37話〜ドワーフ王〜
「止まれー! 止まるんだ!」
ここがドワーフ王国へ抜ける、唯一の谷の道か。1万人位いるのかな? 帝国兵が並んでいる。確かにこれでは素通りは出来そうもない。
「はい、何でしょうか?」
「私は帝国第4兵団団長のタイガだ、ケイレブ公国からのドワーフ王国への輸出は禁止されている」
「そうでしたか、行商をしておりまして、エルフィ王国で買い付けた品をドワーフ王国の貴族に売りに行くとこなのですが?」
「エルフィ王国から? 積荷は何だ?」
「エルフィ王国の幻の村で作られてる酒でございます」
「ちょっと見せてもらえるか?」
「はい、どうぞ」
「これ全部酒なのか?」
「はい、そうでございます、もうよろしいでしょうか?」
「いや待て、食糧や物資を通すなと言われてるんだ」
「それは困りましたね、商人としての信用を失いかねません……半分だけでも持って行ければ損もせずに信用を保てるのですが……」
「気持ちはわからんでもないんだがな……」
「では、半分は兵団の皆さんに置いて行くのでいかがでしょう? 幻の村で限られた量しか作られない貴重な酒なのですが?」
「我々も命令を受けている、いいとは言えない……」
「そうですか」
「半分だと20樽程だな、降ろすぞ……いいか、樽を降ろした後我々はその樽を運ぶのに少しこの場を離れるぞ? いいな?」
「そうですか、ありがとうございます」
「おい、みな差し入れの酒だ! 運ぶのを手伝え!」
「今の内に行けって事ね、やるわねマルス! 行きましょう」
「話のわかる団長さんで良かったです」
なんとか通れて良かった。ドワーフ王国のフル城はもう、すぐ近くだし無事に着けそうだ。
「着いたわね」
「うん、久しぶりに来たけど……ずいぶんと街の雰囲気が変わったような」
「テルさんがここを訪れたのはいつ頃でしたか?」
「えっ、もう10年は前ですね」
「その頃でしたら、もっと街中が煙と熱気に覆われていたでしょう」
「そう言えば! そうですね!」
「今はその頃の1割程も工場や鍛冶場は稼働してないようですから、そのせいでしょうな」
「そうなんですか……」
「行くわよテル!」
「うん、ぼく達はフル王と面識があるので会いに行ってきます」
「はい、それではお得意様の貴族の方に挨拶した後、この国のギルドでお待ちします」
「わかったわ、ありがとうマルス!」
「マルスさん、また後ほど」
「はい」
ここへ来るのはヒカルの聖剣をツナフル王に作ってもらった以来だ。
「ドワっははは! エルフィの娘がポールも連れず護衛1人だけ連れて来たと聞いたが! てめーだったか! 元気そーじゃねーかテル!」
「ツナさんお久しぶりです」
「おー! エルフィの姫も帝国兵共掻い潜ってよく来たな! で、何しに来たんだ?」
「フル王……つい先日ケイレブ公と会って話を聞きましたわ、それでもっと詳しく聞きたくて来ました」
「聞いてどうすんだ? まー簡単な話だ、帝国の奴らは
ここの技術が欲しいらしい、物資の流通止めて俺が泣きついて来るのを待ってんだ、そんだけだ」
「他国からの流通を絶っても大丈夫なの?」
「大丈夫な訳ねーだろ、だがな俺らは技術者の国だ、どうするかなんて話し合ってもまとまらねー、そーゆーのは、あいつの方が得意だからな、元気にしてんのか?」
「テツなら元気です、今もエルフィ王国に村を作って一緒に過ごしてます」
「やっぱりテルと一緒だったか、おめーらの乗り物もあいつが作ったのか?」
「はい」
ツナさんはテツ家族の事が気になってるようだ、ぼくはもう少しテツやマサの事をツナさんに話した。現在のエルフィ王国の事情も。
「あのマサが立派になったもんだな、それにエルフィで豊富に資材があるとはな」
「えぇ、ダンジョンが見つかったのよ」
「間に帝国量がなけりゃエルフィに頼れたんだがな、ケイレブ公国から帝国を追い出せりゃー……」
「大丈夫よ、そんな事しなくても」
「どーゆー事だ?」
「海からなら直接出入り出来るわ」
「海から?」
「そう、海を走る乗り物を作ってまたここへ来るわ」
そうか、船なら陸路よりダンジョンとドワーフ王国は近いかも。
おざきです
貴重なお時間をわたしにいただき感謝します
お読みいただきありがとうございました♪




