第18話 システム開発 最後
それからの1カ月間私はチームメンバーから無視される日々を送った。
朝の挨拶はもちろん無視。
過去の経験から相手からの返事がなくても私は挨拶をし続けた。
チームミーティングでは私だけ出席依頼の通知が来ないので参加しなかった。
もちろんチームミーティングの資料配布もなし。
チーム内のメールでの連絡周知はグループアドレスを使わず個別にチームメンバーを指定して私以外に送付するという徹底ぶりだった。
それでも私は1カ月間仕事をし続けた。
そしてあの日私は退勤時副部長のところに行き
「ここまでクズだとは正直思ってもいなかったよ。
この会社の人は前の会社に比べるといい人が多いから油断していたがあなたは別だ。
今日が最後の出社日だ。明日からはもう会社に来ない。
手続きは私が人事部と直接やるのであなたは不要です。」
そう言ってホワイトボードにある自分の予定表欄に”退職”と書いて帰った。
この後のことは会社に居た仲のよい同僚から聞いた話になる。
私が帰った後、副部長たちは騒いでいたらしい。
ホワイトボードに退職と書かれている。
退職なんて認めないと笑いながら話していた。
翌日副部長は役員に呼び出されていた。
「大津からこんなメールが来ている。
内容をプリントアウトしたから見てみろ。」
副部長はその紙を受け取った。
”突然の退職理由”
と題された私が1カ月間にわたって受けていたいじめの内容とその発端となったシステム開発の失敗の件について詳細に書かれていた。
副部長の顔は青ざめていた。
そしてこう口にした。
「実は・・・言えなかったのですが私が大津くんからいじめをされていたのです。
この内容は私が大津くんをいじめたように書かれていますが真相は全くの逆で私が被害者なのです。」
「それは誰が証明してくれるんや?」
「・・・私の部下たちならきっと大津くんの悪逆ぶりを話してくれます。
彼らもまた大津くんからいじめを受けていました。」
「君の部下なら君の有利なことを話すのは当然やろう。
部下以外で話してくれる人はいるのか?」
「彼は卑怯なやつでして外面がよいので他の部署の方は気が付いていないかと。」
「ここに書かれていることが本当なら他の部署に人らも知っているよな。
いじめかどうかはわからんが誰が誰に対して言っていたかは覚えているんちゃうか?」
「・・・私には・・・わかりません。」
「辞めてしまったもんはしゃーない。
この告発文によるとシステム開発は失敗していると書いている。
これはどういうことや?」
「失敗してなどいません。
むしろ彼が足を引っ張っていたのです。
彼が退職した今成功への道が開けたのです。
しかし彼は卑怯な人間でしたが貴重なITエンジニアでした、その知識がなくてはシステム開発はできないでしょう。
ここは私も非常に残念ですがシステム開発は彼の責任により終了ということで・・・」
「いや終了せんでええよ。
ITエンジニアの人らって派遣でいくらでも呼べるでしょ。
うちにもそういう人材派遣の営業ようさん来てるよ。
システム開発費用が膨大に膨れ上がっていると書いているんやから派遣で必要な数だけITエンジニアを取り寄せればいい。
それでシステムを開発したらいい。
少々予算オーバーになってもこの大幅に増えた開発費用からしたら気にせんでええ額やろう。
大津が足を引っ張っていたって言うたな。
それなら大津抜きで作ってみろ。」
「・・・はい。」
副部長の顔はとても青ざめていたという。
その後役員の指示通り数名のITエンジニアを派遣してもらい。
システム開発を続行したが開発は進まず、とん挫してしまった。
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