4ー15 黒騎士カイルvsアルク3
[聖剣流・地の剣]
セイラが地面を斬りつけると地面が隆起してカイルを攻撃した。だがセイラの放った[地の剣]をカイルは剣を振っただけで掻き消す。
[聖剣流・隼斬り]
今度は手数を増やそうと2人に分身したセイラはカイルとの距離を詰める。
[聖剣流・閃光剣]
[暗黒剣・影の刃・鮮烈]
するとカイルの影から黒騎士が出現し、セイラの攻撃を迎え撃った。激しい剣のぶつかり合いでセイラには所々に切り傷が走り、分身体は首を切断され消えてしまう。
[回復魔法・高等回復]
そう誰かが回復魔法を唱えるとセイラに付いた切り傷が治っていく。
カイルは回復魔法が放たれた方向を見るとそこには翼を顕現させたシエラがいた。
[聖剣流・紫電一閃]
セイラは瞬間移動と見間違えるような攻撃をしたが、カイルに剣が届く直前に剣を胴体の前に置きセイラの攻撃を塞いだ。
[聖剣流・天の刃]
すると剣を空中に投げ、剣が増え始めた。
「降り注げ!」
セイラがそう言い手を振ると空中に浮かんでいる剣がカイルに向かって落ち始めた。雨の様に降り注ぐ剣に、カイルは多少怯んだがすぐに冷静になる。
[暗黒剣・暗舞]
カイルは剣を舞のように振りセイラの攻撃を塞いだ。だが最後に蹴りを入れカイルとの距離を取った。
[光魔法・聖域]
シエラが魔法の名前を言うとカイルの足元に広範囲の魔法陣が展開され、カイルの周囲を光が囲った。
[水魔法・水の渦]
[雷魔法・落雷]
[[融合魔法・水雷の渦]]
セイラが雷魔法、シエラが水魔法を放ち、それぞれの魔法が合わさり強大な魔法となりカイルを襲った。
[地魔法・土の壁]
だがカイルは[土の壁]で身を守りセイラを睨んだ。
しばらくするとセイラは膝を地面に付き片翼が消滅した。カイルは隙を見せたセイラの右脇腹を殴りセイラを無力化した。
「凄い。まさか片翼だけでここまでとは!やはりお前は必ず闇にする。そうすれば我が王も喜ぶだろう!」
そうカイルが言うとセイラが聞いた。
「我が王とはまさか闇の王か?」
「知りたければ闇になれ!」
[光魔法・ホーリーランス]
するとセイラは目の前にいるカイルに魔法を放った。
「ふむ。断るか仕方ない……殺してその力を奪うか……」
カイルがそう言い剣に闇を纏わせるセイラに向かって剣を振った。だがカイルとセイラの足元に魔法陣が出現した。
[光魔法・過剰光]
セイラがそう言うとアルクから盗んだ短剣を後ろに投げ、下がる。
するとその魔法陣にはカイルしか居なくなり、空まで届く程の光の柱が出現した。しばらくするとセイラの魔法が終わりあたり一面に土埃が舞った。
「くくく、今のいい魔法だった」
そう言うと土埃を振り払いカイルが歩き始めた。
「あと少し防御の姿勢をとっていなかったから俺が大怪我をするところだった。」
そう言うカイルの鎧には所々に溶けた跡がありカイルは小さく舌打ちをした。
「それでは……さらばだ。強き一人の戦士よ」
カイルがそう言いセイラに向かって剣を振った。
――――――――――――――
王城の横にある建物に一人の兵士が入ってきた。
「騎士長!大変です闇が出現しました!」
兵士がそう言うと見た目が玉座に等しい椅子に一人の騎士が座っていた。
「そうか……ならば行くしか……」
「いえ!騎士長、ここは私にお任せください!」
騎士長が行こうとした時、後から入って来た騎士が膝跨いだ。
「ロイ……勝機はあるのか?」
「はい!必ずや闇を打ち倒してみましょう!」
「副騎士長ロイ。お前に闇の討伐を任せる。闇を討ちバルト王国に栄光を齎せ」
「はい!」
ロイがそう返事すると建物から出た。
しばらくするとロイは兵士が集まっている広場へ向かった。
「聴け!諸君らも薄々気付いている通り闇が出現した!これより騎士長アーサーの命を受け闇を討伐する!総員今すぐに準備をせよ!」
ロイがそう言うと兵士たちは武器を取りに行こうと兵舎に向かった。
するとロイの元に女兵士がやって来た。
「副騎士長!」
「名はなんだ?」
「はい。ルミアと申します」
「ルミア。何用だ?」
「はい。私を攻撃隊に移籍させて下さい」
「お前は魔法隊の筈だ。なぜ攻撃隊に移籍したい。」
「はい。私の両親は闇に殺されました。私には魔法の才がありますが騎士団に入る前には父が私に剣を教え、私はその剣が好きでした……」
「つまり父から教えてもらった剣で闇を討ちたいと?」
「はい!」
「……分かった。だが今回だけだ。それ以降は無いと思え」
「ありがとうこざいます!」
しばらくすると兵士が続々とロイの元へ集まった。
「これより闇を討伐する!バルト王国に栄光あれ!」
「「「「「「「「「栄光あれ!」」」」」」」」」」
ロイと兵士がそう言うと翼を顕現させ闇が出現した方向へ進行した。
―――――――――――――
カイルがセイラに剣を振ったがセイラに当たる直前でカイルは腕を止めた。
なぜ?それは簡単だ。
背後にはもう動けない筈の人間の気配がするからだ。それはアルクだった。既に魔力欠乏により動けない筈なのに動けるだけでなく、その身は魔力で満ちていた。
カイルは振り向きざまに闇の斬撃を飛ばしたがそこにアルクは居なかった。
「セイラ。大丈夫か?」
背後からアルクの声が聞こえ、振り返るとセイラを安全な場所に移動させたアルクが居た。
「私……は大丈夫だ」
「そうか……」
アルクはセイラの元から離れ、カイルの十分な距離を保ったまま前に立った。
「アルク……何故まだ動ける?お前はもう動けない筈」
「カイル。今度は絶対にお前を殺す」
アルクがそう言うと魔力を解放し、呪文を唱えた。
[恐れよ。畏怖せよ。だが安らかになれ。我は共生を望む者ーーー]
「待て……それは!!」
[我が黒き翼の前に暴虐は要らぬーー]
カイルは急いでアルクとの距離を詰め息の根を止めに掛かった。
[顕現せよ。我が翼よ]
するとアルクの体から黒い魔力が溢れ、カイルを吹っ飛ばした。
アルクから放たれた黒い魔力が晴れるとそこには銀髪で翼を生やした青年が居た。




