俺の考えた作戦
「悪魔側の戦力は約3万、いっぽう我が人間側の戦力は、勇者が200人、我が国の兵士が1万といったところですかな…」
現場に少し険悪なムードが漂う。
「…厳しいですね。まともにやりあえばこちら側の戦力は間違いなく壊滅…何か策を考えないと」
ハルカが現状を素早く判断し、そう決断づける。
「奇襲を仕掛けるなんてどうでしょう! 夜間悪魔軍が眠っている時に奇襲するんです」
「1万にもなる兵でバレずに奇襲を仕掛ける方法があるなら、僕が知りたいね」
ハルカの言うとおりである。少数の兵で奇襲するなら簡単である…だが、1万の兵を敵に知られずに奇襲するのはどう考えても無理である。
…ん? ちょっと待てよ。
「おい王様、ここコロナに転移ゲートはいくつある?」
「…は? 何をいきなり、貴様! 王に失礼だぞ」
「いいからこたえろ! ゲート番号の同じゲートは全部でいくつだ王様? いい作戦を思いついた!」
ゲートの大きさは横5m、縦8m、素材は…おそらく金属だろう。そう考えるとゲートの重さは5トンくらいだろうか…、最高で5個最低でも3個は必要だな。
王が何かの地図を取り出した。
「これは南の国が保有しているゲート数とその分布だ。ここコロナには10個のゲートがあって、それぞれが同じ番号だから5組分だな」
5組か…これなら問題ないだろう。
「ねーねーなんなんだ紅葉くん、僕はきみがどんな『作戦』を思いついたのか知りたいな」
ハルカが笑みを浮かべながらそう俺に問いかける。
「やっべ!俺ってもしかして天才かもしんない」
「自己満足はいいから早く教えてほしいッス!」
そうなげかけるリリム。
「俺の思いついた作戦は『奇襲作戦』だ!!」
「…は?」
俺の作戦を聞いて、きょとんとしているみんなの姿がそこにあった。
「奇襲作戦って…それはさっき『却下』したばかりじゃないか」
頭がおかしくなったのか? と心配そうに俺を見つめるハルカ。
「まあもちろんただの奇襲じゃない。転移ゲートを使った奇襲だ。悪魔軍の進行するであろう場所を予測して転移ゲートを配置、そして転移するのは『勇者200人』だけだ。奇襲の目的は敵を混乱させること、少し離れた所に配置した兵士1万は混乱したところで進軍させる…」
「なるほど、転移ゲートを使って一瞬で奇襲できれば200人の勇者軍でも十分だね」
俺の案に納得のいった様子のハルカ。
「ではさっそくゲートを運ぼう。…でもいったいどうやってあんな物を運ぶんだ?」
「俺たち以外の勇者にも協力してもらう」
「〜というわけだ、俺とハルカとリリムで1つ運ぶから、あとはみんなで残りの4つをどうにかヨロシク」
俺は作戦の内容を伝えて、今この都市にいる勇者34人に協力を依頼する。
「…俺らはべつに大丈夫だけど〜、あんたらは3人で大丈夫なのか?」
勇者の一人がそう言って俺とリリムのほうをじろじろ見てくる。
「なんスか、さっきからじろじろと、私のこと好きなんスか?」
自分に向けられる視線に耐えかねてそう口に出すリリム。
「だってよー、あんたら下級勇者だろ? それにガキと女だしさあ、あんたらがハルカさんと一緒じゃあ『足手まとい』だろーがww」
男の一言をかわきりにゲラゲラと笑い出す勇者たち。
これは俺に対しての『挑発』であることは容易に理解できた。
見ず知らずのたかだか下級勇者が自分たちに命令をして調子にのっている。
そこで挑発をして、俺をキレさせそこを『返り討ち』にするというのが彼らの考えである。
だがしかし、こんなものは無視していればどうとでもなるのである。
「そんだけ大口たたけるんだ、実力もそれにつりあってるんだろうなあ!」
だが、俺はその挑発にあえてのっかるのである。
「こいよテメー!! 一発で潰してやる!!」




