と言った。
私は再度最上位のお辞儀をして謁見の間を去ったのだった。
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