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1-9. まどろみ

リア充です!


以上!!

(武良)は ふっ と 意識が 起きる


ぼんやり目が開いた視線の先に 天井から下がり わずかに揺れて居る 千羽鶴のモールが目に入る


愛妻が 一目惚れして 日本で買い求めた お気に入りだ


あぁ、 ここは、 自宅だったな。


途端に 意識は まどろみ 二度寝に入りたい様な 起きたい様な


どうしようかなぁ


おや ベッドが 広い事に 気が付く


隣に 四六時中いて欲しい 存在が いない



トン トン トン


ジュー ジュジュジュ ジュー


コポ コポ コポ コポ



朝食を 作ってくれて居る音が ささやかに 壁越しに まどろむ意識に 届く


今朝は 当番の愛妻が 朝食を 作ってくれて居る


ふふふ♪ 甘えて このまま 二度寝に 陥りたいような


気だるい身体に 喝をいれて 俺が世界で一番お気に入りの 彼女の笑顔をー 拝みに 行きたいような うー


カチャ


そうっと 扉を開ける 音がする


狸寝入り(寝たふり)で 待ち構える 作戦を (えら)んだ♪


ふわりと 朝食の香りが 寝室に入り込んで来る


そうっと こちらを伺いながら 忍び足で 近寄って来る 気配が する


………


おや? アクションが 止まってる? ベッドサイドに 立ってるのかな?


「ふふふ♪」


愛妻の、ちいさな含み笑いが、顔の近くで聞こえて来る。 おやまぁ、俺の寝顔を、見つめてくれているのかな。


チュッ♪


俺の右頬に、優しいキスをしてくれる。


「お寝坊さ〜ん♪ 起きて起きて♪ スープが冷めてしまう前にね♪」


と、鈴の音の様な優しい声の英語で、(ささや)かれる右耳が、少し(くすぐ)ったい。


「んっ、ううーん!」初めて起きた様に、両手を挙げて背伸びをする。


そのまま愛妻の両肩を捕まえて、優しく自分の左側に放り込む。


「やん♪」可愛い声をあげる。


「おーはーようー♪」俺は捕まえた、暖かで、しなやかで、柔らかい身体を、優しく抱き締める。


「おはよう♪ よく眠れた?」彼女は逆らわず、むしろ、俺を抱き締め返してくれる。


「うん。マリアと眠る時が、一番深く眠れる」


うふふ♪ 彼女は、嬉しそうに微笑む。


可愛い♪


俺は、愛妻の唇に、優しいキスをする。


あぁ、ちなみに朝の口臭は大丈夫。和光堂と言う洗剤メーカーと『侍』が共同開発した、マウス・ウォッシュで口をすすぐと、数日間口内細菌を抑え、口臭やネバネバを抑える。さらに口内炎まで予防出来る優れものだ。歯周病菌や口内細菌を駆逐する、ナノマシンが肝心で……


おっと。現状況(取り込み中)で、そんな話は、どうでもいい。


彼女の唇を、俺の唇で、優しく撫でる。


うん♪


彼女は、反応する。


彼女の唇を、俺の唇で、優しく揉む。


あっ♪


彼女の唇は、少し開く。


すかさず俺の舌を、彼女の口内に滑り込ませる。


見付けた♪


(とら)えた彼女の形良い舌を、俺の舌で、ジワリと(さす)る。


ん、うー、ぅん♪


彼女の舌は、甘い。


しばらく、彼女の舌を(もてあそ)び、(たの)しむ。


ん♪「んっ、ん!」 んうんぅ♪


マリアは全身で身悶えながら、嬌声にまじって、何か訴えたい様な。


マリアの弱い所はー、左仙腸関節の溝とー、大椎すぐ上の右うなじ♪


右手指を、彼女の左仙腸関節の溝に当て、左手指を右うなじに持って行く。


同時に、優しく、ジワリと(さす)る。


「あぁあぁあ! No!! まっえ! 待って!!」


マリアは全身をガクガク震わせ、俺の唇から自分の唇を、離してしまう。


「ねねね! あのね!……スープ冷めちゃうから……」真っ赤に成ったマリアは、慌てて俺を、朝食に誘う。


ケホッ! ケホケホッ!


彼女は、急に咳き込む。


……そう言えば、昨夜は、マリアに嬌声を上げさせ過ぎた様な。


反省


愛妻を、優しく両手で抱え上げ、床に降りる。彼女を抱え上げたまま、寝室から出る。


「あ、あのね。ご、ゴメンね」顔が火照ったままのマリアは、このままくっ付いて居たそうな、でも朝食がー、とない交ぜな表情に成る。


チュッ♪


彼女の右頬に、キスをする。


「まだまだ時間有るから♪ 後でね♪」


「んー。もう」マリアの顔は、更に火照る。


キッチンカウンターに近付くと、スープの良い香りが強くなる。


マリアを降ろし、二人分にセッティングして有る、ダイニングテーブルに座る。


彼女は、自分の城(キッチン)に入り、自由に動き回り始める。


そう言えば初めて出逢った時も、彼女の御店(自分の城)で、持て成しを受けたっけ。


「はい、お待ち堂様♪」


惚れ惚れする笑顔で、スープ・ボウルを二つ配膳してくれる。


そうだー。この笑顔に、惚れたんだよな。


「うん? なぁに♪」武良の斜め右隣に座りながら、見つめられて居る事に気が付き、苦笑いで聞いて来る。


「マリアの笑顔が、世界で一番好きだなぁ」見つめたまま、感じたままを、当たり前の事の様につぶやく。


ぼん! と、音がしそうな程マリア顔は、一瞬で火照る。


「……あ、ありがちょ! さ、冷める前に、どうぞ!」


噛んだな♪


「いただきます」スープ・スプーンを取り上げ、スープ・ボウルに一礼する。


ひと(すく)いして、口に運ぶ。


うーん♪ 「美味い♪」思わず、微笑みがこぼれる。


「うふふ。良かった。ちょっとレシピと出汁を、調節して見たの♪」


匙が進む。


「すごいねぇ。ひと匙毎に、この身に染み渡るよ」感心する。


「『侍グルメ』の執筆者に、お褒め頂けたなら、合格ね。店で出すは♪」


「そうかぁ。次の案件に目処(めど)が付いたら、ロータス・フラワー(マリアの店)に行かなくちゃ」


マリアの表情は、途端にしぼむ。


おっと。迂闊(うかつ)な一言だったな。


愛妻(マリア)にも、異世界探訪の概要は話してある。


が、確かに『異世界て!?』と、なるわなー。


地球上なら任務の隙間に、地球の裏側に居ても、分単位で豆々(まめまめ)しく自宅に帰って来れる。


が、異世界なら『現在は』数日〜数週間?は、離れ離れだ。


いずれ、転移ゲートが安定駆動すれば、いつも通り豆々しく帰宅出来る『はず』だが。


()』の愛妻(マリア)の、気になる所は其処(そこ)では無い。


「……安全なの?」


「……危険度は、この地球上と、変わらないと思うよ」


「……そう。やっぱり『行って見なければ、わからない』のね」


うーん。(するど)過ぎる愛妻には、嘘はつきたくないしー


「……ごめんなさい。『侍の妻』の言葉では無かったはね」マリアは日本人女性の様に、居住まいを正して、一礼(謝罪)する。


武良は、ほろ苦く笑い、愛妻の謝罪を優しく受け止める。


しかし、あくまでも『武良自身の身の危険』を、否定しない。


実は『侍』との結婚には、『『侍の妻』としての、守秘義務要項の同意書』への署名(サイン)の他に。


『配偶者要項』への『理解』が求められる。


『同意書』では無い。


ただ、『侍』の『生き様(いきざま)と、死に様(しにざま)』への、理解が求められる。


武良は、この配偶者要項の内容を、案外気に入っている。いや、『侍』全員が気に入っている。正しく『侍』が、常々『観じて』居る想いだからだ。


『小さな諍いも、消して行きたいなぁ』と、開祖シンは、(のたま)われた。


開祖シンが、『侍』と言う「超人(スーパーマン)」の力を手に居れてからの、理念だ。


平和を布武(ふぶ)出来る、『(我々)』と言う「超人(スーパーマン)」の役割であり、出番ではないか?


笹木武良は、全くの同感だ。


『侍』の『切り捨て御免』の実力で、地球上全世界に『平和を布武』させて居る性質上、ガチで『外に出れば、七人の敵が居る』のが現在の状況である。


油断すれば命を奪われる。


面白い。殺せるモノなら、殺してみろ。武良は、その『緊張感』も好きだ。


『侍』のチート的な圧倒的実力差から、これまで死亡率0%なのだが、『此の世に絶対は無い』と言う覚悟で、『侍』は各々(おのおの)油断無く『懸案地域』へと(おもむ)く。


そして誠心誠意、案件を聴き取り、差配する。


武良自身も、『例え今日、討たれても、人生に悔い無し』な覚悟で、日々を過ごす。


力を抜くと、力が湧いてくる。


執着を手放すと、融通無碍(ゆうずうむげ)の心持に、ピタリと保てる。


色眼鏡(思い込み)を外すと、物事の本質が、観えて来る。


その心境を持ってして、『意識・無意識』と言う『自我』に、実感として(とら)えられる『(しん)』がある。


悟り、とでも言うモノなのだろうか? そこは、ハッキリしない。


しかし、その『(しん)』を(とら)えられないと、『侍』のチート能力は、上手く扱えない。


むしろ『侍』自身が、チート能力に振り回され、喰い潰される。


(もっと)も、一度でも『芯』を実感出来れば、案外楽に成るモノなのだが。


実は武良も開祖シンの様に、過去のある事件で、『侍』のチート能力の源である、『(仮)ユグドラシル・ネットワーク』に流れて居る、森羅万象情報ユニバース・インテリジェンスの『津波の様な情報の濁流』に、『自我』を喰われそうに成る。

一時的な『記憶の混乱』による『記憶の酩酊』陥った。


そんな時、自分を取り戻したのは、自分の『芯』に抱いた『とある想い』であり、『とある物』だった。


『二度と御免な経験』だが、『其処(ユグドラシル)は、地球人類(我々)の故郷だ』と、理解し実感出来た。


お節介な事だが、『地球人類と言う、兄弟姉妹』に、伝えて行きたいかも知れ無い。


はぁ。「まったく。究極のボランティア(見返りを求め無い)よね」マリアは、諦念の、深い溜め息をつく。


反論出来ない。


『侍』は、まるで『平和』と言うモノ(宗教)を布教しに、殉教覚悟(片道切符)の旅に出る、宣教師の様だが。違う。


わざわざ、死ぬ気(殉教)何て、さらさら無いぞ。


「マリア。これだけは約束しよう。俺の(ホーム)は、マリアの隣だ。俺は、全力で、アイム・ホーム(ただいま)を、マリアに言いに帰る」俺は、躊躇(ためら)い無く、マリアに宣言する。


マリアは寂しげに微笑むが、彼女の目には、少し力が戻る。


彼女(マリア)は、(武良)と結婚して、常々思う。


武良は、出来無い約束はしない。そして、誰にも嘘を付かない。自分にも。いまの誓いも必ずや、全力で叶えるだろう。


また、武良の『只今を、悔い無く生きる』生き様と死に様に、寄り添って生きたい。


腹を据えて、しっかり見続けなきゃ! マリアは、心に誓う。




食事を終えた二人は、仲良く食器を、『食器洗い片付け機』の扉を開けて、扉の上に置く。


カチャカチャ。カチャカチャ。


『食器洗い片付け機』は、扉の上に置かれた『汚れた食器』を、筐体の隅から出て来た、小さなアーム達で次々と取り上げ、洗浄庫内に取り込み出す。


それを確認した武良は、素早く愛妻を捕獲し、優しく抱き上げる。


「え!? あの。え!?」マリアは、戸惑う。


武良は、可愛く抵抗する愛妻を、素早く寝室に拉致する。


後ろ足で、器用に寝室のドア閉める。


バタン

御読み頂き、誠にありがとうございます。


楽しんで頂けてましょうか?


御意見・御感想を頂ければ幸いです。


予定では、12月21日(月)と22日(火)の、

連投予定です(多分)


よろしくお願い致します。

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