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Bat Apple  作者: みすま
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第16話 ウォータカッター

【ギルド】今日は受付に、フィルさんが立っていた。

彼女に挨拶を済ませると、昨日予約していた、2件の依頼書を見せてくれた。


「どうする?依頼受ける?Fランクの依頼自体、あまり来ないのよね。」


「2件とも、討伐依頼。場所は何処ですか?この辺の地理、あまり詳しくないんですよ。…あと依頼者がギルドってどういうことですか?」


場所はこの町から、北の森と西の街道付近らしい。

西の街道はこの町に来るときに通った道だった。ギルドの依頼は、住民が目撃しギルドに報告。

ギルドは報告を受けてしまったから、討伐しなきゃいけないという、大人の事情らしい。

放置して被害でもあったら、責任の所在は何処?って話だ。


そして討伐の証明はどうしたら、良いのかというと、モンスターを倒すと魔石というものが残るらしい。

この世界の常識らしいが、それでも丁寧に教えてくれた。何も知らない俺たちを普通は不審に思う、でもフィルさんは、特に何も聞いてこなかった。仕事だからか、人柄なのかは分からないけど。


魔石を持ってきたら、鑑定をして討伐対象の魔石だったら、依頼達成らしい。

他の場所で狩った同じモンスターは、どう判断するのだろう?

フィルさんに怒られそうなので黙っておこう。そして、討伐依頼2件を受諾した。


二手に分かれてっと考えたが、万が一何かあったら不味いので、一緒に行動することにした。


【北の森】ムーンリングベアの討伐…何処かで見たことが有るような無いような。


もっと時間がかかって、探す事になるのかと思ったら普通にいる。2体いるんですけど。

さすがに怖いな。熊と刃物を持った人間、どっちが怖い?…両方だよ。


「遥は上空で魔法攻撃、炎系はNGで…森だし」


「私の持ち味は炎の魔法なんだけどな~。いったい私に、どんな魔法を期待してるのかな~?」


グチグチ言いながら、上空へ上昇。俺は肉弾戦…怖いんですけど。


熊がこちらを標的にした。速い…けど、あいつ程じゃない?

1体目の引っ掻き攻撃を躱すと、すかさず2体目の攻撃。躱せることは躱せるのだが、攻撃ができない。


俺は逃げるように背を向けて走った。もちろん、2頭も俺の後を追うが、個体差はある。

追いかけるスピードが違うのだ。そのせいで、直線だがばらけた2頭の熊。


俺から近い熊ではなく、一番後方の熊に【炎の球】を放った。バン!!顔面に命中。

もう1体の熊の動きも一瞬止まる。側面に周り腹部に蹴りを入れる。完全に動きが止まった。


熊の眉間に【攻撃力強化】を加えた、かかと落としをガンっと食らわす。

そして魔法でひるんでいる、2体目に顎と頭部に蹴りを食らわせた。


2頭の熊の体は、崩れたというか灰になったというか、消えてしまった。その場に魔石らしき物を残して。


終わったと思い、回収のために魔石のまで歩いていた。

気が緩んでいた、【バフ】を今までかけていたのに…背後から3体目が現れたのだ。

ダメだ間に合わない。目を逸らすこともなく、ただ自分に攻撃を振りかぶっているモンスターを見ていた。 


ヒュンッ… ドサ…。モンスターから視線を逸らしていないからわかった。いや、解らなかった。何故?

モンスターの首が突然落ちたのだ。そして他のモンスター同様、魔石だけ残り、あとは消え去った。


遥が歩いて近づいてくる、少し不満な顔で『炎系ダメって言わなかった?』

一気に恐怖と安堵がやってきた。そして、遥に抱きついていた。すぐにわかった、遥が何かをやったのだと」


「ゆう君は、お胸が大きい人が好きなんじゃないの?」


「小さくたっていい、遥しか勝たん!!」 ポカ…何故か、軽いげんこつを食らった。


「遥、どうやったんだ?首を落とす魔法?」


「どっかの誰かさんが炎はダメだって言うから、風魔法で…」


「かっ…風魔法でスパンと切ったのか?」   


「風で首は切れないよ?。あのね魔力ですごく細い管を作り、水魔法で管に水を流し、風魔法で管を圧縮し、超高速で水を押し出して…」


何を言っているか、解らなかった。何でそんな魔法にしたのかというと、炎の件をねちっこく言うから聞き流した。遥が使える魔法の組み合わせで、その中で切れる現象【ウォータカッター】を魔法として発動して、モンスターさんの首をスパンっとやったらしい。


遥は、魔法の同時発動は2種類までしかできない。

【ウォータカッター】は遥曰く、3つの工程でそのうち同時2種類の魔法で出来るらしい。

【飛行魔法】は風魔法の応用らしいが、【ウォータカッター】+【飛行魔法】は同時に3種類の魔法を発動させるため、出来ないらしい。

【炎の球】+【飛行魔法】は同時に2種類で出来るらしいが。またチクリ言ってきた。


だから地上に降りて、【ウォータカッター】をモンスターの背後から、スパンとやったらしい。


「すみせんでした。私が変な縛りをさせてしまって」


「そんな事ないよ。炎を使うなって言ったから、【ウォータカッター】を考えたんだもん」


ん?この子、今思いついた魔法を、実戦で放ったの?

え…じゃ魔法失敗して、俺が死んだってパターンがあったの?遥が怖い、この世界が怖い。


「でもゆう君、【バフ】切り替えがすごく速かった。やっぱり、ゆう君はすごいよ」


「そうなのかな…やっぱり最後、詰めが甘かったし、遥がいなかったら死んでいたし」


「その為のパーティーなんだから、何でも一人で解決しようとしないの」


『一人で解決しようとしないの』って言葉が刺さった。今思っても、あの2体は自分で倒す事しか、考えていなかった。

自分の力を過信していたのもあったけど、遥に頼りすぎて、情けないとか、愛想を尽かされないように頑張らないとか、そんな考えが大きいんだけどな。


魔石を全部回収すると、次の場所【西の街道付近】に向かった。

俺も遥も、特に疲れていなかったから、直で向かった。


【西の街道付近】フォースベア…これもどこかで見たような、見ていないような。


さっきみたいに都合よく見つからなかった。


「今度は遥の指示で戦ってみたいんだけど?お願いできる?」


「良いよ。今度は火の魔法、使って良いんだよね?」


討伐モンスターが見つかるまで、付近を歩くこと20分…男の慌しい声が聞こえてきた。

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