4ー12 黒騎士カイル1
「ぐあぁぁ!!」
呪文を唱え闇を完全に解放した黒い魔物は剣に変形させている腕をアルクに振るっていた。
だがアルクは顔色一つ変えずに黒い魔物の攻撃を捌いていた。
「がああああ!」
黒い魔物は勢いを込めてアルクに剣に変形させた腕を叩きつけ、アルクを吹き飛ばした。
アルクは空中で体制を整えた。
[闇魔法・闇の玉]
アルクは闇魔法を唱えるとアルクの周囲に拳サイズの闇の玉が幾つか出現した。するとアルクは手を黒い魔物に向かって振ると闇の玉は一斉に黒い魔物に襲いかかる。
「くっ!」
黒い魔物はアルクの放った魔法は危険だと察知し、アルクの魔法から逃れるために空中に逃げ避けようとする。
だがアルクはその動きを読み、黒い魔物の逃げる方向へ移動した。
[アレキウス神滅剣・大龍輪尾]
アルクは空中で身を捻り反動をつけて刃を振るい、周囲に広範囲の斬撃を放った。
黒い魔物は直前で飛行の軌道を変え、アルクの斬撃を避けようとしたがアルクの魔法が黒い魔物の翼に当たり、飛行状態が維持出来ずに地面に落下した。
[闇魔法・黒雷]
アルクは地面に落下した黒い魔物に向かって黒い雷を放った。魔法は黒い魔物をしっかりと捉え、背中に直撃する。
「ガアアアアアアアアア!!」
アルクは魔法を撃ち終わると黒い魔物に向かって刃を振るうために距離を詰めた。
「ハアアア!」
だが黒い魔物が魔力を解放することによりアルクが距離を詰めるのを阻止した。
「ニンゲン如きが調子に乗るなぁ!!」
黒い魔物はそう叫ぶと収納魔法から何かを取り出し、それを口に入れ始めた。
「がぁぁぁぁぁあ!」
黒い魔物は突然苦しみ出し、アルクは嫌な予感を感じた。この嫌な予感は森で戦ったウェアウルフと同じ予感だった。
「うおおおおおおおおおおお!!」
黒い魔物が咆哮すると黒い魔物の足元に黒い魔法陣が出現した。
アルクは黒い魔物が動く前に仕留めようと距離を詰め、首を切ろうとしたが魔法陣によって黒い魔物の首が守られた。
すると黒い魔物の魔力の解放によりアルクは強制的に距離を取らされ、黒い魔物は完全に魔法陣に包まれ姿が完全に消えた。
アルクは黒い魔物が居た方向を見ると悪寒を感じた。しばらくすると魔法陣が突然割れ、そこから黒い甲冑を被った人間が出現した。
(新手か?黒い魔物はどこに行った?)
今まで目の前に居た黒い魔物は居なく、代わりに黒い甲冑に身を包んだ人間が居た。アルクは黒い魔物と目の前の人間が入れ替わったのだと思った。
「ふむ。なかなかいい力だ」
「誰だ……お前は……」
「なんだ?今まで殺し合いをしていた奴を忘れたのか?……ああ、名前を思い出した。カイルだ。」
そうカイルが言うと手から魔法陣を出し、黒い剣を抜いた。アルクが瞬きをするとカイルが先程まで居た筈の場所から居なかった。するとアルクの背中に熱い感覚を覚え、背中を触ると出血をしていた。
アルクは後ろを見ると剣に付いている血を振り払っているカイルが居た。アルクは地魔法で即席の鞘を作り、それに刀を納め抜刀の構えをした。
[アレキウス神滅剣・神滅ノ刃]
アルクは勢いよく鞘から刀を抜きカイルとの距離を一瞬で詰め刃を振る。
「……!!」
アルクはその時信じられないものを見た。
それはカイルが刀を掴んでいるのだ。刀を振るった時アルクは完全に刃が届いたと思っていた。
「ふん」
カイルはアルクの刀を掴んだまま前蹴りを放ちアルクの鳩尾を蹴った。
「かっ……は……」
「ふん!」
カイルはアルクの隙を見逃さずにもう一撃勢い良く蹴った。
「くっ……[闇魔法・地獄炎]」
アルクは痛みに耐え闇魔法を唱え黒い炎をカイルに放った。
[暗黒剣・黒の刃]
カイルは一瞬で剣に闇を纏わせた剣を振りアルクの魔法を振り払いそのままアルクを切った。




