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エピローグ:アスラ王国滅亡
そこからは早かった。
君主を失い戦う理由も失くした王国軍を退けることなど簡単である。
後ろ盾を失くした王国軍には脱走兵が続出し、戦線は崩壊。
数日足らずで王都のある王国領土の半分まで戦線は進んだ。
だが逆を言うとそこまで。
王国領土に足を踏み入れたことで魔王軍は三つの国と隣接する事となる。
北のレクタリア帝国、西のヘルミオ神聖国、南のフルワ共和国。
アスラ国王は布石を打っていたようで、西半分の領土は速やかにこの三か国に吸収され、援軍と後ろ盾を得た元王国軍は士気を取り戻し、戦線は膠着状態へと陥る。
人類側からすると、王都を犠牲に被害を最小限に抑えられた訳だ。
魔王軍としても状況はこれまでと変わり、慎重さが求められる時期へとなった。
戦線を押し進める事など簡単だろうが、一先ずは勝利の美酒へ酔いしれる事へとなったのである。
実質的に、アスラ国王の領土の半分は魔王国の領土となった。
言うまでも無いだろうが、アスラ王国は滅亡したのである。




