朝から
東の国デットタウン:ハルカ邸
悪魔との戦争が終わって一週間が経った。
悪魔カラビアとの戦いで、肋骨1本、あばら骨3本、腕の骨数か所、足の骨数か所を折ったが…まあなんてことはない。
4日も安静にしていたからな。
もう痛いところなんて一か所もない。
そんな事よりも…
「やっべえ…超暇だわ。暇すぎて死にそう」
4日間も一切ベットから動かずに過ごした俺のイライラは…ピークだった。
外へ出て、軽くモンスターを狩りたいところだが…お許しがでるわけねえか。
『一週間一切の運動禁止、外出禁止!!』
それが、ハルカから出された最低条件だった。
普段の俺なら、そんな条件になど従わないのだが…。
『もし約束を破ったら…君の両腕両足を切断して、一生自由に動けない体にするから』
本気で怖かったので、従うことにした。
「……家の中散歩するくらいならいいよな」
自分にそう言い聞かせ、久しぶりに体が動かせる喜びと、ハルカへの恐怖心で、複雑な心境になりながら室内散歩を始めた。
良い匂いに誘われて台所に足を運ぶと、リリムとワカバがいた。
時間的に、朝食を作っていたのだろう。
「あ、先輩おはようございます。もう動いても大丈夫なんスか?」
リリムの奴、朝からテンション高えな。
「ああ、もう大丈夫だ。三日も寝たきりで体がすっかりなまっちまったからな、リハビリも兼ねて散歩中だ」
「ふぁ、モミジ…おはよう」
随分と眠そうな様子のワカバ。寝癖もそのまま、もしかしてワカバは朝が苦手なのか?
いつも真面目でお堅い奴だからな。
もしかしたらこういうワカバを見れたのはラッキーかもな。
「ああ…おはようワカバ。二人とも朝食を作っていたのか? 朝早くから精が出るな」
「はい、先輩の分もあるので、折角だから出来たてを食べていってください」
「おう、俺は最初からそのつもりだ」
最近ロクなもの食ってないからな。おとといなんて3食お粥だったし。
まあなんにせよ…純粋に楽しみだ。
数分後、朝食が出来上がった。
「本日の朝食は、王卵の目玉焼き、果物キャベツとブルートマトのサラダ、虹オニオンのスープ、デザートは水梨です」
「よっしゃあいただきます!!」
元気にいただきますをして、俺たち三人は食事を始めた。
朝食を食べていて、あることに気が付いた。
「あれ? そういやハルカとチルいないじゃん」
そうだ。なんだが寂しさを感じると思ったら、二人ともいないじゃないか。
「ああ、二人なら夜分遅くに何処かに出かけたぞ」
まだ少し寝ぼけ眼のワカバはもくもくと朝食を食べながらそう呟く。
「出かけたって…どこに?」
「さあ、西の方へ向かうとか言ってたが…それ以上は何も」
「………そうか」
あいつら二人だけで出かけるなんてめずらしい。
それとも、残った『俺たち三人』には内緒にしなければならない事でもあるのだろうか。
まあ、あっちにも理由はあるんだろう。それは仕方ない。
でも…「出かける」の一言くらいかけてほしかったな。
「あーあ…なんかスッキリしねえな。せっかく体が癒えたってのに嬉しさ半分だぜ」
そう言って俺は、リリムとワカバが作った朝食を頬張るのだった。
同時刻:デットタウン領地内
真夜中にデットタウンを出発したハルカとチルは、馬車に揺られながら一本の細い道を西へと進んでいた。
「まったく、どうしてデットタウンには転移ゲートがないんだ。これじゃあ『会議』に収集されても到着が遅れてしまうじゃあないか」
不機嫌そうにそう言うハルカ。
それを聞いていたチルは、「いやいやおかしいだろ」といった様子でツッコミをいれる。
「そもそも、転移ゲートの設置は領主であるあなたの仕事なのですよ。あなたが購入して設置すればいいだけの話なのです」
「金がもったいない。あれ一つで数億円もするんだぞ。南の国のように、特例の認可でもなければそうやすやすと設置はできない」
「じゃあ諦めるしかないですね」
そう言われて、ハルカはは〜ッと深くため息をついた。
「まあなんにせよ急がなければ。『勇者会議』はあと十日後、それまでに東の転移ゲートまで行かないと」




