36話〜行商〜
「テル早かったわね! マントの魔族はどうだったの?」
「うん……」
朝サミーさんから預かった手紙をライリーさんに渡し、ヒカルを訪ねた。先ずはイエロ君の事を報告しよう。
「なるほどね、帝国と戦うのが目的だったのなら、もう大丈夫そうね」
「サクラさんがついてるし大丈夫だよ」
「そうね」
「イエロ君は大丈夫なんだけど……イエロ君とマルスさんの話で気になる事があって」
「どんな話なの?」
「うん、イエロ君の話だと……」
イエロ君の言っていた、帝国が獣人国との戦争に向かってる話、そしてその過程でドワーフ王国と揉めている話をヒカルに話した。
「イエロって魔族がそんな話をね……」
「うん、ヒカルはどう思う?」
「ジャック元王や、父様とケイレブ公の会談の話とも辻褄が合うわね……」
「うん……ぼく村に戻ってテツと話してくるよ」
「テツには話さない方がいいんじゃない? 帰れないのに心配だけさせても?」
「マルスさんとテツは仲がいいから……今、村で一緒にいるはずだし」
「それじゃマルスが話してるわね?」
「うん、きっと」
「わかったわ、わたしも行く!」
「うん」
ヒカルは、ケイレブ公との会談後、エルフィさんとレオンさんとの協議を続けていたけど、それも落ち着いたみたいだ。
「ずっと城に篭ってるのは合わないのよね、やっぱり外出回ってる方がいいわ!」
「やっぱりヒカルなんだね……たまに、ただの可愛いらしい女の子に思えるけど」
「テルあんた……やっぱり、そうゆう趣向が……」
「えっ?」
「この前わたしが寝てる時に、あんた変異な事してないわよね?」
「な、何を? しないよ! する訳ないよ!」
「その反応、怪しいわね……」
「ほんとだって! 何もしてないよ?」
「ま、いいわ、村に着くわよ」
ヒカル……やっぱり、もうすっかり女の子になったのかな……って、それよりテツと話しに行かないと。
「おーテル、来ると思ったぜ」
「テルさん、其方のお嬢さんは王女様だったのですね?」
「ヒカルでいいわ」
「うん、テツ来ると思ったって?」
「テルの事だ、マルスの話聞いて心配して来ると思ったって事だ」
「テツも話は聞いてるのね? って事はドワーフ王国が心配じゃないの?」
「当たり前だろ? あの兄貴だぞ? 心配なんてする意味ねーだろ?」
「そうね……テル?」
「テツ、実は……」
ぼくはイエロ君の話をテツにも話した。
「ケイレブ公の話と合わせてみると、おそらくその話は正しい情報だわ」
「そうか……それでも兄貴に心配はいらねーと思うけどな、それにヒカルとテルは行くつもりなんだろ?」
「そうね! 行くのが早いわね!」
「うん!」
「テル、お前等にも心配はいらねーよな?」
「大丈夫だよテツ、行ってくるよ!」
「テルさん、それでしたら私もご一緒させていただけませんか?」
「そうね、行商人としての方が目立たないわね」
「そうだね」
「それじゃわたしは帰るわ、明日橋で待ち合わせましょう」
「うん」
ぼくはマサの部屋を借りて泊まる事にした。マルスさんは遅くまでテツに付き合わされてたみたいだな……。
「昨日も遅くまでテツと飲んでたみたいなのに、マルスさん元気ですね?」
「えー、私もお酒は嫌いではないですからね」
「あっ、もうヒカル着いてるみたいですね」
「えー、そのようで」
「テル、マルス早かったわね」
「うん、ヒカルおはよう」
「ヒカル様、おはようございます」
「マルスの馬車もテツに車にしてもらったのね?」
「えー、これはすごいです! これなら長旅も辛くないですね」
「そうね、これまるでトラックね」
「『とらっく』と言うのですか?」
「いや……なんとなく言ってみただけよ……それより行くわよ!」
「そうですね! では私が御者を……御者でいいのですかね?」
「御者じゃなくて運転手ね」
「なるほど、それでは私が運転手をいたしましょう」
「マルスさん大丈夫ですか?」
「えー、テツさんに教えていただきましたので、では出発いたしますね!」
ケイレブ公国を抜けた奥の海沿いにあるドワーフ王国を目指して、ぼく達は出発した。ぼくとヒカルはマルスさんの従者として向かう、行商人として。
おざきです
貴重なお時間をわたしにいただき感謝します
お読みいただきありがとうございました♪




