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1-50.規格外

『鑑定眼』の見え方ですか?


えとですね。鑑定したい貴金属に視線と意識を集中しますと、周りに鑑定結果の一覧表が、浮かんで出て来ます。


初めて『鑑定眼』が現れたのは、8才の頃でしたから、かれこれ5年の付き合いになりますね。


当初は、よくわからない単語を単語帳を調べながら、鑑定でしたはね。


その必死な姿に、祝福していただいたヴォーグ神様も、呆れておられたかもしれませんは。


父も申しておりましたが、貴金属にまつわる話も、浮かんできますので、内容によっては、恐れおののいた事もあります。


綺麗な宝石なのに……


本当に、宝石達は、何も悪く無いのですよ……


二人は、以前にも訪れた、迎賓室の扉の前に立つ。


この扉の中だ。すごい気を発している、何かがある。


カヤネの表情は、緊張に固まる。


「カヤネ。開けるよ」父は、優しくうながす。


「はい。御父様」彼女は、覚悟を決める。


トントン


『どうぞ』


聞き覚えがある、副司祭メルダ様の(こた)えが聞こえる。


「失礼します」御父様が、ドアを開ける。


ガチャリ


いた


そう。『有った』では無く『居た』


迎賓室に入って直ぐに……見た事が無い大きさの、金剛石の原石が鎮座(ちんざ)している。


何という神気を放つ存在感なの!いずれかの神仙様が、座っておられる様だは。うわ。私の背丈と同じ位の高さなのね!


カヤネの紅い左眼が、早速反応する。


そう。彼女の紅い左眼は、神の祝福を受けた『鑑定眼』である。

両替商の家系にふさわしく、主に貴金属の正しい鑑定が可能だ。


確かに金剛石の原石。でも、この大きさで、驚くほど濁りが無い。


「……なんてスムーズに気が通るのでしょう。なるほど、教会敷地の聖魔力を吸い込み、増幅させて居る。それで『神気』に等しい神々しさを放つのですね」カヤネはつぶやく。やっと、この金剛石の存在を、受け止められる。


えっ


自分の眼の鑑定結果が、信じられない。


「……うそ、三百万キラット?」

カヤネは、その数値に、再度興奮し始める。


「な、なんだと」マク・ロムダンも、その数値驚愕する。


金剛石原石三十キラットでも、軽く一億レンは値が付く。その百倍て!!


ロムダン親子は、この非常識に規格外な金剛石原石に意識を奪われ、某然と立ちすくむ。


「お騒がせしまして、申し訳ありません」立ちすくむロムダン親子に、苦笑する男性の良い声がかかる。


ロムダン親子は、はっと、我に返る。


「し、失礼いたしました……真の勇者様で()らせられますね」年の功で、ロムダン父はすばやく立ち直り、武良に一礼する。


カヤネは某然としたまま、無意識に武良に視線を向ける。


「えっ!?」

武良に視線が合った瞬間、カヤネは再度、自分の鑑定眼を疑う。


武良と、無数の森羅万象の神仙が、重なって居る。それも自然に。


カヤネは無意識に、武良に向かい片膝を着き頭を下げ、神に拝謁し祈る体勢を取る。


「カヤネ?」

ロムダン父は、カヤネの神に拝謁する様な、(うやうや)しい態度に戸惑う。確かに彼は『真の勇者様』だけど。


「いやいや、公認鑑定士さん。頭を上げて下さい。本日は御仕事の話なのですから」武良は、また良い声で苦笑する。


「御父様。勇者様は、森羅万象と同調されておられます。全てを統べる御方。こちらの金剛石原石も、自然と真の勇者様の神気と同調し、増幅させて居るだけなのです」カヤネは、緊張した声音で、父に進言する。


「ええっ!?」ロムダン父は、驚きっぱなしだ。


「あー。困ったな……では、先ずは御茶にしましょう。私の世界の最新スィーツを、呼ばれてくれませんか?」


ぴくり


カヤネの左眉が、わずかに反応する。そう、カヤネは御菓子作りにも、本気で取り組んで居る。家系の事が無ければ、菓子職人を目指しただろう。


「さぁさぁ、用意しますので、こちらの席に着いて下さい」武良は、優しい笑顔で、ロムダン親子をうながす。



◯ ◯ ◯



「「「美味しい~♪」」」


カヤネも含めて、女性陣の目尻は、下がりっぱなしだ。


全員の前に、それぞれ置かれた皿には、各種のプチケーキ一がダースで乗っている。


「武良勇者様!このプチケーキの大きさは、いろんな味が楽しめて、嬉しいですね♪」

カヤネも、満面の笑みで、いろんな味のプチケーキを堪能して居る。


武良も、微笑む。うんうん。カヤネの餌付けも順調で、なによりだ。


「笹木武良。我に『ちいずけえき』の、大きいのをきくれまいか」

あっと言う間に皿を空にした竜神ニーグヘッズは、武良に要請する。

案外甘党なんだね。


「承りました」武良は無限収納から、チーズケーキをホールで取り出す。


「りゅ、竜神さま!!?!」

人族変化した竜神に視線を向けたカヤネは、鑑定眼でその正体に気が付き、また驚いた声を出す。


「え!ニーグヘッズ様なのですか?!!」

ロムダン父も、驚く。若い頃に本来の巨体でしか、拝謁したことは無かった。


「鑑定士カヤネ。忠告して置くぞ。その『鑑定眼』で、笹木武良自身や言動に、いちいち驚いて居たら、心身もたぬぞ」

竜神ニーグヘッズは、もしゃもしゃチーズケーキをほお張りながら、苦笑いでカヤネに話しかける。


「本当ですはね」セルガも、苦笑する。

「同意します」副司祭メルダも、苦笑いする。


はぁ〜


ロムダン鑑定士親子は、深いため息が、思わず出てしまう。どうやら、この規格外の金剛石原石は、連続する驚きの序の口(じょのくち)の様だ。


「さて、そろそろ商談に入らせて頂いて宜しいでしょうか?」武良は、親子に優しくうながす。


「「はい」」親子は、腹をくくる。


御読み頂き、ありがとうございます。


次回更新は、3月20日(日)の予定です。

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