婚約者様と登城
モフィル女王陛下、
私、一応、人で女なんですよ。
ハロの愛竜『キャロ』に乗って王宮まで来ました。
「ハロルドさん、噂の婚約者さんですか?」
受け付けの人が言った。
「ええ、そうです。」
ハロが言った。
キャロは外の竜舎で待ってる。
「可愛いですね、お気をつけてください、お嬢さん。」
受け付けの人が言った。
可愛い?どうして気を付けるわけ?
「竜騎士ハロルド・セーライト様と婚約者宇水千陽様、どうぞお入りください。」
事前に話が通っているのか謁見室には
すぐに通してもらえた。
玉座には若い短い黒髪の女性が藤の花の冠を頭に座っている。
「よく来ましたね。」
女性は言った。
「拝謁賜り恐悦至極でございます。」
ハロが竜騎士の礼をとったので。
私は日本式の礼をしておいた。
「...ねえ、あなた、こっちにいらっしゃい。」
女王陛下が手招きした。
私はどうしようと思いながら近づいた。
「可愛いー!可愛い!可愛い!」
近づいたとたん女王陛下に抱きつかれた。
「陛下、こ無体はいけません。」
側近らしい人があわてていった。
ハロも困惑している。
「あーん、可愛すぎ~、ルーアミーアの王太子妃がいままでベストワンだったけど、今日からこの子が一番よー。」
女王陛下が言った。
はなしてほしいです。
「陛下、私の婚約者です。」
ハロが引き離しにきた。
「だめ、今夜一緒に寝るの。」
...は?どういう意味ですか?
「可愛いから、抱き締めて寝るの。」
...縫いぐるみ?
「陛下、ご無体はいけません。」
側近らしい人が再び言った。
「ええー、いやー、可愛いものは独占したいの~。」
女王陛下は駄々をこねた。
「やめてください。」
私は泣きそうだった。
ハロもどうやって引きはなそうか
悩んでいる。
女王陛下だもんね。
「ねぇ、ハロルド、私の夫になること断ったんだからこの子ちょうだい~。」
女王陛下が言った。
えーん、技かけられないよ~。
「...お断りします。」
ハロが言った。
あ、なんとか引き剥がした。
「...ハロ、痛い。」
私は言った。
なんで赤ちゃんダッコされる
と痛いんだろう。
力入り過ぎだよ。
「ハロルドなんてまともに抱けないんじゃない。」
女王陛下が言った。
あー、ダメージ受けてるよ。
すぐにハロは私を床に下ろした。
「陛下、セーライト様をいじめないでください。」
側近らしい人が言った。
「ハア、可愛い子はみんな、他の人のものなのよね。」
女王陛下が言った。
こう言う趣味ならなんで
ハロなんぞ夫にしようとした?
ハロは美青年だけど...可愛い系じゃないよね。
「そう言えば、女王陛下の伴侶は決まったのですか?」
ハロが地雷を踏んだらしい。
「....フフフフ、ハロルド・セーライトが断るから、またあの連中が私の夫候補出してきやがったわ。」
女王陛下が暗く言った。
あの連中?誰?
「まあ、ある意味、有益なご縁談では?」
側近が言った。
「いいえ、ラシュルドを連中のくいものにするわけにいかないわ。」
女王陛下が言った。
「しかし、いつまでも、独身ではつけこまれますよ。」
側近が言った。
「私はあの子がいいわね、だから、私にお嫁にちょうだい。」
女王陛下が言った。
「私の婚約者です。」
ハロが言った。
「...新年会に千陽さんも招待するわ、ハロルドは出席義務あるわよね。」
女王陛下が笑った。
なんか怖いよ。
「つ、慎んで御辞退させて頂きます。」
私は言った。
「でたほうがいいと思うわ。」
女王陛下が言った。
そうかな?ヤバイかな?でるか。
「わかりました、出席します。」
私が言うと女王陛下は嬉しそうに微笑んだ。
うーん、なんか厄介そうだな。
どんな陰謀が待ってるんだろう。
って雰囲気なんですが。
ハロさん、私を巻き込まないでください。
女王陛下もですよ。