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1-52.まるで軍資金

「軍備に必要な物は、表向きは兵卒の数だが、武具や食糧等の兵站も重要である。そのためには、先立つ『軍資金』が必要である。そして、思いも寄らない金が『必ず掛かる』紛争には、軍資金は『あれば有る程』良いのである。笹木武良は、軍属の経験からも来ているだろうが、良く理解して居るのである」


ぐびり。


「うまい!やはり『こしのかんばい』は、美味いのう♪」


竜神ニーグ・ヘッズは、笹木武良が仕入れた、日本酒をゆっくり(たしな)む。

「い、一億レン!?」


副司祭メルダは、腰が抜けかけ卒倒しそうになる。ここ数年間かけて、苦労して集めた『勇者様褒章用五千レン分の宝物』だが。んが武良様は、一瞬で一億レンを稼いでしまった。しかも他の原石も、相応の価値があると言う……そして、武良様は全財産をはたく訳がないのだかから、これらも彼の、超ド級財産の『ほんの一部』なんだろうなぁ。単に汚れた箱一つ分だし。副司祭メルダは、そこまで考えるに至り、なんだか全身が脱力して来る。


「さて、連続で申し訳ありません。こちらも鑑定していただけますか」


武良は無限収納から、またゴツいスーツケースを取り出し、テーブルに置く。と言うか、見ればわずかにケースは、テーブルの上に浮かんでいる。


副司祭メルダや、ロムダン親子に(((今度は、ど、どんな御宝が!?)))と緊張が走る。



ガチャリ


武良が、ケースに手を乗せる。武良と認証されたのか、解錠の音がする。


武良が、スーツケースを開けると、貴賓室の中に、山吹色の輝きが広がる。


おそらく純金で、一キログラムの延べ棒(インゴット)が、スーツケースに満載されていた。


「「「「ほおぉおぉおおお!」」」」


その輝きの美しさに、思わず声が上がる。


「すみません。こちらでの『金』の価値を把握しておりませんでしたので、多めに用意してしまいました」


「失礼!」


カヤネ・ロムダンは、また飛び出し、スーツケースにがぶり寄る。彼女の左眼は、少し輝く。


「うそでしょう。限り無く純度100度の金なんて……この世では、精製は無理なはずなのに……やはり、勇者様の世界で精製された、純金なのね」カヤネは、思わず、つぶやく。


「失礼!」マク・ロムダンは鑑定士らしく、カバンから、各種鑑定道具を取り出す。


「勇者様。試金石での鑑定宜しいでしょうか?」


「どうぞ、遠慮無く」武良は、鷹揚(おうよう)にうなずく。


「で、では」マク・ロムダンは、数多くのインゴットの中から、無作為に一本取り上げる。


ずっしり


この『手応え』は、確かに純金!!


マク・ロムダンは、右目にモノクル・タイプの顕微鏡を装着する。


インゴットの表面を、窓からの天日にかざす。


見事な、純金色!


顕微鏡を一度外し、試金石をテーブルに置く。


インゴットの一角を、試金石に当て、目を閉じる。


静かに、こする。


この優しい手応えは、確かに純金!!


再度顕微鏡を構え、こすったインゴットの一角を、天日にかざす。


あぁ。美しい純金色!


インゴットを、テーブルに敷いたクロスの上に置き、試金石を持ち上げる。


試金石を天日にかざし、こすった金を顕微鏡で見る。


やはり、美しい純金色!


マク・ロムダンの心は、満足した。娘に、にこりと微笑みかける。


カヤネ・ロムダンも、微笑み返す。


「確かに『純金』で御座います」マク・ロムダン鑑定士は、おごそかに断言する。


マク・ロムダンは、インゴットを、そのまま天秤の片方に載せる


片方に、分銅を各種乗せてゆく。小さな分銅を細かく変え、微調整して行く。


「こちらの、純金インゴット一本が、ピッタリ1.2キルダンです……で、一本の相場価格が……五千レンです」

マク・ロムダンは、平静を装って居るが……だんだん顔色が青くなって行く。カヤネ・ロムダンも、両手を握りしめる。


セルガとメルダも、青くなる。


武良は、すばやく暗算する。

なるほど。地球で純金相場価格が、一kg/約500万円だから、こちらの物価指数は、地球の十分の一か……まぁ、そんなところだね。


「1.2キルダンのインゴットが……さ、三百本!?……ひゃ、百五十億レン……」

すばやくインゴットを数えた、マクの口が引きつり、言葉を失う。


その前代未聞の金額に、セルガ、メルダ、マク親子の表情は、青く引きつる。


「……ちょっと、多すぎましたかね」(てへ♪)武良は、笑ってごまかす。


「たしかに『多すぎ』である……軍資金とみなされるな。笹木武良は、戦争を起こしたいのかの?」竜神ニーグヘッズは、苦笑する。


「……面白いですね」武良は、にやりと笑う。


「「ちょ!ちょっと待って下さいませ!!」」

セルガとメルダは、竜神と武良の発言を、取り消したい様に慌てて立ち上がる。戦争なんて!ダメ!!


「まぁまぁ。冗談ですよ」武良は、二人をなだめる。


「……武良様は『面白い』と思うだけで、簡単に常識をくつがえされる、破天荒(はてんこう)な方ですは」セルガは、複雑な表情で、断言する。


「同感です。武良様は『次は何を始められるのか』油断出来ませんは」メルダも苦笑しながら、セルガに同意する。


「ほっほっほ。その『破天荒(はてんこう)』を、召喚したのは誰じゃな?」

竜神ニーグヘッズは、二人をからかう。


セルガとメルダは、ぐぐっと言葉に詰まる。


「武良殿は、本気で『テルガンの身を取りに行く』所存ですよ」

第一守護天使ワードマンが、急に武良の隣に顕現し、発言する。

御読みいただき、ありがとうございます。



次回投稿更新は、3月24日を予定して居ります。



話が変わりまして、カクヨムで

カクヨムオンリーの新話を始めました。

忘れた男は、恋に落ちた。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054880636815

です。

フォロー大歓迎です。

宜しく御願い致します。

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