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記憶

「なんだと? あの跡地か!?」


 驚く詩音に頷くと、


「こりゃまた、行ってみるしかないっスね〜」


「だが、今日はもう……」


 暗くなって来たぞ? という詩音に、


「そうっスね! 今日はここまで!! 晩飯食って寝るっスよ!」


「私はしゃわーも浴びたいぞ!」


「んじゃ、オレが料理してる間に入って来たらどうっスか?」


 セルイの提案に、少し考えた後、


「いいのか? では遠慮なく」


 そう言うと詩音はバスルームへと向かった。


「さてと、シャワーだけならすぐっしょ。何にしようかなぁ」


 考えながら、手を動かす。出来たのは野菜たっぷりのシチューだった。

 思ったほか、結構な時間が経っており、詩音がまだバスルームから出て来ていない事に気づく。


(何してんスかね? まさか、何かあったか!?)


 急いでバスルームに行く。


「詩音!! 大丈夫っスか!? 詩音!!」


 声をかけるが反応がない。開けるっスよ!と声をかけ、扉を開ける。すると、そこにはぐったりしている詩音がいた。


「詩音!!」


 慌てて駆け寄り、抱き起こす。


「ん。……すまない。急に目眩がして……」


「のぼせたんスか!? いや、違うな! 熱っぽいし!! なんで言わなかったんスか!」


 そう言うセルイに詩音は、


「……すまない」


 それだけ言うと、ぐったりしたまま動かなくなってしまった。幸い、タオルで拭くことは出来たらしく、身体にタオルを巻いていたため、そのままベッドルームに運ぶ。

 そして、セルイは少し悩んだ末、この街の闇医者に連絡した。


****


「おそらく疲れが出たのでしょう」


 数十分後、現れた闇医者はそう言うと、詩音に的確な処置を施していく。


「しかし、この若さで過労とは。余程の事ですよ? 気をつけて下さい」


「……はい」


「数日は安静にさせて下さい。いいですね?」


 それだけ言うと、闇医者は代金を手に取り去って行った。

 安心したセルイは、ため息を吐き出し、横になっている詩音をみる。バスローブを着せた彼女は、スヤスヤと眠っていた。その顔に安堵すると、


(過労か……失敗したな。俺のペースで色々行かせすぎた。謝るのは……俺の方だ)


「すまない。詩音」


 そう言って優しく頭を撫でると、セルイはキッチンに向かい料理を明日用にするべく手を動かした。


****


 翌朝、目を覚ました詩音は、ゆっくりとベッドから起き上がる。


「? これは? 私は一体?」


 困惑する詩音に、セルイが声をかける。


「起きたっスか? 詩音。昨夜倒れたんスよ?」


 そう声をかけられ、詩音は不思議そうな顔をする。


「……セルイ? だよな? 私は……一体?」


「バスルームで倒れたんスよ! っていうかオレの名前が今更どうかしたんスか?」


 セルイの問いに、詩音は首を傾げながら、


「いや……なんだか頭がふわふわしていてな?」


 彼女自身も困惑しているらしい。セルイは問い詰めるのをやめ、


「とにかく! 数日は安静に!! いいっスね!?」


 それだけ言うと、セルイはキッチンへ向かい、昨夜作ったシチューを温めに行った。


****


 ベッドでの食事を終え、大人しく横になる詩音に、


「んじゃ、何かあったら呼んで! オレはリビングにいるんで!!」


 詩音が頷くのを確認すると、セルイは笑顔になり、


「心配ないっス! すぐに良くなるから!!」


 明るく言うと、セルイはリビングに向かった。ソファに座り、深く息を吐く。


「はぁ〜。これからどうするっスかね? 詩音は動けないし……。かと言って時間をかけるとその分ロスっス。う〜ん!」


 頭をかくセルイ。その時、詩音が呼ぶ声がした。

 慌ててベッドルームに行くと、


「セルイ! なぁ! 私はなんでここに住んでいるんだ? 何か目的があったはずなんだが……思い出せないのだ!」


 涙目になりながら言う詩音に、


「詩音。落ち着くっス! 今覚えてる事は?」


「えっと……どこから来た? それで……父上と会って……私は……私は……篠楽木詩音?」


 セルイは首を横に振ると、


「オタク……いや、お前は閃光のブラックパール。異世界から来た聖騎士だ」


「……ああ。そうだな。そうだった。私は、閃光のブラックパールだ!」


 セルイは頷くと、詩音を横にさせ、


「んじゃ! 今の閃光のブラックパールの仕事は、良く寝て食べる!! いいっスね?」


 静かに頷く彼女の頭を撫でると、


「……子供扱いするな」


 その様子に安心したのか、手を離すと、セルイは再びリビングに行く。


(それにしても、急速に詩音の記憶が薄れてるっスね……。コレは悠長な事してらんないかもな……)

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― 新着の感想 ―
[一言] バスルームでラッキースケベを期待してしまった事を深くお詫び申し上げます(シ_ _)シ  いや、ちょっぴり期待しちゃったけどそんなこと言ってる場合じゃなかったww
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