警察
翌朝、セルイが目覚めると詩音はまだ眠っていた。
起こさないように起き上がり、寝室をでる。
玄関に向かって行くと新聞が入っていた。それを手に取ると、キッチンに移動する。
「今日は何にするっスかね〜?」
そう言いながら新聞をテーブルに置くと、見出しが見えた。
『連続失血死事件、犯人未だわからず』
(連続ねぇ……まぁオレの仕業でもあるけど、シーニーやレオンも殺ったっスからね……)
そう思いながら、料理を作り出した。
そうしていると、匂いで起きたらしく、詩音が目を擦りながら入って来た。
「う〜ん、おはようセルイ。早いな」
「おはようっス! さぁ、座って座って!」
まだ半分寝ぼけている詩音を椅子に座らせると、料理を再開する。
しばらくして出来たのは、白飯に味噌汁にサラダだった。
「これぞ和食? あ、サラダがあるから違うか〜。まぁ、とにかくそう言う料理っス」
詩音が首を傾げ、
「よく分からんが、美味しそうなのは理解した。食べていいか?」
いいっスよと言えば詩音は、
「頂きます!」
そう言って食べだした。その様子に安心しながら、セルイも食事を摂る。
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しばらくして食べ終わると、詩音が自ら洗い物をかってでたため任せると、セルイが新聞を読み出した。
「何か書いてあるのか?」
「あ〜そうっスね。連続失血死事件の事が書いてあるっス。犯人は未だわからず。複数犯の可能性もあるとか。まぁ、確かに複数っスからね〜。当たりはいいっスね!」
呑気にそう言うと、新聞をめくる。そんなセルイを見て詩音が言う。
「……お前はいつも冷静だな」
「ん? そうっスかね?」
「冷静だ!!」
バンッと突然シンク横の壁を殴ると、詩音が言う。
「……私は自分がこんなに女々しいとは知らなかった! いや、知りたくなかった! 父上とリセが抱き合った時、正直嫉妬したし、悲しかった!! 未だに辛い!! やっと会えたと思ったのにだ!? それなら、父上が生きている! そんな希望なんて持たされなければよかったのに!!」
一気にまくし立てると詩音は洗い物を終え、
「……少し休みたい。寝てていいな?」
それだけいいまたベッドの中に入って行ってしまった。
どうしたものかと頭をかきながら、セルイは仕事部屋へ向かった。
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数時間後、仕事部屋から出ると詩音は未だベッドの中だった。
「詩音。そうやって現実逃避してても、先には進めないっスよ?」
セルイの言葉に、詩音が言う。
「……そんなのわかっている。だが、今はこうしていたいんだ……。放っておいてくれ……」
そう言ってうずくまる彼女を見て、
「わかったっス。オレも今日は市場には行かないんで、ゆっくりするっスよ?」
セルイはそう言うと、寝室を出てリビングに行った。
そのままリビングに直行すると、音量を小さめにしながらテレビを付け見始めた。
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そんな時間を過ごしていると、チャイムがなった。
「はいはい。誰っスかね?」
そう言って扉を少し開けると、
「警察の者ですが、不知火セルイさんはいらっしゃいますか?」
警察だと名乗る男に警戒心を上げ、
「なんのようっスか?」
冷たく言う彼に男は、
「連続失血死事件の事で、お聞きしたいことがあります。少しお話いいですか?」