第1話 灰色な出会い
竹馬 友 16歳
目が覚めると目の前には、青い海白い砂浜,とだけ聞くとリゾート地みたいな感じだが、
後ろを振り返っても青い海白い砂浜、そう陸の孤島なのである。
何故こんなことになったのだろうか?リビングで寝ていただけなのに……。
そうだ夢に違いないとわかったところで、今の状況が変わることもなく、ただ一人こんなところで呆然と立ち尽くす。
「まいったな~。誰かいませんか~」
叫んでみた。帰って来るはずのない返事を期待していたわけじゃないけど。
「はーい居ますよ」
後ろから声が?さっきまで人がいなかったのに突然どこから?
そこには、灰色の髪灰色の瞳のお姉さんが立っていた。
しばし見つめ合っていたお姉さんと俺、唐突すぎて何を話したら良いかわからなかった。
「…竹馬 友君だよね?ここに来た理由ってわかる?」
なんでこの人、俺の名前知ってるの?理由って何?質問の意味がわからなかった。
あー死んじゃったのかな?リビングで寝ていた記憶しか無いしな~?心臓発作とか?
お姉さんはやれやれっという顔で提案してきた。
「あそこのベンチでお話しない?」
「…ベンチなんて何処に?」
そこには無かったはずのベンチがいつの間にか、やっぱり現実じゃない、夢なんだこれは。
2人掛けサイズのベンチにお姉さんが先に座り、空いたスペースに座るように促された。
俺はベンチに座ると、お姉さんはにっこりと微笑む。
「初めまして私は、グレース。会うのは初めてだけど、ゆう君のことは知っていたんだよね」
「…そうなんですか?光栄ですね。ここでお姉さんは…グレースさんは何をしているんですか?」
「何をしているか?うーん特にやることはないけど、強いて言うならば絵を描いてるかな?」
そう言うと二枚の絵を見せてもらった。一枚目にはグレースさんと2人の女の子、もう一枚目も別の2人の女の子とグレースさんが描かれていた。
なんだろう知らない人の絵なのに妙に気になる。
「ゆう君は、会いたい人とかいる?友達とか恋人とか?」
「突然ですね?うーん両親は三年前に死んじゃったし、会いたいと言えば会いたいけど、特に考えたこともないですね。友達も恋人もいないし冷たい人間ですよね」
グレースさんは、笑うと遠くを見ながら語ってくれた。
「私ね、ある仕事をしていて失敗…じゃないなルールを破っちゃったの。それでここに飛ばされちゃった」
「飛ばされちゃったってそういう場所なんですか?それに俺、仕事してないですよ?ルールだって破っていないし、そもそもルールって何ですか?」
それ以上は語らなかった。ただ現実離れした事はやっていたのかもしれない。何故グレースさんにその話をしたんだろう?自分でもよくわからなかった。
「家にリビングがあるんですけど、テーブルとか箪笥とかあってなんてことない普通の部屋なんです。
ただある日、突然その部屋のテーブルに石が置かれていました」
なんて事ない話だここまでは、ただ家には俺しか住んでいない、それなのにテーブルに石が置かれたんだ。泥棒とかお化け…はないだろうけど、まあ普通は怖いよな。
でもその時は何も考えずその石を庭に捨てたんだ。
そしてそれ以降決まった時間にテーブルに物が置かれるようになった。
木材やネジ等、一般的にゴミと呼ばれる物が置かれるようになった。普通ここまで来たら警察とかそういうところに連絡するはずなのだが…病んでいたんだろうなきっと。
俺は不登校になり引きこもっていたし。その話をグレースさんにすると思いのほか真剣に聞いてくれた。
「それである日、証拠を押さえるためリビングで待機してたんです。漫画本を読みながら待機してました。決まった時間、夜の7時。そろそろ時間だなと思い漫画本をテーブルの上に置きました。
時間になったと思ったら、テーブルの上に置いた漫画本が消えゴムボールが現れました」
「目の前でそれを見て、ゆう君はどう思った?」
「消えた漫画本は多分、ゴミを送って来た方に飛んでいったのかなと思いました」
グレースさんは本当に聞き上手だ。だからこちらもスラスラと話してしまったんだと思う。
とりあえずゴミを送られるの迷惑だから手紙を書いた。内容はシンプルに、ゴミを送らないで下さいと書いた。少し不安だったが翌日の同時刻に同じ現象が起きた。やはりゴミが送られてきた。
それと同時にテーブルの上に置いた手紙が消えた。ただ問題は次の日だった。
いつものようにゴミが送られてくると思ったのだが、包装された箱のようなものが送られてきた。爆発物などと微塵も感じず開けていた。我ながら危機感がない。中身はクッキーだった。そして手紙も添えられていた。お詫びの品なのかな?
迷惑ではあったのだがこうしてみると悪い人、人?じゃなかったのかなと思ったからだ。
「ゆう君、手紙には何て書いてあったの?」
「読めなかったんです。試しに翻訳機能が付いた機械で読み取ったんですが、わからなかったんです」
字が読めなかったから、今度は手紙に表情を描いた絵を送った。例えば、お菓子の絵の横に笑った顔を描けば、大体伝わると思ったからだ。相手が人間であれば。でももう来ないかもしれない。
その次の日、それでも期待し待機していた自分がそこにいた。
そして夜の7時にテーブルの上の手紙が消えた、代わりに昨日と同じくお菓子の箱っぽいのが届いた。嬉しかった。お菓子が届いたことよりも手紙が送れたことが嬉しかった。
「ゆう君、それっていつの話?」
「1年位前ですかね?それから手作り料理っぽいのも送られてきました」
それ食べたの?って顔をされたから、食べましたって親指を立てた。これがイレギュラー判定になっていたら、1年前にここに来ているはず。
「うーん。ほかに変わった事しなかった?」
「してないですよ。つい昨日だって料理が届いて、手紙を返して同じことの繰り返しですよ」
なんだろう?今までやっていなかった事、今回した?覚えていない?無意識に……。
嫌な考えがよぎった。そんな俺を見て、グレースさんが悟ったように語る。
「何か解ったみたいね。……ゆう君そろそろ時間みたい」




