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第62話 VSクティナ 開戦

 ゲーム エンパシスウィザメントのラスボスの情報はゲームがリリースされてから4年後に公開された。

 当時のプレイヤーレベルは、六大ギルドの幹部クラスで80。ギルドマスタークラスで90前後だった。

 俺達クロノフィリアのメンバーでさえ平均レベル92くらいだった。

 ラスボスへのダンジョンが開放され全てのギルドが歓喜した。

 だが、ダンジョンへ挑むこと1年。

 ダンジョンに出現するモンスターは全てが伝説級、神獣級。平均レベル80前後の挑戦者達では苦戦に次ぐ苦戦が相次いだ。

 何せ、神獣級は当時1体で1つのイベントのボスモンスターだったのだ。そんなのが、倒しても倒しても押し寄せてくる地獄のようなダンジョンだったのだ。

 そんな中、最初にダンジョンを抜けたのが俺達クロノフィリアだった。

 だが、ダンジョンを抜けた先に待ち構えていたラスボス クティナ。見た目は完全に幼女だったが、彼女との初戦は一瞬で全滅。

 その後、次々にダンジョンを抜けた各ギルドが挑戦するも六大ギルドですら手も足も出ない状態が続いた。

 何よりも驚かされたのはラスボス クティナのレベルは当時誰にも到達出来ていない120。

 更に、全種族の頂点に君臨する最高峰の種族、【天地創世終末神族】と呼ばれるゲーム内に2体しかいない種族であり、モンスターの階級は最高級の【創世崩壊神級】。

 あらゆる種族の頂点に君臨する種族の為、種族スキルも全てが規格外に設定されていた。


ーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーステータスーーー


・名前   【クティナ(人工)】

・レベル  【?】

・種族   【天地創世終末神族(偽)】

・階級   【創世崩壊神級(偽)】

・スキル

 【七大罪の獣】【多重結界】【浮遊】

 【魔力崩壊(弱)】【獣神化】【劣化コピー】

 【神体強化(弱)】【接触崩壊】

・装備

 なし

・武装

 なし


ーーーーーーーーーーーーーーー


『偽?見た目はクティナそのものなのに…人工ってことは本物のクティナじゃないのか?。スキルもゲームで戦ったクティナより少ないし、劣化コピーって…。まさか…。』


 本来、クティナの属する種族は他の種族が所有する情報干渉系スキルを一切受け付けない。つまり、【情報看破】でステータスを観ることが出来ないのだ。

 だが、目の前の偽物のステータスはスキルや武装の有無まで確認できている。


『作ったようじゃな。方法も分からん…じゃがレベル?とは何じゃ?』

『わからんな!取り敢えず攻撃しとくか?。』

『おっ!それで良いのか?なら!第1の魔弾!。』


 豊華さんの人差し指から放たれる魔力の弾丸。だが、ゲーム通りなら…。


『………。』


 魔弾はクティナに届くこと無く消滅した。


『やっぱり駄目だな!。』

『所持しているスキルは本物のようだな。』


 クティナのスキル【魔力崩壊】は、魔力構成を崩壊させ魔力を粒子状に戻す。魔力を集束されて放つ魔弾は瞬く間に打ち消されてしまった。

 そして、仮に【魔力崩壊】を抜けたとしても【多重結界】のスキルが常時発動している。このスキルは防御スキルの重ね掛け。

 ラスボスに挑んだ全てのプレイヤーがクリア出来なかった最大の理由がクティナの持つ圧倒的な防御力なのだ。


『しかも、明らかに青法側の立ち位置だよな?どういうことだ?。』

『青法も何かを隠しているのかな?。白聖との繋がりも気になるし。』


 煌真と賢磨さんも疑問に思っているようだ。


『白聖と青法…なぁ。黒璃は何かをしているのか?。』


 俺は元ギルドマスターだった黒璃に聞いた。


『え!私!?えっと…。』


 急に話を振られて焦る黒璃は不安そうに矢志路を見る。矢志路は黒璃に微笑み頷いた。


『あ…あのね。白蓮と青ちゃんは裏で繋がってたのは事実だよ!でも、内容までは分からない。ただ、青ちゃんは、白蓮の命令には従うって言ってたから…多分、これも…白蓮の実験だと思うの…。』

『成程。そうか。教えてくれてありがとう。』


 俺は黒璃の頭を撫でる。


『はい!私に出来ることなら何でもするよ!。』

『そうか。助かる。』


 俺は再び、クティナを見た。

 ゲームと同じスキルを持っているなら行動パターンも似ている…筈。

 今、豊華さんの魔弾でクティナのスキルが発動した。なら、次は…。


『来るぞ!七大罪の獣だ!。』


 【浮遊】のスキルで宙に浮くクティナの足下から黒い泥が地面に落ちると、泥は形を獲得し7体のモンスターへと姿を変えた。

 これが、クティナのスキル【七大罪の獣】。

 ゲーム時代のままならモンスターのレベルは各々120。各々が固有のスキルを2~3つ持っている。

 クティナと戦いながら、コイツ等を同時に相手しなければならない。当然一筋縄ではいかず、数多くのプレイヤーが倒れていった。


『七体の獣…どうするのじゃ?。』

『レベル?のクティナモドキから生まれた奴等だ。どれくらいの強さか分からない…が、こっちも人数いるし役割分担で行くか!。』

『おう!久し振りに骨のありそうな相手だ!腕がなる!。』

『良いぞ!ウチも本気で行く!。』

『程々にね。豊華さん。』

『主様の意志のままに。』

『アニキと共に戦える…テンションが上がるな!おい!お前達!血を貰うぞ!。』

『うん!矢志路君!』

『…はい…。』

『わかりました。ご主人様。』


 良し。全員ヤル気だな!さて、じゃあ行くか!。

 俺は全員に役割を与える。


『煌真は憤怒を頼む!。』

『ああ!そうだろうと思ったぜ!旦那!。』


 七大罪の獣の1体、憤怒の獣。

 所有するスキルは3つ。

【激情強化】

 感情の高まりに比例して肉体を強化する。

【憤怒暴走】

 HPが減れば減る程、肉体が強化される。

【獣の本能】

 直感に似たスキルで危険を察知するスキル。


 この3つを保有している。つまり、ガチガチに肉体を強化して戦うタイプのスキル構成の人型の獣。

 同じく肉体を強化する戦闘スタイルの煌真とは対戦の相性が良いだろう。


『傲慢の獣は、豊華さん頼む!』

『ああ!ウチに任せろ!』


 七大罪の獣の1体 傲慢の獣。

 所有するスキルは3つ。

【堕天の幕光】

 天空から降り注ぐ閃光。触れたモノを消滅させる魔力の光線。

【明けの明星】

 金星の加護。自身のHPを徐々に回復させる。

【光翼の威光】

 翼から放たれる大小様々な光の砲撃。


 空中に停滞し、天空と翼からの連続砲撃を主体とした戦闘方法をとる人型の獣。

 遠距離戦を得意とする豊華さんなら真正面から撃ち合える。


『暴食の獣は賢磨さん頼む!。』

『ああ。了解だ。』


 七大罪の獣の1体、暴食の獣。

 所有スキルは3つ。

【暴食吸収】

 食べたモノの性質を取り込み扱うスキル。食べる毎にスキルは組み合わされ別のスキルへと進化する。

眷属召喚(ハエ)

 身体を無数のハエに変化させる。

【絶食強化】

 HPが3分の1以下になると今まで蓄えていたエネルギーを使用しHPを回復。身体能力を強化し接近戦主体にモーションが変化する。


 あらゆるモノを食べる巨大な口を持った恐竜のような姿をした獣。賢磨さんは重力を操る。どんなにヤツがハエに分裂しようが飛べなければ驚異ではない。


『強欲の獣は睦美、頼む。』

『了解じゃ!ワシに任せよ!。』


 強欲の獣。スキルは2つ。

【強欲肥大】

 周囲の全てを吸収し肉体を巨大化させる。臨界に達すると大爆発を起こし自爆する。

【食肉分離】

 何でも食べる小型の肉片端末。食べたエネルギーは本体へ送られる。


 スライムのような見た目の肉の塊に口だけが付いている獣。睦美は対象を綺麗な状態に戻す。どんなにエネルギーを蓄えたとしても戻されればヤツが爆発することはない。


『色欲の獣は、矢志路。彼女達に任せても良いか?。』

『え!?私達ですか!?。』

『大丈夫だ。アニキ。お前達、ここで力を示せ、そうすればアニキに認められる。安心しろ。危なくなったら俺が助けてやる。』

『…認められる…。うん!頑張る!私やるよ!。』

『うん。やる。』

『ええ!私達の初陣ですね!。』


 色欲の獣。スキルは3つ。

【色情夢現】

 相手に性的な幻覚を見せ戦闘不能にする。

【色欲現姿】

 相手の理想を読み取った異性に姿を変える。

【天雷翼】

 放雷し雷を自在に操る翼。


 天使型の女性の姿をした獣。矢志路の連れてきた彼女達の力は俺には分からない。だが、矢志路と血の契約を交わしたのならば獣ごとき倒せるだろう。


『怠惰の獣は矢志路!お前だ!頼んだぞ!。』

『ああ、任せろ!アニキ!』


 怠惰の獣。スキルは3つ。

【怠惰反転】

 HPが3分の1以下になると暴走し暴れまわる。

【怠惰反響】

 攻撃を反射し跳ね返す。

【土人形(女性)】

 ウエディングドレスを着た女性の土人形を複数体作り出す。土人形は血肉を求め生きている者に襲い掛かる。


 巨大なナマケモノのような姿をした獣。怠惰の獣は動かないが攻撃を跳ね返す特性を持つ。攻撃力の高い矢志路なら問題無く倒せるだろう。


『嫉妬の獣は神無に任せる!。』

『御意!主様!。』


 嫉妬の獣。スキルは3つ。

【嫉妬渦巻】

 自身に対しての攻撃をねじる。

【海神炎雷水】

 海の神の怒り。炎雷水を合わせた魔力砲。

【破捻声砲】

 声による空気の振動。これを受けた対象は身体がねじ切れる。


 人魚の姿をした獣。様々な飛び道具を持つ嫉妬の獣だが、素早さと隠れるのが得意の神無ならば、安心して任せられる。


 そして、俺は。


『俺の相手はお前だ!偽物だろうがクティナを名乗ったんだ。殺られても文句を言うんじゃねぇぞ?。』


 人工的に作られた存在か…。

 どのように作られたのかは謎だが。戦ってみれば何か分かるだろう。


『………。』


 黙りか…ゲームのクティナはもっと喋ったんだがな。

 そういえば、クティナの姿はリスティナによく似ていたな。彼女と何か関係性があるのだろうか?。


『まあ良いさ。相手がクティナなら全力で、その防御を突破するだけだ。神具!。』


 女の姿の状態 No.24。その神具を解放する。

 いつものように神剣を1本1本試すのは相手の性質が分からない時だけだ。

 クティナのことはゲームの時代に知り尽くしている。しかも、本来よりスキルも少なく武装も無い。偽物だ。ならやることは1つ。速攻で倒すだけだ。


『時刻法神!。』


 俺の背後に出現する巨大な歯車時計。

 盤面に刻まれる1~12の数字が入る位置に各々に小さな歯車時計がある。時計の針は、クロノフィリアメンバーの神剣が回っている。

 この神具を発動している間、俺はクロノフィリアメンバー全員の能力を神剣を用いずに使用できるようになる。


『さぁ。準備は出来た。行くぜ偽物?ゲームを制したクロノフィリア全員の力を見せてやるよ。』


 クティナとの戦いが始まった。

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