第11話 ドンコロ村
ローゼとフローラの二人はゴルアナ火山を目指し、アリア平原をひたすら北へと歩いていた。
「ふー、やっぱり歩きだと疲れるな…時間もかかるし…」
「ほんと…これじゃ日暮までに着かないんじゃないの?」
「いいよな、君は…俺の頭に座ってるだけでいいんだから」
「あら、こっちだって退屈で大変なのよ?…ん?あ、ローゼあれ見て!」
フローラが指さす方を見ると、そこには既に手綱と鞍を身につけている茶色い馬の姿があった。
「あれはさっき王立騎士団の人達が乗ってた馬…よーし!」
何かを思いついたローゼは駆け足で馬の元へと近づいていく。
「あ、待ちなさいよ!」
頭から振り落とされたフローラは、ふらふらとローゼを追いかけて飛び立った。
「さ、ちょっと重くなるぞ…我慢してくれよな…!!」
そう呟いた瞬間、ローゼは勢いよく馬の背中に飛び乗る。
突然の事に驚いたのか、馬はヒヒーン!と大きな鳴き声を上げ平原を駆け出した。
「おっと!大丈夫だよ!落ち着いて!」
ローゼはしっかりと馬に捕まり、優しく馬の背中を撫でる。
「ほーら、安心して…俺は敵じゃないよ…」
ローゼの問いかけと撫でる手に落ち着いたのか、馬はゆっくりと足を止めた。
「よし、いい子だ!」
ローゼは馬から降りると、馬の正面に立ち馬の頭を撫でる。そして、優しい口調で馬に語りかけた。
「俺たち今急いでるんだ。どうか君の力を貸してくれないか?」
真っ直ぐと馬の目を見つめそう問いかけると、まるでその問いかけに答えるように馬はヒヒーン!と声をあげた。
そして、ローゼにゴツンと頭を擦り付ける。
「あはは、ありがと!長い旅路になるだろうけどよろしくな!君は…」
ふと馬に取り付けられた鞍を見ると、そこには小さく"ホルン"と言う名前が書かれていた。
「そうか君は…ホルンっていうのか。よろしくな、ホルン!」
ローゼはホルンの頭をポンポン、と軽く叩くと後ろに振り返る。後ろからはフローラがふらふらと飛んできていた。
「ローゼ、随分と馬の扱いに慣れてるのね…すごい懐いてるみたいじゃない」
「まぁね。俺の村いろんな家畜を飼育してて、放牧から小屋に戻す時馬で追い立ててたんだ。だから、馬の扱いは慣れたもんだよ。それに…さすが騎士団の馬だけあって凄い人に慣れてるよこの子。だから初めての俺にも簡単に心を開いてくれたんだ」
「へー、そうだったの…ま、これでだいぶ移動が楽になるわね!」
「そうだね!このままサクッと火山まで行こう!頼むぞ、ホルン!」
ローゼ達は馬に跨ると、勢いよく平原を駆けて行った。
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そのままひたすら平原を駆けていると、空は茜色に染まり始めていた。
「日が落ちてきたね…さぁ、だいぶ火山に近づいてきたよ、フローラ!」
ローゼの指差す先を見ると、そこにはまるで壁のように連なる山々と、真っ黒な噴煙を噴き上げる巨大な火山があった。
「ゴルアナ火山…近づいてみると大っきいわね…」
「あぁ、すごい迫力だ…。えっーと、そろそろ麓に着く筈なんだけど…あ、あれは…!」
ローゼ達の前に現れた物。
それは、ボロボロに崩れた家々が並ぶ廃村のような場所だった。
「あれは…村…かしら?」
「でも、かなりボロボロだ…。人、住んでるのかな?」
「とりあえず行ってみましょう!もし人がいたら何か話を聞けるかもしれないわ!」
「そーだね、行ってみよう!」
ローゼは村に向け、ホルンを走らせた。
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「これは酷いな…。建物は殆ど崩れてる…」
その村はゴルアナ火山を含むゴルアナ山脈の入り口にある村で、村の奥にはゴルアナ山脈への登山口のような道も続いていた。
しかし、煉瓦造りの家々は見るも無惨に崩れ去り、人が住んでいるようには到底思えないほど村の中は寂れてしまっていた。
「見て、ローゼ。これ、村の看板かしら…」
「どれどれ?えーっと…"ゴルアナ山脈への玄関口ドンコロ村へようこそ!"って書いてあるな…」
「ここはドンコロ村って言うのね…。とりあえず、人がいないか探してみましょう!色々話を聞きたいし…」
「そうだね…よし、行ってみよう!」
こうして二人はドンコロ村へと足を踏み入れたのだった。
続く




