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5-9 訓練1

 訓練が始まった。翔太達はひたすら訓練場を走っている。


 最初の訓練は走り込みだが始めてと言うこともあり、翔太達は体力がなく、すぐに訓練兵の集団から離れてしまった。


 だが翔太達が訓練兵から置いてかれるのは当たり前だ。


 なぜなら訓練兵は長い期間訓練兵は教官の指導の下訓練されていた。


 それに対し、翔太と蓮司は争いのない平和な世界から来たのだ。


 だが地球では翔太と蓮司は学年内で1、2を争う程体力がある方だ。


「ここまで!休憩の時間だ!」


 教官の言葉を合図に訓練兵たちは水などを飲み始めた。


 訓練兵は立ったままに対して翔太と蓮司は座り込んでしまった。


「はぁ……はぁ……はぁ……翔太…大丈夫…か?」


「少なくと……も生きてる」


 そんな会話そうしているとバルナが歩み寄って来た。


「お前ら大丈夫か?」


 とバルナは翔太達に声を掛けた。


「きついです」


「そうか!だが初日に対してよくやった方だな」


「そうなんですか?」


「そうさ!ほとんどの奴らは終わりの合図が来る前に倒れ込んでるがお前たちは最後までやった。お前らもこいつらは中々と思うよな!」


 バルナは訓練兵にそう聞いた。すると訓練兵達のほとんどが頷く。


「はい!初日の割には良く付いて来ていました!」


「そうか。良し!お前ら!休憩は終わりだ!次の訓練を始めろ!!」


 バルナの次の訓練の指示が入り、訓練兵達は準備を始めた。


ーーーーーーーーーーーーーー


「それではユキ、リカ。お前たちはここで魔法の訓練をしてもらう」


 魔導士用の訓練場に着いたグネヴィアは簡単な的を作った。


「まずはこの的に攻撃魔法を撃ってくれ」


 グネヴィアはそう雪と梨花に命令をした。


「えっと……グネヴィアさん……」


「ここでは教官と呼べ」


 質問をしかけた梨花の言葉を遮りグネヴィアは新たな命令をした。


「は、はい」


「それで?質問の内容はなんだ?」


「はい。まだ私達は魔法の使い方は分かりません」


「そうなのか?分かった。それじゃあ二人とも。片手を出してくれ」


 グネヴィアがそう言うと雪と梨花は顔を見合わせ、片手を出した。


 するとグネヴィアは二人の手を掴んだ。


「今から二人に魔力を流す。そこで何か妙な感覚を感じることが出来る筈だ……取り敢えず流してみるぞ」


 グネヴィアがそう言うと梨花と雪の手に魔力を流し始めた。

 

 梨花と雪は最初こそは何が起きているのか分からなかった。


 だがしばらく経つと自身の体の中に不思議な物が入ってきているような感覚を感じた。


「どうだ?何が感じるか?」


 グネヴィアは二人が何かを感じ取ったのを待ったかのように声を掛けた。


「はい。何か……暖かいような冷たいような」


「そうか。ユキはそう感じるのか……リカは?」


「私は……水の中に居るような感覚が………」


「良し。それじゃあ二人とも。その感じた感覚を掴め」


 グネヴィアの突然の命令に二人は困惑した。


 無理もない。何故なら今、目の前にある物体ではなく、精神的な物だ。


 二人は中に感じる感覚を掴むため目を閉じ集中する。


「掴むって……どうやって」


「分からん。根性で掴め」


 梨花と雪は戸惑いながら、感じた感覚を掴もうと努力をした。


 しばらくすると雪は何かを放っている物体を掴む感覚を感じた。すると体が突然熱くなったり、冷たくなっいる。


「どうやらユキは掴めたようだね」


 中に感じる感覚を掴むことが出来た雪は目を開けた。すると空中に白い浮遊をしている物体がある。


 雪に続き梨花も感覚を掴めることが出来た。


「凄い……目の前にあるのは?」


 梨花は目の前にある浮遊している物体を触ろうとしたが、触る前に弾けてしまった。


「今二人が見えていたのは魔力だ」


 と、グネヴィアは目の前に浮いている魔力を掴んだ。


「ほとんどの魔法使いは養成校や訓練生として魔力の感じ方や魔法の使い方を習う。今二人がやったのは基礎中の基礎だ。これからはこれを基盤に訓練していく」


 グネヴィアはそう言うと収納魔法から本を取り出した。


「まぁ最初の1時間はこれを読め。また後で来る」


 グネヴィアはそれだけ言うと二人の前から突然姿を消した。


 突然いなくなったグネヴィアを驚きながらも二人は本を開き、内容を読み始める。


「ねぇ雪。なんでこの世界の文字が読めるの?」


「分からない……でも取り敢えずこの本を読も」

 

「そうだね」


 話し終えると、二人は本を読む為集中をした。


 しばらくするとグネヴィアが空から降ってきた。


「待たせてすまないね。二人とも、本の中身は見たかな?」


「はい!」


「それじゃあ……まずはリカ。向こうにある的に魔法を放ってくれ」


「は、はい!」


 梨花はグネヴィアに渡された本通りに魔力を使った。


(えっと……確かさっきまで感じてたモヤモヤを手に収縮させる)


すると梨花の手に僅かながら光の玉が生まれた。


(もっと……もっと)


 梨花は更に手に魔力を流し、光の玉を増幅させた。


(……今だ!!)


 手に生まれている光を、グネヴィアが用意した的に放った。

 すると光の玉は的の真ん中を射抜き、こぶし大の穴を開けた。


「や、やった……やった!やった!」


 梨花は成功した事に喜んでいた。


 梨花自身、一発で成功するなんて思ってもいなかった。


「す、すごいよ!梨花ちゃん!!」


「まさか一発なんてね……魔法使いの才能はやっぱりあったのね……次はユキの番よ」


「はい!」


 梨花に続き雪も前に出た。


 雪は梨花と同じように右手を前に出し、的の前に行くように置いた。


 すると梨花と同じような光の玉はが、雪の手に生まれた。


「いっけー!!」


 光を的に放った。


 途中までは梨花と同じだったが、光の玉は的に当たる直前で爆発をした。


「ほ、本当に出来た……」


 余りの出来事に梨花とグネヴィアは驚いている。


 光の玉を放った張本人である雪自身も驚いている。


「ユキ……今のは……」


「はい。教官に渡された本に書いてあった物です」


「まさか……それを?」


「はい……何かまずい物でも……」


「ククク……召喚者と言うものは面白いな。何も問題ない。さぁ次の段階は進むぞ。」


 グネヴィアはそう言うと指を鳴らす。すると今まで広い部屋から狭い部屋に変わっていた。


「お前達は私の指導の下訓練してもらう。覚悟するんだな」


「「はい!!」」


「良い返事だ。それじゃまずは走れ」


 グネヴィアの突然の命令に二人は呆然とした。


「え?でも私達は……」

 

 と、梨花。


 だが、


「良いから!は、し、れ!!」


 グネヴィアがそう言うと指を鳴らし、広場へ移動させた。


「雪……取り敢えず走ろうか」


「う、うん」


 梨花と雪はグネヴィアの指示通りにグラウンドを走り始めた。


「言っとくが、勝手に休むなよ!!」


 命令を出した本人は何処から出したのか分からない椅子に座っている。


 それだけでなく、本も読んでいる。


 梨花と雪が走り始めて30分が経った。さすがの梨花と雪は疲れてしまい、地面に座り込んでしまう。


「まぁ良いだろう。今日は終わりだ!」


「今日は……終わり?」


 グネヴィアの意味深な発言に梨花は聞き返した。


「ああ。これからは毎日走ってもらう事になる」

 

「毎日!?」


「リカ。まさか魔法使いは魔法ばかり使うと思っているのか?」


「は、はい……」


「それは大きな間違いだ。確かに魔法ばかり使う馬鹿者もいる。

 だがこの世界にとって魔法とは自身の戦闘能力を上げる為手段だ。なにせ魔法を使う武闘家もいるからな」


「魔法を使う武闘家?」


「例えば……こんな風……に!!」


 グネヴィアは的を出現させ、正拳突きを放つ。


 グネヴィアの拳から紫色の煙が拳を包み、そのまま的を殴る。

 すると的が内部から破裂した。


「こんなメチャクチャな魔法の使い方もある。覚えとくように……と言っても次は魔法の使い方について教えるんだがな。

 これからは座学だ!本を持って、私のところに来い!」


 グネヴィアがそう言うと、梨花と雪は急いで本を回収し、グネヴィアの元へ寄った。

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