4ー11 黒い魔物5
「……っは!」
黒い魔物に蹴り飛ばされ壁に向かって座っている状態のアルクが目を覚ました。
「あいつは……」
周囲に目をやると先程いたはずの黒い魔物とセイラがいなかった。
「アルクさん!目を覚ましましたか?」
横に目をやるとシエラがいた。
「シエラ……黒い魔物とセイラさんは?」
「黒い魔物はお姉様の攻撃により城門の外へ行きました……お姉様は黒い魔物の後を追って……」
シエラがそう言いアルクは現在地から一番近い壁を見た。
「ありがとう。もうシエラは安全な所へ避難を……」
「いいえ。私も行きます」
「……でも」
「少しでも近くに回復魔法を使える者がいれば多少なりとも手助けはなります。足手まといにはなりませんから」
「……シエラは城門の上から地面までは回復魔法は届くか?」
「はい。届きます」
「ならあんたを城門の上へ連れて行く。そこから回復魔法を放て。絶対に壁から降りるな」
「はい」
シエラがそう返事するとアルクはシエラを抱えて城門の上へ連れて行った。
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「どうした?前より動きが鈍くなっているぞ」
黒い魔物がそう言い剣に変形させた左腕をセイラ目掛けて振り下ろす。
「……っく」
セイラは振り下ろされた腕を剣で受け止めたのは良かったが、余りの重さとセイラに蓄積されている疲労が混ざり合い片膝を付いた。
黒い魔物は片膝をついているセイラの右脇腹を蹴った。
セイラは黒い魔物の蹴りの勢いを利用して黒い魔物との距離を取る。
「もう一度言う。我らの元へ来ないか?」
「絶対に嫌だ」
「そうか。だが殺すのは惜しい。決めた。強制的に闇へ転化させよう」
「闇……だと?どう言う事だ。闇は滅んだはずだ!」
「滅んだ?闇が?フハハハ……アッハッハッハッハッ!この世に生命体がいる限り闇は滅びはしない!」
黒い魔物がそう言いセイラとの距離を一瞬で詰め、セイラの頭を掴んだ。
「これからお前を闇にする。余りの痛さに死ぬ事があるが、死んだらそこまでの人間だったて言う事だけだ。」
黒い魔物はセイラの頭を掴んでいる腕から黒い霧が溢れ出し、セイラの体を包んだ。
「ぐぁああああああああああああ!!!!」
セイラは自身の精神に侵入してくる異物を排除しようとしていた。
「意外としぶといな。これなら……っな!?」
黒い魔物は更にセイラに闇を注入しようとしたら突然セイラの頭を掴んでいる腕が切断された。
「お前もなかなか頑丈だな」
黒い魔物はアルクにそう言った。
[アレキウス神滅剣・天翔空烈]
アルクは高速で黒い魔物の周囲を移動し、距離を詰めるのと同時に地魔法で足場を作り、重力を利用して勢いよく刀を振りかぶった。
だが黒い魔物はアルクの攻撃を避け、剣に変形させた腕をアルクに向かって右に薙ぎいた。
すると黒い魔物の腕がアルクを透き通った。
「なっ?!」
黒い魔物は周囲を見渡しが、アルクをおろかセイラもいなかった。
「……逃げたのか?」
そう思った瞬間黒い魔物の足元から高密度の魔力を感じ取り、黒い魔物は横に飛ぶ。すると、先程まで黒い魔物がいた所が業火に包まれた。
黒い魔物は背後から悪寒を感じ、剣に変形させている腕を背後に回す。その瞬間、背後から重い衝撃を感じ、黒い魔物は地面に殴り飛ばされた。
「なん……だ?」
黒い魔物は体勢を直し、衝撃を感じた方向を見た。
するとそこには先程までは赤目だったアルクがいた。
「貴様……目が黒い。それにこの力は闇に似ている。……何なんだ。お前は。」
アルクは黒い魔物の質問には答えず、[炎魔法・三つの巨炎弾]を黒い魔物に放った。
だが黒い魔物は腕を振るっただけでアルクの魔法を消した。
「やっぱり普通の魔法は無理か……じゃあこれはどうだ?」
アルクがそう呟くとアルクの手から黒い魔法陣が現れた。
「待て……なぜ貴様が」
[闇魔法・地獄炎]
アルクがそう言うと黒い魔法陣から黒い炎が現れた。
「なぜ……なぜ貴様が闇魔法を使える!黒の民しか使えない闇魔法を!」
アルクは黒い魔物の言葉を無視し、黒い魔物に魔法を放つ。だが黒い魔物は魔法を打ち消すのではなく、アルクの放った闇魔法から逃げた。
[付与魔法・黒炎]
アルクは自身の刀に黒い炎を付与し、[地獄炎]から逃げている黒い魔物の距離を詰めた。
「ガアアアアアアアアア!!」
黒い魔物にアルクの刀が届こうとした時、黒い魔物が咆哮をし、アルクの攻撃と魔法から身を塞いだ。
[顕現せよ!絶望せよ!我が黒翼の前に命あるものは要らぬ!]
黒い魔物が唱えると黒い魔物の背中から黒い翼が生えた。




