万世階級 2
「うそ、だろ」
告げられる真実。
「私も、求段習得できるんですか……?」
天霧は目をぱちくり。最高のアホ面を晒していた。
「ああ。と言っても、先ずは継段。つくねもセージと一緒でこのセカイにおける基本が出来ていない。ゆえに――」
お前も死ぬ気で覚えろ。と視線が物語っている。
「継段は別に難しいものじゃない。己の渇望を武器として顕象する……ようはイメージ。自分が使いたい、いいや。自分にしか扱えないだろうという渇望こそが原初の具現」
言って凛子は目を瞑る。そしてその状態のまま、手のひらを下に向けた。
周りには重く鋭い冷気がたちまち陽炎となり、ゆらゆらと空間を揺らす。まるでその場所だけ、時が止まってしまったかような。
いや、間違っていない。凛子の周囲の物たちは皆すべて、文字通りに止まっている。
『継段、顕象――』
揺らぐ世界。その存在は己の渇望を持ってして、今ここに顕現された。
「お、おお……」
その姿形に、そのとき俺はなんと言葉したらいいのか分からなかった。
「すごい、です」
もちろんのこと凛子の求段も言葉にできないくらいにすごかった。だけどこれはそういったモノとはまた違ったすごさに圧倒される。
「まあこんなものだ。どう? 簡単そうだろ?」
その言い草にあえて反応しないが、心の中はひどく暴走状態に襲われていた。
顕象したい、顕象したい、顕象したい――
病的なまでに心が異能力に犯され始める。自分のなかを探るように、信じたい渇望。誇れる渇望。そしてなによりも絶対に負けないと誓う、戦の心――それを全力で出し切る。
絶望が足りない? 五月蠅い、俺には関係無いぞ。
基本が出来ていない? 黙れ、俺は邪道を突き進むんだ。
ゆえに、俺の渇望はただ一つ。
何者にも支配されないし、支配する気もない。
俺は縛られない。絶対に止めることできないし、そうなったとしてもに絶対認めない。
それが友達や親友であろうと。ましてや、世界を統べるあの盟友が相手だったとしても。
俺は誰にも縛らせない。
『継段・顕象――』
そして遂に己が渇望は顕現された。目を覆いたくなるようなまばゆい光。それは徐々に形を創り出し。
一つの――いいや、二つの形が象られた。
「これは……」
ずっしりとした重さを保ちながら。手のひらにぴったりと収まる程度の大きさをした、二丁拳銃。
右手に持つのは黒く光沢のある銃。
方や左手に持つのは純白の銃。
元となった渇望はMark XIX .50AE――通称、デザートイーグル。
威力も反動も非常に大きい。だがそれ以上に――
「それはお前にしか扱えない武器だ。ゆえに、夢のある強力な渇望だろう」
言ってニヤリと笑う凛子。
そのとき俺は不覚にも身が震えてしまった。
「スゴい、スゴすぎる。なんだこれは……身体の奥深くから力が湧き出してくる」
まるでこれは、レベルの上限を突破してしまった盧生のような。感覚的にはそれと同等、もしくはそれ以上かもしれない。
「継段――これはセカイを変えるための第一歩。これを乗り越えられない限りはこの先から、生きていくことなんて出来ないし、その存在は容認されない」
つまり、ここからが夢と現実の境界線。
「ゲーム風に言うと、今まではチュートリアル。ゾンビなんて言ってしまえば、適正レベルまで上げるための説明という存在でしかない。……まあ白哉君の登場は予想外の出来事だったが」
こうして本当の本物の命を懸けた戦いが始まりを迎える……
「それでも、良い経験になったのではないか? 前回は求段の領域にすら辿り着くことすら不可能だったのだから」
――はずだった。
「ちょっと待て、凛子……」
「どうしたセージ?」
今しがたぽろっと零した真実。
「お前今……」
前回って言ったよな……?
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