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後編 Q初対面パイタッチはどの程度のイケメンから許されますか? A……は?

後編 Q初対面パイタッチはどの程度のイケメンから許されますか? A……は?

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【パンツくんか事件から少し前】


「カンナ・モンティーニュ、君との婚約を破棄する」


「え??」


 突然だった。

 パーティーの途中、大勢の前で私と王子の婚約は一方的に破棄された。


 ……なんで?


 王子の隣には平民がいた。

 無礼で礼儀知らずな平民だ。

 優秀な成績を収めたとかで魔法学園に途中入学してきた女。

 彼は彼女に堕ちたらしい、どこか冷静にそう思った。


 あっちへふらふら、こっちへふらふら……

 彼女はなん股もかけるビッチだって有名だ。

 魔法学園への入学も本当に成績で勝ち取ったモノなのかは怪しいレベル、教師との噂も1人2人じゃない。

 それを王子が選んだと言うことに、どこか漠然とあった王族への憧れというものが綺麗に抜け落ちてしまった。

 所詮はそんなものか、と。


 王子が糾弾されるものだと思っていた。

 女にうつつを抜かして政治をおろそかにするなんて、こんな身勝手許されるはずない。

 王と公爵が決めた婚約を王子如きが破棄できるはずがない。


 しかし、そうではなかった。

 王子の、いやあのビッチの政治手腕、枕営業力を舐めていた。

 この学園はすでにやつの手に堕ちていた。

 男はその体を使って、女は私という共通の敵を作って、


 悪役


 皆が私を糾弾した。

 平民を嫌っていた、私に味方してくれそうな奴らも皆空気に飲まれていた。

 悪役令嬢と呼ばれた。


 逆に願い下げだ。

 こんな王子との婚約なんてクソ喰らえである。


 そのつもりなら私にだって……




「お前を勘当する」


「え????」


 家に帰ると父が険しい顔をして立っていた。

 そして何を思ったのか突然、一方的に勘当を言い渡された。


 ??


 何が起こったのかわからなかった。

 そもそも婚約を破棄する権限なんて王子にはない、だから父が出ていけばそれで終わる話だ。

 公爵は王族よりも強い発言権を持つ。

 表向きは多少ややこしいが、実際は王の次ナンバー2と言って差し支えない。


 それが……


 なるほど、、

 どうやらあの平民は本当に見境がないらしい。

 実の父とそう年齢が変わらない男と……

 いや、平民からすれば貴族というだけで最低限のハードルを超えているってところだろうか?


 そうか、、


 父親のことは仮にも尊敬していたんだけどな。

 これは何されるかわからない、すぐにでも逃げないと。

 本当に、なんでこんなことになってしまったんだろう……


 無一文。

 家はなく、身分もなく、明日の食糧すらない。

 家族も、友達も全て失った。


 どうして私がこんな目に遭わなければならないのだろうか。

 何か悪いことをしたか?

 私は何もやってない。


 なんで、どうして……


 しくしく


「お嬢様、いかがいたしましたか?」


「う、うぅ……あなた、だれ?」


 家を飛び出し行くあてもなく泣いていると誰かに話しかけられた。

 視界が歪んではっきり見えないが、身なりがそれなりにいい物に見える。


 ただ、情報通ではないようだ。

 今の私に話しかけるなんて、王子と公爵令嬢に睨まれた女に関わるなんて、そんなの自殺行為以外のなにものでもないもの。

 身分あるものなら巻き添え食らっても知らないぞ。


 あの女に、仲間だなんだと言われてね、、


「私はあなたの執事です。本日付で配属されました」


「……そう」


 ああ、そういう……


 そういえばそんな話を聞いていたかもしれない。

 そうか、平民かなら何も知らないのも仕方ないわね。


「お嬢様?」


「不運だったわね。就職早々職がなくなるなんて」


 しかし、、申し訳ないことをしたわね。


 平民なんてどうでもいいとは思うけど、目の前の個人に対し何も思わないかといえば違う。

 公爵家の令嬢専属執事なんて相当のエリートなのだろうに、

 まぁ、男な時点で貴族ではないのだろうけど。


「私はクビにされた覚えなどございませんが」


「……私はたった今家を勘当されたところよ」


「それと私のクビになんの関係が?」


「大ありよ!!」


 やっぱり無能かもしれない、、


 なぜこの単純な話が理解できない?

 基礎の教育を受けていないとこうも違うのか?

 いや、とはいえメイドはこれくらいなら、そうか私の家のメイドって仮にも貴族の娘か。

 下級とは言っても貴族と平民じゃ何もかも違うものね。


「いえ、関係ありません」


 え?


「なに、ただの一般人の私に支えてくれるっていうの? 優しいわね。今の私ならコロッといっちゃうわよ」


 ……ほんと何を考えてるのこの人、、


「残念ですが私が使えるのは一般人の女の子ではなく、公爵家のご令嬢である誇りたかきお嬢様です」


 ??


「だから私は、、」


「はい」


 すっ


「何これ?」


 彼は私に一枚の紙を差し出した。


「さて、王子や公爵様の言葉というのは時の王の言葉よりも重いのですか?」


 それは王直筆の辞令書だった。

 彼へ、公爵家の令嬢である私の執事になるようにとの辞令だ。


 でも、これって私が勘当された時点で無効に……

 いや、無効にできるようなことはそもそも王以下の権力者には出来ない?

 不敬だもの。


 でも、そんなのって屁理屈じゃ……


「もし本当にお嬢様が勘当されたというのなら、現公爵はあなたでありあなたの父は公爵と縁の切れたただのおっさんです。公爵如きが王の言葉を曲げれるなどとは思い上がらないことです」


「……」


 本当に?

 私、また戻れるの?

 勘当なんてただの悪い夢だってそう思えるの?


 こんなものを持ってるなんて、彼は一体……

 いえ、もう誰でもいいわ。

 私の王子様、私の運命の相手。


「いかがいたしましたか、お嬢様。もうそろそろ外も暗くなります、おうちに帰りましょう」


「そうね、ところであなたは……」


 涙を拭き顔を上げる。


 気づかなかった、彼ってとってもイケメンなのね。

 いや、私が助けられたから、好きになってしまったからイケメンに見えるだけかもしれない。

 どっちでもいいわ。


「私は、あなたの執事です。王命により本日付で配属されました」


「……そう、よろしくね」


「はい、お嬢様」


 秘密主義なのね、

 まぁ、秘密の多い人も素敵だわ。


「ところで、揉ませていただいてもよろしいでしょか?」


「え?」


「いえ、疲れて凝っているかと思いまして」


「は、はい!」


 家族以外の男の人に体を触れられるなんて初めてで、ちょっと緊張しちゃう。

 でも、彼になら別に触られても、、

 いや、むしろ触れてほしいっていうか……


 むにっ


 !!

 ……え??


 な、なんで……


 え?


「あ、あの……」


「はい?」


 もみもみ


「なんで、おっぱい触って」


「大きいものをお持ちなので、凝ってるかと思いまして」


「……」


「??」


 この執事が私の王子様なんて、そんなの絶対違うわ。


 こんな、

 こんな変態、、


「死ねーー!!」


 ベシッ!!!!


 味方が1人もいなくなって心傷してたとはいえ、こんなのに落とされるなんて一生の不覚。

 でも、今日はこれで勘弁してあげるわ。

 このあとたっぷり働いてもらわないといけないんですもの、


「私の執事さん」


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