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勇者上層部会

〜中央の国:五百八十三番地〜


東の国での一件から二週間後。

今よりこの場所で、『勇者上層部会』が開かれようとしていた。

勇者上層部会とは、上級勇者以上に籍を置く勇者達による議会である。

悪魔への対策、国政の状態、各国での異常、そして勇者の階級などが新たに決められる。


「おい聞いたかよあの噂。二週間前に起きた悪魔との戦闘でのあの噂だよ」

「ああ聞いた聞いた。ハルカ様率いる部隊が魔王三体を撃退したんだろ。しかも、新しく入った新人が素手で魔王を圧倒したとか」


などと、勇者達が話に盛り上がっている。

その様子を、1人気に食わぬ顔で聞く勇者がいた。


「ハッくだらねえ。魔王を素手でげきたいだと…そんな奴がいるわきゃあねえだろうがよ。デマに踊らされてんじゃねえ馬鹿共が」


「ああ!? てめえ誰に向かって口きいてんだコラ」

「おいよせこいつは…」

「なんだよ!!」

「“処刑人デール”だよ。こんなイカれやろうに構ってたら命がいくつあっても足りねえよ」

「処刑人デールって!? 上級悪魔50人の部隊を皆殺しにしたあいつかよ」

「おいおいどうしたよ馬鹿共。何をそんなに恐る? なんなら今ここで」

「やめろデール。人間同士で争っている場合か」


処刑人デールの肩を鷲掴みにし、動きを止めたのは見目麗しく黒髪の美少年。

己の身長ほどもありそうな大剣を背負っている。


「おおっとこれはこれは騎士王アーサー様のお出ましか…でも良いのかい? その肩に乗せた手をどかさないと首チョンパしちまうぜ」

「やれるものならやってみろよ悪党」


一触即発、今にも殺し合いが始まりそうな空気が漂う。

その時、バンッと部屋に一つだけある扉が開き、そこからハルカ・ジルマ・クロトラが入る。


「ごめんみんなお待たせ。寝坊しちゃいました」



ハルカはボサボサの赤髪で登場した。

本人の弁通り寝坊し、髪をセットする時間も無かったのだ。


「ハルカさんお久しぶりです!! 僕のこと覚えてますか!?」


騎士王アーサーの先ほどまで殺気はどこかへ行き、デールから離れ深々と一礼した。


「えっと…もしかしてアーサー君!?」

「はい!!」

「ええ本当にアーサー君!? 2年前はあんなに小さかったのにもう立派な騎士ね」

「いえいえ、今の僕がいるのはハルカさんの御指南のおかげですから」


ハルカとアーサーには面識があった。

と言うのも、今ここにいる勇者達は2年前にあった大きな戦争で名を挙げたものがほとんどなのだ。

2年前の大きな戦争。

その話は後々語らうとしよう。


「よおジルマァ〜久しぶりだなぁ会いたかったゼェ」


デールは気色悪く体をくねらせながらジルマに近寄る。


「よおデール。相変わらず気色悪い奴だな会いたくなかったぜ」

「カカッ相変わらず調子に乗った口の悪いガキだなおい。そんな口は首から切り落としてやろうか?」

「お前が俺を? フフッこの2年で面白い冗談がつけるようになったもんだ」


「久方の再会を喜ぶのもええけどここまでや。そろそろ本題に入ろか」


クロトラがそう言う。


「そうだね…みんな席についてくださーい。これより議会を始めまーす」


クロトラの言葉を聞いて、ハルカはそう呼びかける。


「だってよデール。お戯れはまた今度だ」

「カカッまあここじゃあ満足に暴れられねえからこれで良しとしようか」


ガヤガヤと若干賑わいながらも、出席した勇者達は自分の席についた。


「ふむ…それでは議題に入ろうかな。今回の議題は『悪魔軍の活動目的』についてと僕の弟子である『異世界人葉隠紅葉』についてだ」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



中央の国:第三番繁華街

現在時刻20:00


日もすっかり沈み、繁華街に明かりが灯った頃、紅葉を含むリリム、ワカバ、チルの4名はゆったりと散歩をしていた。


「う〜ん…しかし、こうやってのんびりするのも久しぶりだな。こっちに来て初めてかも」

「あたしもっスねー。何だか平和を感じますね」

「そうだな、最近は魔王襲来の戦闘が続いていたからな。緊張の糸が少しずつ緩んでいく感じがするよ」

「チルも…まあ久々ですかね〜」


ヒュー…バンッ!!


四人がなんということのない日常会話をしていると、上空で大きな破裂音とともに火花が四散した。

その光景は、日本生まれ日本育ちの紅葉にとってはとても懐かしく感じられた。


「花火か…懐かしいな。日本のことを思い出す」

「ほおー紅葉にも故郷を懐かしむ人並みの人並みの感情があったのか…意外だな」

「意外じゃない!! 当たり前だろ」

「確かに…あたしも先輩にはそんなもの無いと思ってたっス」

「右に同じなのですー」

「お前ら…」


紅葉は思った。

神様、こいつらにいつか天罰がくだりますように。

そして次にこうも思った。

あれ、そういえばなんで花火なんか…祭りでもやってんるのかな?


「よおーにいちゃんたち寄って来なよ!! 美味しい串焼き食わせてやるぜ」


ヒゲとお腹の脂肪をたっぷり蓄えた屋台のおじさんが四人にそう言った。

屋台には黒々とした備長炭の上に網が敷かれ、その上には香ばしく焼かれた肉が所狭しと置かれていた。

四人は生唾を飲み込み、少し狭い店のカウンターに腰掛ける。

それとともに肉とタレの香ばしく焼かれた香りが四人を包んだ。


「いらっしゃい、さあ好きなもの食べてってくれ。ところでよ、その鎧姿からしてにいちゃん達は勇者だよな。てことは今回の『トーナメント』に出場するのかい?」


「トーナメント? なんだそれ」


全く意味がわからないといった様子の紅葉。

その横に座っていたワカバはピンと来た。


「ああそうか。明日は祭典の日か」

「祭典? さっきからなんだよ。何か大きなイベントでもあるのかよ。面白そうだから説明してくれ」


ガタンと勢いよく立ち上がる紅葉。


「まあ落ち着け紅葉。この話の続きはは食べ終わった後だ。せっかくの串焼きが冷めてしまうからな」


ワカバはそう言う。

それもそうかと、紅葉は静かに席に着いた。















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