残党
Jが仲間達により運ばれていく。
そんななか、現場に残った血を何度も舐める。
が、
「ダメっスね。どれも情報が読み取れないっス!」
「お前でも読めないことがあるのだな!」
そう言う詩音に、セルイが反論する。
「いやいや、普段なら読めるっス! というか、こんなことはじめてっスよ!!」
困惑を隠せないセルイに、Nが言う。
「もしかしたら、我らの技術で情報が読み取れないようにしていたのかもしれませんな」
「それは困ったっスね……」
そんなやり取りをしていると、詩音がおもむろに言う。
「なぁ、血から情報が得られないのでは、先に進めないぞ? 何か手はないのか?」
それに頷くと、セルイはため息を吐き、
「仕方ないっス。このシャッター街には防犯カメラもないし……。現場に残った物で手がかりを探すしかないっスね!」
そう言うと、Jが出てきた所に向かう。
そこは、畳四畳程の空間だった。中には血がびっしりとついている。
「酷いっスね……。コレでよく生きてたというか、さすがというか」
妙な感心をしながら、残っている物を見る。
慎重に見ていくと、Jのメモ帳に文字が書かれていた。
「と、なになに? ……我は……聖リント、聖リント!?」
驚くセルイに詩音が反応する。
「確かそれは、父上のハンナ教団の前の名称ではないか!? 何故ここで出てくる!?」
「そんなのオレが聞きたいっスよ! まさか残党? だけど、そうだとしたら何故このタイミングで?」
疑問だらけだがとりあえずそのメモを取ると、
「コレは借りて行くっスよ?」
「ええ、どうぞ」
Nの了承を得ると、セルイはメモ帳をしまう。そして、詩音に声をかけ、その場を後にした。
****
「おい! 何がどうなっている!?」
「わかんないっス! けど、ここで聖リントが出てきたのは偶然じゃないっスね! 何か手を打たないと!」
そういいながら、隠れ家に入ると、セルイはソファにドカりと座り、ため息をつきながら考えだす。
「えっと、Jの依頼は魔剣ノスフェラトゥを渡すこと。そして、魔剣を持っていたのは南雲という警察官。でも、Jが襲われた時には、南雲はオレ達と戦っていた……。んん? つまり、犯人は魔剣とは関係がない? いや、それならJに何故手を出した? それも相当な実力者じゃないと勝てない相手に。んー! わかんねぇ!! 」
頭を乱暴にかきながらセルイが言う。その様子を見ていた詩音は、
「なぁ、J殿は我々が狙われていると言っていたな? そこから考えるのはどうだ?」
「って言ってもねぇ。オレ達が狙われる理由はなんスか? 詩音が異世界人だから? オレが吸血鬼だから? それとも魔剣ノスフェラトゥを持っているから? 思い当たる節が多すぎて、絞りきれないっスよ?」
んーと唸るセルイに、詩音も無言になり考える。
その時、セルイのスマホが鳴った。
「……はい。オレっスけど? ……ああ、どうしたっスか? ……うん。はぁ!?」
勢いよくソファから立ち上がると、セルイはぐるぐる歩きながら通話を終える。
「どうしたのだ?」
詩音の言葉に、セルイが言う。
「今レオンから、オレ達のことが情報屋の中で高値で取引されているらしいってきて。どうやら、情報を買っているのは……聖リントの残党っぽいっス」
「なんだと!?」
驚く詩音に、セルイは、
「コレは……不本意だけど詩音の親父さんの力を借りるしかないっスね」
そう言うとセルイがスマホを操作し、南部聖司とコンタクトを取る。
「……。あ、もしもし? 朝早くにすみません。……はい。セルイっス。……そう。実は話があって……通話じゃちょっと……んん。了解っス。協力感謝するっス! それじゃ!」
通話を終え、複雑は表情の詩音に、
「詩音。今日の午後、親父さんの所に行くっスよ! ……オーケー?」
「……了解した。大丈夫だ!」
それだけ聞くと、セルイがキッチンに立ち、
「それじゃ飯食って、寝るっスよ!!」
調理を始めるセルイを見て、詩音が言う。
「なぁ、何か手伝えることはないか?」
「そうっスね。大人しく待っててくれる事が一番の手伝い……かな?」
「な!? 子供扱いするな!! 料理くらい……前回は失敗したが、今回ならできる気がするんだ!! 何か作らせろ!!」
そう言うと強引にキッチンに入って来るので、致し方なく、調理をしながら、シノンにも作らせる事にした。
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数十分後、
肉じゃがを作ったセルイに対し、詩音は、黒焦げの物体を作り出していた。
「……何それ!? オレ卵しか渡してないっスよ!? なのに、卵がなんでそんな事に!?」
テーブルをバンと叩くと、
「何故だ!? 何故出来ない!? 元の世界では食べれたのに!?」
悔しがる詩音に、今日何度目か分からないため息をつくと、
「ま、まぁドンマイっスよ! それより早く食べるっスよ? 午後には親父さんの所に行くんだから!!」
そう言われ、詩音は明らかに落ち込んだ様子で肉じゃがを食べ出した。それを確認すると、セルイも食べ出す。
そうして食事を終えると、二人は仮眠をとり、午後に備えた。




