エピローグ
これにて第二章〝運命の邂逅〟終了です。次回から第三章〝忠義の在処〟が始まります。
新が動けるほどに回復した時、既に陽は落ちていた。
第三王女捜索の任としてこのヒュムネの町を訪れた二人だったが、町が山賊に襲われている状況を見て対処しようと決断した。虚ろな様子で立ち尽くす衛兵たちを連れの王都守備隊の面々に任せた新と勇は町を襲う山賊たちを次々と打倒していき――強大な魔力の持ち主を見つけて屋根の上まで上がった。
眼下に広がる光景を眺めるその姿勢から味方ではないだろうと判断した新が奇襲を仕掛けたのだが……結果はご覧のあり様である。
「新、あまり気を落とすなって」
「……分かってる」
敗残の兵――そう言われてもおかしくないほど気を落とした二人が消火を終えた町中を歩いていると。
『シン様、ユウ様!!ご無事でしたか!』
王都守備隊の隊長が走り寄ってきた。その声音は安堵と――何故か焦燥に包まれている。
それに気づいた二人は怪訝そうに顔を見合わせる。そんな二人を驚愕させる一言を眼前までやってきた隊長は放った。
『王都より緊急の連絡です!エルミナ西方と北方にて反乱が発生、勇者の方々は急いで戻られたし――とのことです!!』
*
時を同じくしてテオドールの館、その一室で意識を取り戻した夜光は寝台の横でずっと看病してくれていたシャルロットと共に、テオドールが齎した報告を聞いて驚愕していた。
「姫殿下、ヤコウ殿……どうか心して聞いていただきたい」
テオドールの表情はあまりにも深刻なもので、それ故に夜光もシャルロットも言葉を挟めなかった。
「――エルミナ西方にてアレクシア第一王女が、北方でルイ第二王子が反乱を起こしたとのこと。その二人を征伐すべく中央ではオーギュスト第一王子が軍を結集させているとのことです」
――神聖歴千二百年、三月五日。
この日の夜、エルミナ全土を巻き込む戦乱の火蓋が切って落とされたのだった。




