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【作品打ち切り 改訂版に移行しました】ニートな俺が山でスキルを習得させられて強くなったし、お金が必要なのでダンジョンで働きたいと思う  作者: MRプロジェクト
ゴブリン集落戦

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02.弓士一匹

「ふ、危ねぇ」


 矢を掴みながら転がる悠夜。その顔には少しの焦りと土がついていた。


「っ! みなさん、戦闘準備に入って下さい。魔物が近くにいます。弓に気を付けてください」


 転がり掴む俺の矢を見て、河田さんは直ぐに号令をかけた。他の人も転がる俺を戸惑いながらその号令に武器を構えた。


「嶋崎さん、ありがとうございます」


 河田さんは少し汗をかきながら、土を払う俺に声をかけた。河田さんでも、あれは察知できなかったということか……。俺が止めてなきゃ死んでたかも知れないのか。


「いえ、それよりも」

「はい……。まさか弓士が初めにエンカウントするとは。剣士よりもハードルは高いですよ」


 さりげなく相手が強いことを示唆した河田さんは、俺たちとは違う___強いて言うなら蒼色の___武器を取り出した。


 その武器は片手剣、だと思う。


 ただ、ゲームとかである機動性のための小型盾ではなく、そこそこ大きな盾と刃渡り1m半位の剣だった。


「みなさん、弓士の魔物の基本的な立ち回りは、ご存知の通り遠距離攻撃です。相手の死角、加えて遠距離からの攻撃を得意とします。出来れば弓同士で戦ってもらいたかったのですが、この(パーティー)には遠距離の方がおられません。ですので、僕が先陣を切って近接戦闘に持ち込みます。走りますので付いてきてください」


 多分、森を迷いなく疾走できるのは開けた場所が多いのと、木々が少ないからだろう。


 中々に速いスピードで走り高速で放たれる矢の数々を防御する河田さんに、息を切らしながら追いつこうとする班のみんな。


 そんな彼らの姿を傍らに、俺はスキルを発動した。


「〈周囲生命探知(アリージメントサーチ)〉」


「嶋崎さん、どうかしましたか?」


「あ、いえ何でもないです」


 サイスを持って走る山田さんにそんなことを聞かれ「なんでもない」と直ぐに否定した。


 そんな言葉に反して、脳内で悠夜を中心に拡大していく円周は、この森全体を把握したところで拡大が止まる。と、そこで島崎は首を傾げた。


 なんか集まってるぞ。1、2、3……25箇所、各10……。集団行動。まさか、これが集落って訳ではないよな。


 ……だが、少し気になる。例えば、こいつらは森を長方形型と考えた時、森の中に同じような小さい長方形を作っている。その小さな長方形は等間隔に25。


入ってしまった俺が今更なのだが、これは引き返すべきだな。


俺は走る速度を上げ、河田さんと並走しながら提案した。


「河田さん、撤退しましょ。嫌な予感がします」

「……大丈夫です、ただの弓ゴブリンなんで」

「いや、あの!」

「接近まであと少しです!」


 ……やっぱり無理か。


胸の中で渦巻く手の届かない、もどかしい気持ち。


このまま前方に行けば先ず弓の魔物とエンカウントするけど、その弓の元へ走り急ぐ俺らの姿をみて、草叢に隠れる4匹の生命反応がある。あ、一匹逃げた。右の草叢に1、左に2だな。


 相手の作戦的には、弓に攻撃を仕掛けにきたら草むらから出て強襲ってとこか。俺らに遠距離攻撃の術が無いことを察しているところ、相手もそれなりに知がある。


 安易に突撃は行けない。


「河田さん」


「大丈夫です」


「河田さん」


「大丈夫です」


「河田さん!」


「大丈夫です! 心配しないで!」


 突撃を何とかやめさせようと言葉をかけるが、大丈夫の一点張り。矢を捌くのに集中しているのかと思ったが、これは別のことに意識が散漫してる。


 河田さんのひたりと溢れる汗がそれを語っていた。


 このまま河田さんをひっぺ剥がしたいけど、矢が尽きない事には危険すぎるし、止まってと言おうにも無視されるし。


「嶋崎さん、どうしたんですか」


 そう悩んでいる時に、息を切らしながら必死に俺と並走する狭山さんがいた。


 ちょっとこれは、教えておかないと。


「あ、その、あの弓を射る魔物……ゴブリンがいる両草叢があるじゃないですか」


「はい」


「あそこの草叢の右に1匹、左に2匹の魔物がいます。なので、こんな突撃はやめたいのですが、河田さんが話を聞かないもので……」


「嶋崎さん、魔物の位置がわかるんですか?」


 落ち着いた口調で狭山さんは問いた。


「あ、えと、草叢がさっきキラッて光ったんですよ。ほら、ここって太陽が昇ってますし、ちょうど見えたんです」


 今まで当たり前のように見てた景色だが、普通に考えて有り得ない事がダンジョンでは起きている。例えば空があるとか、俺がさっき言ったみたいに太陽が昇ってるとか。


「凄いですね、気づかなかったです。て、それなら危ないじゃないですか! このまま突っ込んじゃって横から強襲ですよね!」


 すると、焦りに変えて俺を見つめる狭山さん。


「そうなんですけど、河田さん! 河田さん!」


 やはり応答がない。


 弓を使うゴブリンとかなり近づき、矢を防ぐ音の間隔は速くなってきている。


 ちょっと、これは困ったぞ……。




 ♦︎河田視点


 はぁはぁはぁはぁ___


 ま、まだ大丈夫だ。相手は一匹、弓士だ。接近戦に持ち込めばこっちのもので、ゴブリン程度に劣るほど伊達にレベルは上げてない。


 はぁはぁはぁはぁ___


 でも、さっきの弓、分からなかった。正直異常だ。この階層はほんとうに最下層。出てくる魔物は全部雑魚だ。動きが速いといえど、1レベルさえ上がれば跡は慣れでいける。そんな階層。


 はぁはぁはぁはぁ___


 だけど、この弓士、はっきり音すら聞き取れなかった。それなのに聞き取るだけでなく握り止めた嶋崎さんは、ほんと何なのだろうか。


 はぁはぁはぁはぁ___


いや、それは今はどうでもいい。俺が一番気がかりなのはここが集落であるかもしれないということだ。そうなると、魔物が少ないということに合致がいく。

集落は魔物が集まり共存するが故に歴戦であり、レベルが総じて高い。だから、低層なのに強いのだ。

そう考えると自分の中で辻褄が合っていく。


そして、今になって漸く気づいた。


 いつもなら、敏腕な動きの河田が焦る理由。

 この結果は河田の甘い注視が招き、油断、概念が固まっていたせいである。


 はぁはぁはぁはぁ___


 これは、罠だ。


最低層だからと言って集落が出ないわけでは無いんだ。そうだ、それは確かじゃないんだ。知らないはずのことを知っているとただ錯覚しただけ。

俺たちが今踏みしめる地面は全て未知であるのだから。


 そう考えた時、見えた景色は暗転した。




 ♦︎嶋崎視点


「しゅ、手刀……」


「皆さん、止まってください!」


 意識の途切れた河田さんを担ぎ、盾を構える。


 少し勢いが余るも走る速度を緩め止めると、他の人も足を止めた。


「あ、あの、どうして河田さんが倒れてるんですか?」


「手刀で眠らせました」


 正しくはスキル<殺意の塊(キラーフォール)>で眠らせた。ただ単に手刀で眠らせるなんて不可能だ。もしそんなことしたらその人、永眠だからな。


 ま、この場を乗り切るならしょうもない嘘で十分だ。


「なんで眠らせたかは後で話しますので兎に角、注意を疎かにしないで下さい。まず、目の前の弓を使うゴブリン以外に、草叢に3匹隠れてます。なので、僕の作戦を聞いてください」

お読みいただきありがとうございました

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