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2/22

1-2 いつもの店員

挿絵(By みてみん)


【今回の見どころ】

しがない38歳の配達員・一雄の前に現れた、バイト先の眩しすぎる店員・美月ちゃん。

ただの「注文番号」が、一雄の脳内で特別な「運命の暗号」へと変換されていく……! 彼の歪み始める純愛の第一歩を目撃せよ!



【作品紹介】


本作は、noteで「運命の人〜ストーリー〜」として執筆している小説を、小説を読もう!用に投稿しました。



一人の男がバイト先のハンバーガーショップの店員(実は地下アイドル『UVA48』のセンター・美月)への純愛を暴走させ、周囲を巻き込む大騒動へと発展していく、切なくも狂気的な音楽連動型・現実世界恋愛小説です。


【公式連動楽曲】

iti視点ソング『運命の人〜暴走〜』の歌詞世界と完全シンクロ!!

一雄の脳内で運命の歯車が激しく回り出す瞬間を、ぜひメロディと共にお楽しみください!


【2作連動の仕掛け】


主人公「宇場一雄」は、別作品『フーデリオン』の主人公と同一人物です。あちらの作品に登場する「喉に傷があるバイク屋のオヤッサン」の正体とは? そして店に飾られた「一輪の赤い薔薇」の真相とは……?


二つの世界線が交錯する時、本当の『運命』が紡がれます。



【連動楽曲】

YouTube・noteにて順次公開!

①iti視点「運命の人〜暴走〜」

②UVA48視点「運命の人〜完全拒絶〜」



激しく狂おしい音楽の予感を胸にお楽しみください。


(リンクは後書きの下にあります)

【1-2 本文】


ハンバーガーショップの前に到着すると、一雄はバイクを停めた。エンジンを切り、スマートフォンを確認する。


注文番号は、画面の上部に表示されていた。

商品を受け取るだけなら、ほんの数分で終わる。それなのに、一雄はバイクから降りる前に、何度もヘルメットの位置を直した。


サングラスを外す。

髪を手で整える。

もう一度サングラスをかける。

そして、またヘルメットを直す。


整えたつもりが、ヘルメットで押しつぶされていた髪が、左右に跳ねていた。


「……まあ、こんなもんか」

誰も見ていないのに、一雄は小さく頷いた。

店のガラスに映った自分の姿を確認する。


肩まで伸びた髪。

少し膨らんだ腹。

スイカ柄のヘルメット。

黒いサングラス。


そして、背中に背負った大きなデリバリーバッグ。どう考えても、女性から好意を持たれるような外見ではない。

そもそも、一雄には女性とまともに会話をした記憶が、最近ほとんどなかった。

一雄は小さくため息をつき、店内へ入った。


店内は昼のピークタイムを過ぎたばかりで、まだ忙しそうだった。

カウンターの前には数人の客が並び、厨房の奥からは油のはねる音と、店員たちの掛け声が聞こえている。


そして――。


カウンターの向こうに、中村美月がいた。

美月は長い髪を後ろでまとめ、清潔感のある制服姿で客に笑顔を向けている。


「お待たせいたしました。こちら、商品になります」

美月が客に商品を手渡す。

その笑顔を見た瞬間、一雄の足が止まった。

美月がこちらに気づく。


「あっ、配達員さん。お疲れさまです」

ほんの一瞬、目が合った。

一雄の心臓が、大きく跳ねた。


「……お、お疲れさまです」

声が上ずった。

しまった。

今のは完全に変だった。

しかし、美月は気にした様子もなく、端末を確認した。


「ご注文番号をお願いします」

「あ、はい。えっと……」

一雄はスマートフォンを確認しようとした。

だが、緊張のせいで指がうまく動かない。

画面をタップしたつもりが、別のアプリを開いてしまった。


そこには、昨夜録音した自分の歌声が表示されている。

もし再生ボタンに触れたら、店内に自分の歌声が流れてしまう。

そう思った瞬間、一雄の指は完全に固まった。


「……配達員さん?」

「あっ、すみません!」

一雄は慌てて画面を閉じた。

注文番号を確認し、口にする。


「M……1……M……1……M……1……です」

「はい。M1M1M1ですね」

美月は淡々と番号を復唱した。

だが、一雄には、その番号が何か特別な暗号のように聞こえた。


M1M1M1。

Mは、美月。

1は、iti。


つまり――。

美月、iti。美月、iti。美月、iti。

三回もだ。

一回なら偶然かもしれない。しかし、三回となると話は別だ。

これはもう、運命以外の何ものでもない。


一雄は、注文番号を見つめながら、自分だけに分かる暗号を解読した気分になっていた。


「商品、こちらでお間違いないです」

美月が袋を差し出した。

一雄は両手で受け取った。


「ありがとうございます」

「こちらこそ、お願いします」

美月はいつもの接客スマイルを見せた。

一雄は反射的に軽く頭を下げた。

それ以上、何も言えなかった。


挿絵(By みてみん)


本当は、

「今日も笑顔が素敵ですね」

と言いたかった。


できれば、

「いつも何時まで働いているんですか?」

とも聞いてみたかった。

だが、そんなことを口にしたら、明らかにおかしい。

配達員と店員。

二人の関係は、それだけなのだから。


一雄は商品を受け取り、店の外へ出た。

自動ドアが閉まる。

数歩歩いたところで、一雄は立ち止まった。


「……今日も、笑ってくれた」

頬が緩んだ。サングラスをかけているため、誰にも表情は見えない。しかし、口元は完全に笑っていた。


「しかも、番号を復唱してくれた……」

当たり前の業務である。

そんなことは、一雄自身も分かっていた。

分かっているはずなのに、胸は浮かれていた。


バイクにまたがり、エンジンをかける。

ヘルメットの中で、自然と鼻歌が出た。

その歌声は、店内で聞かせれば誰もが振り返るほど美しかった。

けれど、一雄は今、自分が何を歌っているのかすら分かっていなかった。


ただ、美月の笑顔が頭から離れなかった。



【1-3へ続く】

第2話をお読みいただきありがとうございました!

明日の同じ時間に、第3話「1-3 深夜の配達」を投稿予定です。お楽しみに!


少しでも面白いと思ってくださったら、ページ下部の【☆☆☆☆☆】でのポイント応援や、ブックマーク登録をぜひよろしくお願いいたします!


【主題歌のお知らせ!!】

主題歌は2つ 別々の視点から作詞しました!

①iti「運命の人〜暴走〜」

②UVA48「運命の人〜完全拒絶〜」


アプリから閲覧している方はお手数ですが

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挿絵(By みてみん)


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