モミジの最強たる所以
〜マリリアナ区上空〜.
モミジが戦っているすぐそばまでハルカたちは来ていた。
「大きな魔力が二つ。一つは悪魔の魔力、そしてもう一つはモミジくんの魔力だ」
「はい、わずかですがモミジさんの感じが残ってます」
「おいおい冗談だろ。こんなの人間の魔力じゃねえだろ!? しかもこのどす黒い感じ…悪魔そのものじゃねえか!!」
強めの口調でそうジルマは問う。
「言っただろ、モミジくんはサタンの血を引いていると。この魔力はサタンから受け継いだ魔力が影響しているんだよ」
「なるほどな。いやそれにしても凄い魔力だよ本当。強いかどうかはさておき、魔力なら敵の悪魔にも負けてねえよ」
「強いんだよ彼は、あんな強い奴今まで出会ったことがない。間違いなく『最強』だよ」
モミジが最強と、そう言い切ったハルカ。
しかしそれにジルマは納得しない。
それは超級勇者であるジルマのプライドか、はたまたただハルカの話に納得できなかったからなのか。
ジルマはハルカの話に意を唱える。
「最強? 最強の定理ってなんだよ。世界で一番力が強いとか、世界で一番速いとか、凄まじいスキルを持っているとかか? 俺に言わせればそんなのは最強とは呼べないな」
「呼べない? それはどうしてだい?」
「戦いにおいて敵との相性ってモノがあるだろ。火は水に弱くて水は雷に弱いみたいにさ。それ同様に、どんなに力が強くても、速くても、万能なスキルを持っていようが絶対に弱点はあるものだ。最も強いと書いて最強だが、最も強い奴なんて知りようがない」
「なるほどね、まあその考えも一理あるかな」
「世界中の腕自慢を集めて戦わせることができるのなら話は別だがな。だがそんなことは事実上無理だろ」
ハルカはジルマの話を理解はしたが、納得はしなかった。
今度はハルカがジルマの話に意を唱える。
「何も僕は、ただ力が強いとか速いとかそんな理由でモミジくんを最強だと言ったんじゃない」
「ほう、ではどういう理由でモミジくんとやらを最強だと思うのかな?」
「僕がちょっと前に暴走したモミジくんと戦った話はしただろ。その時、僕は彼の圧倒的適応力と成長速度に驚かされた。驚かされたというより畏怖したと言った方が正しいかな」
「適応力と成長速度?」
ジルマはハルカの話を聞き頭に?を浮かべる。
「暴走したモミジくんには同じ技は通用しない。その技に体を適応させてダメージを極限まで和らげるのさ。それがどれだけ強力な破壊力だろうが、どれだけ速かろうが、それに対応できるだけ体を適応させ成長させる。彼には二度と同じ技は通用しない。これが、僕が彼を最強と言わしめる理由だよ」
「……………」
ハルカの話を聞いて終始黙り込むジルマ。
そんな生物は本当にいるのだろうか、この話が本当だとするならばハルカの話すモミジとは一体どんな化け物なのだろうかと、少しだけ考えた。
「そんな化け物に、よく勝ったなお前」
「勝ってない、彼はひとりでにもとのモミジくんに戻って倒れたんだ。あのまま戦ってたらおそらく負けてたのは僕さ」
ハルカは、苦笑いをしてそう言った。
〜〜〜〜〜〜〜〜
「人間風情が、図に乗ってんじゃねえよ!!」
アマイモンは無造作に腕を振り上げ、自慢の鉄拳でモミジに殴りかかる。
「ヒハッ芸のねえことだぜ。じゃあこっちもパンチでお揃いだ!!」
アマイモンのパンチとモミジのパンチ。二人の拳がぶつかり合い相殺し合い、二人の体はその衝撃で弾き飛ばされる。
弾き飛ばされるということは力が同等ということ、暴走したモミジの腕力はアマイモンに匹敵するということである。
だがまあ、あくまでパワーに限ってだが…
アマイモンは、モミジの拳が自分の拳に当たった瞬間、拳を高速でひねりモミジの関節を破壊していた。
それによりモミジの腕、肩から手首にかけての関節がズタズタに破壊されたのだ。
(ヤロー腕力で俺と張り合うのかよ!? そんな奴サタンくらいだと思ってたがな。まあでも、これでもうあの手は使えないだろ)
「…なるほどね、そういう技があるのか。おもしれえなww」
ゴリゴリバリゴキャゴキゴキャン!!
なんとモミジは破壊されありえない方向によじれた関節を無理やりもとの向きに戻したのだ。
これにはさすがのアマイモンも驚きを隠せない。
「マジかよ。半年は飯も食えねえ腕にしたつもりだったんだがな」
「甘いんだよ甘々なんだよ悪魔さんよお!! そんなんで俺に勝てるとか思ってるところがナンセンスなんだよなあ!!」
「おもしれえなお前」
純粋にバトルが楽しいと、久方ぶりにアマイモンはそう感じた。
まさか自分と対等に渡り合えるだけの勇者が現れるなど微塵も思っていなかったアマイモンは、何か高揚感のようなものを覚えた。
それと同時に、あることを思った。
こいつは危険だ、ここで殺しておかねば………と。




