2ー6ワイバーン
「おい、今悲鳴とワイバーンの鳴き声も聞こえなかったか?」
「グラウスとフローランスは先に戻って教師に伝えてきて欲しい。」
「待って。じゃあ、あなたはどうするの?」
「声が聞こえた方行く」
「それは危険じゃ無い?」
「俺はこれでも冒険者だぞ。心配すんな」
と、グラウスとフローランスに言い、声が聞こえた所に向かった。
5分ほど森の中を進んでいくと血の匂いがした。
そこには大人三人ほどの大きさをしたワイバーンと生徒が倒れていた。
アルクはとっさに[剣術・斬・八星]を放ったがワイバーンは空を飛び避けた。
「おい!大丈夫か?」
と、声を掛けたが返事はしなかった。
だが息はしていることから死んではいない。
アルクはワイバーンに向き直り黒赤刀を収納魔法から取り出し構えた。
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フローランスとグラウスは空を飛んで開始時点に向かおうとしていた。
「なぁフローランス、アルクはワイバーンに勝てると思うか?」
「分からない。そもそも彼の戦っているところは見たことない。あなたは見たことある?」
「ああ、一度だけ戦った事がある。」
「強かった?」
「強かった。しかもまだまだ余力を残して」
実際そうだったアルクはグラウスの動き方を見てから倒した。そう話しているうちに開始時点に着く。
「む?どうした?」
「先生、森の中にワイバーンがいる可能性があります」
「どう言う事だ?」
「実は目的地まで向かう途中で障害物が壊されていて、その近くにこれが落ちていたんです」
と、グラウスはワイバーンの鱗を出し教師に見せた。
「確かにワイバーンの鱗だが信じられないな、学院周辺には結界が貼られているはず」
「とにかく付いてきて下さい」
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[剣術・斬・八星]を放ったがワイバーンはまた避け炎を吐いた。
ここは木に囲まれているため、もし木に移ったら山火事が起こる
[付与魔法重力]
アルクは別の魔法を刀に付与し、炎を断ち切った。
するとワイバーンは目を見開いていた。おそらく驚いているのだろう。
当たり前だ。炎を断ち切り消滅したのだ。
するとワイバーンは突撃してきた。
アルクはそれに合わせて切ったが刃が入らなかった。
「やっぱり。今の俺の技量じゃ無理か」
(だとしてもこのままだと俺が負ける……落とすか)
アルクは探知魔法を使い人がいないことを確かめるとアルクは汎用魔法・飛行と閃光を使いワイバーンを地面に墜落させた。
[アレキウス神滅剣・抜刀・神殺ノ刃]
アルクは刀を鞘にしまい、抜刀の形を取る。そして、刀を抜きワイバーンの首に刀を当てると、硬かったワイバーンの首は紙を切るように切断した。
―――――――――
アルクがワイバーンの首を切った時、遠くで見ていた者がいた。
「今の剣術は」
「どうした?レウス?」
「いや。今俺と同じ剣術を使う奴がいてな」
「ワイバーンの首を切った奴か?」
「うん。まぁ気のせいかと思うけど」
「そうか。とにかく早く目的地に行くぞ。」
「りょーかい」
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ワイバーンの首を切った後アルクは倒れていた生徒を治療していた。
「ん、うーん」
「起きたか?」
「あ、あれ?確かワイバーンに襲われた筈……」
「ワイバーンなら俺が倒したから大丈夫だ」
「そうですか……ありがとうございます」
「俺の名前はアルクだ。あんたは?」
「アリエと言います」
「そうか。立てるか?今からスタート時点に戻るから」
と、言った。
アリエは茶髪茶目で身長は150の女生徒だ。
「ところでなんでワイバーンに襲われてたんだ?」
「ああ、実は同じ班のの人に見捨てられて」
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事はこうだ。
飛行訓練で目的地に向かっている時にリーダーの女子クロエがアリエにこう言った
「ねぇ。暇だから面白いことしてよ」
と、言った。
すると残りの人も同意した。いわゆる弄りと言う奴だ。
もちろんアリエは無理だと言ったがそれが不味かったのかリーダーのクロエが怒りこう言った
「じゃあ、森に向かって火炎弾を打ちなさいよ」
と、言った。
「無理だよ……そんな事をしたら森が燃えちゃうよ……」
もちろんそんな無茶な頼みをアリエが承諾もせず断る。
「何?クロエ様のの言う事が聞けないの?」
と、取り巻きが茶化し仕方なく打った。
すると森から鳴き声が聞こえ下を見るとワイバーンがこちらに飛んできた。
「なんでこんなところにワイバーンが?」
「私だって知りたいわよ!仕方ない……アリエ!動くんじゃないわよ!」
と、リーダーのクロエがアリエを呼び呪文を唱えた。
[神よ罪あるものを縛れ・拘束]
クロエの唱えた呪文はアリエを縛る。
「悪いけどアリエ私たちのために囮になって」
と、言いリーダーのクロエは取り巻きたちと一緒に逃げた。
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「という事で」
「ひどい話だな」
「大丈夫ですよ。平民である私がクロエさんといるだけで満足ですから」
「そう言うものか?」
と、話をしているうちにスタート時点まで戻ってきた。
そこには教師と話をしているグラウスとフローランスが居た
「おーい。着いたぞー」
「アルク!ってその傷どうした?」
「やっぱりワイバーンが居てな。ちゃんと倒したぞ」
と、グラウスと話していると
「待て。ワイバーンなんかこんなところにいるわけがない」
と、教師が言った。




