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自己紹介ターイム②

「次はわたくし――エフタフシュタイン国マールディアス侯爵が娘クシュリナ・マールディアスと申します」


 そう言ってとても優雅なカーテシーをする美少女。腰まであるプラチナブロンドに少しつり目のエメラルドグリーンの瞳。なかなかのナイスバディは羨ましい限り。


「――あぁ失礼、勘当されたのを忘れておりました。今は只のクシュリナですわ。前世名は勢多久璃朱(せたくりす)。日英のクォーターでアラサーのOL。死因は恐らく過労死」


 ――いやいや待って。何か色々突っ込む要素が有りすぎなんですけど!?


「勘当された?!えっとクシュリナ様は――」

「もう貴族ではないのですから様は要りませんわ――ふふっ、この際ですからわたくしも名を改めましょうか。クリスと呼んでくださいませ。そうですね、所謂『乙女ゲーにおける婚約破棄される悪役令嬢』といった役所(やくどころ)のせいだからかしら?」


 婚約者の第3王子が学園で出会った男爵令嬢と『真実の愛()』に目覚めたので男爵令嬢を苛めたクリスを卒業パーティーで断罪。そしてその場で実の両親に蜥蜴の尻尾切り(勘当)されたと。

 乙女ゲーの使い古された定番メニュー(シチュエーション)だよね。


「……でもホンマのところは?」

「罪を捏造された冤罪系追放令嬢ですわね」

「あ~そっち系かぁ」


 クリス曰く、元婚約者の王子には元から愛情は欠片も無いと。蔑ろにされ過ぎて愛情どころか親愛すら既に無くなっているとのこと。当然だよね。


「元々の性格も我が儘で俺様でしたが男爵令嬢と親密になるにつれ悪化しましたからね。自分に都合の良い話以外聞こうともしない素晴らしいお耳の持ち主でしたわ」

「バカ王子あるあるやね」


「男爵令嬢に関しても会ったことすらない方をどうやって苛めたと言うのですかね?学年も違いましたし。そもそもわたくし、もう学園には通っておりませんでしたのよ」


 出来の悪い第3王子の代わりに外交等の勤めをするため、男爵令嬢が入学する前の年に飛び級で卒業していたらしい。今回は第3王子が卒業するからパーティーに参加したんだそう。


「そうしましたらいきなり婚約破棄を言い渡されて、前世の記憶が戻ったのもその時で。こちらが記憶の混乱で何も出来ないのを良いことにさっさと国外追放してくれやがりましたのよ、あのクソ王子!」


 ――で、国境のあの森に置き去りにされ、混乱が収まったからフリードルフに向かっていた時に私達に遭遇したって訳ね。



「……あの、ここって乙女ゲーの世界なんですか?」


 片手を挙げたボニーがおずおずと質問してきた。


「前世で色々やりましたけどクシュリナ・マールディアスという悪役令嬢が出てくる物は覚えがありませんわ」

「確か……エスタルス(・・・・)タイン国のクリシュ(・・・)ナっていう令嬢が出てくるラノベならあった気がするわ」

「何そのビミョーな違いは……」

「まぁ間違いなくここは『物語(ゲーム)』の世界ではないって事は確かだよね」

「……けど、その男爵令嬢は乙女ゲーの世界やと思とるんちゃう?何か聞いてると転生者っぽくない?」

「確かに!この世界では『取り巻き』なんて言い方しませんものね」

「それじゃあワタシ達と同じ『星の贈り人』って事ですか?!」

「え~でも、そないなお花畑脳症を患っとる様な子とはお近づきになりとないわ~」

「右に同じ。しかも苛めを捏造する性悪娘じゃあね」

「ホンマそれな!」


「……ふふっ、でも皆さんに出会えて本当に良かったですわ。前世を思い出した今は絶対に以前の生活には戻りたくありませんもの。何だかとてもスッキリした気分ですわ!」

「それは良かった」


 こうなったら蘭さんと同じくこれからのフォローはバッチリするからね!


閲覧ありがとうございます。

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