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灰色景色  作者: 焼ミートスパ
第二章 破談景色
22/107

22 雪子、高値で喧嘩を買う

「私に逆らってタダで済むとは思わない事ね!」


雪子は蒼月@芸名 から脅された


だから堂々と言い返した


「わかりましたわ」






それを聞いて全面降伏をしたと蒼月一派は勘ちがいした


「時間がないから早く(着物を)用意しなさい」


「まったくもう、手間をとらせないでいただきたいわ」


言いたい放題であった


雪子が年下だということを勘案しても酷過ぎる


・・・実に残念な一派であった





一方雪子は動じなかった


この方々はバカなのかしら


心の中でそう思う余裕があった


もはやどちらが年上かわからなくなってきていた





おかげで雪子はどんなに詰られようと動じることはなかった


むしろ動揺する方が難しかった


早い話、幼稚園児に『ばーか』と言われて怒る大人はいないのと同じである






その場から動かないことから蒼月一派は腹を立てた


まさに世界が自分達中心に回っているのではないかと思えるくらい愚かである


そして蒼月の妹弟子の一人がとうとうガマンできなくなり怒鳴った


「時間がないんんだから早くしなさい!」






<バッ>


雪子は扇子を広げ口元を隠した


そして言った


「おかしなことをおっしゃいますこと」




大体


「どうなってもいいのか」


と蒼月から喧嘩を売られたので


「わかりましたわ」


と雪子は高値で買ったのだ





蒼月はそれを判っていない


雪子は蒼月が判っていないのを知りながらわざと教えず混乱させる気満々だった





さあどうなるのかしら


雪子は内心ワクワクだった




雪子は日本舞踊おどりに何の未練もない


だから強気になれる


まあ勝田良子いじめっこのあねへの嫌がらせのためならばもしも日本舞踊が好きであっても捨てるつもりだったのだが・・・





もちろん雪子は最初に付いた嘘 ~着物がない~ を貫き通すつもりだった


まあここで「実は・・・」なんて言おうものなら悪役にされるのだから当然である


女子の世界はおかしいのである





「着物を貸すと言いながら!」


と雪子は非難された


冤罪の上、完全に悪役である




またそれ以外にも罵詈雑言が飛んできた


まさに四面楚歌


雪子一人に10人以上の人間が口々に責めていた






「おかしなことを言われますのね?


わたくしは『酷い事をする』と脅されたので『どうぞ』と返事をしただけですわ


勝手に着物を貸すとか話をねつ造しないでいただけるかしら?」





年上であっても言う事は言う


相手が理解できなくても正しければ後から挽回はできる


父親からの教えであった




雪子がフラグを立てても回収できない場合、父親が代わりに破滅フラグを回収するという密約があった


・・・もしもすべてを俯瞰する存在がいたら娘に何を教えているのか、と非難したことだろう






「一体何の怨みがあって!」


蒼月がとうとう切れた


とっくに出演時間が過ぎていた


蒼月の舞踏家としてのキャリアに泥が塗れた瞬間だった







「わたくし勝田の家から喧嘩を売られてますのよ?」


だから勝田良子いじめっこのあねを少しでも喜ばすことはしない


当然勝田良子がいる蒼月派閥に着物を貸して喜ばすこともない


もっても着物なんて持っていたとしても貸しませんけどね


雪子は胸を張って言った





・・・雪子はさりげなく蒼月からの宣戦布告とイジメの報復を結び付けていた


いや雪子の中では『坊主憎ければ袈裟まで憎い』とのことで一蓮托生であった


もっともそれが蒼月たにんが判るはずがない


だから懇切丁寧に説明をした





完全な言いがかりなのである


だがそれに蒼月は気が付かなかった






勝田良子へも憎しみが向き復讐の駒になればいいな


その程度の動機であった


だが被害が予想以上に大きくなり勝田良子が困るのはもう少し後の話である


・・・人生何が影響をするか判らないものである





話を戻す




この場においても着物が無いと言い張る?


勝田(姉)のために無関係な蒼月わたしが割を食った?


全然関係のない蒼月わたしが巻きこまれた?


弟の復讐を姉にする?


そのせいで姉弟子わたしにまで復讐がおよんだ?


あまりのことに蒼月は頭が真っ白になった





しばらくして頭が少し働くようになると怒りの感情で頭がいっぱいになった




「は、破門よ、破門!」


怒りのあまり蒼月はつい口に出した





「わかりました、御世話になりました」


雪子は頭も下げずに了承した


破門なのだから今後は無関係


当然のことながら礼儀はなしである





「では、ごきげんよう」


優雅に口先だけで挨拶をした後、雪子は控室を出ていった






後には事態についていけない面々が取り残されていた


それはそうである


10年以上続いた芸事をあっさりと放り出したのだ


ついてこれる方がおかしいのである




もっともこの一件が元で日本舞踊界で大きな力を持つ月影流が消えてなくなるのはもう少し後の話

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