第十鋼
そして決戦の時が来た。
平日の昼間だというのに100万人の成人男性が渋谷に集結し、
それはワルイドが変異させた怪人の軍隊だった。
東京征服という野望を抱える以上、毎週1人なわけがなかった。
対する人間界の戦士は鋼音ちゃん1人。
妖精界からは俺。増援は無い。
ここ最近のビル崩壊の影響で都内の小中学校は
全面的に学級閉鎖の対応がなされていた。
なので決してサボりとかではない。
「やあ、考え直してくれたかい?」
ワルイドが問い掛ける。
先日はっきりと断ったのに、まだ諦めていないようだ。
俺は首を横に振り、拒絶の意志を示した。
「フッ、残念だよ……」
そしてまた、敵は瞬間移動で立ち去ろうとした。
「させるかあぁぁ!!」
俺は事前に仕掛けておいたトラップを発動させ、
瞬間移動どころか全ての魔法を封じることに成功した。
これで奴はただのブサイクなファンシー生物となった。
「鋼音ちゃん、焼却処分だ!」
「うん、任せて!」
ワルイドはなぜか慌てていた。
奴はどうも俺が寝返ることを期待していたようだ。
俺が妖精界に対して不満を持っているという情報をどこかで得たのだろう。
もしくは俺の置かれている状況から天才的頭脳で導き出したのかもしれない。
そんな経緯はどうでもいい。
俺に妖精の仲間なんていらない。
「──ヨシキィィーーーッ!!!」
鋼音ちゃんの放つ熱光線が、その火力をどんどん増幅させてゆく。
7万度、8万度、9万度、10万度……彼女の魔法に限界は無い。
余談だが太陽の表面温度は6000度らしい。
その10倍以上の熱が敵に向かって放たれているのだ。
ワルイドは初弾でとっくに消滅した。
怪人軍団もこの熱の前には為す術が無い。
敵として立ちはだかった以上、逃げることは許されない。
覚悟の無かった者たちが命乞いをしてきたが、もう遅い。
その日、東京は地図から消えた。
ワルイドの野望“東京征服”はこれで防ぐことができた。
次は妖精界だ。
敵は倒す。それだけだ。




