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佐助の来世事情  作者: 名倉なのい
第一章 流るる前世
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全ては此処から始まった~裏切りの世界~

「佐助!」

 やはり、敵か。ガラシャは小柄な身体でこちらへ駆け寄ってくる。馬は何処かへ置いてきたそうだ。彼女は息を整えながら周囲一帯を見回す。

「魏か」

「……いや、真田だ。真田の忍が襲って来た」

「真田が?」

 ああ、と佐助は腕を組んで思考を回転させる。確か、真田は魏だったかと質問すればガラシャは眉間に皺を寄せて首を左右に振った。

「真田は蜀じゃ。徳川と同じで劉備様と同盟を組んでおる! それなのに……ッ」

「裏切られたんじゃないの?」

 戦国時代の人間って裏切りに裏切りじゃん、裏切りなんて珍しくもないでしょ。腕を後ろで組もうとすれば脛をガラシャに蹴られた。脛当てを装備しているため、痛くも辛くもなかったが。文句の一つでも言おうとすればガラシャは睨み上げてきた。

「劉備様が、何故!」

「真田の当主って真田昌幸でしょ。この世界では知らないけど、表裏比興の者って言われてたんだよね、確か」

 表裏比興の者――意味は老獪な食わせ者という意味である。勢力を渡り歩き、強大な敵と渡り合い、真田家を大きくしていったため、上杉景勝に宛てた書状の中で石田三成が評したのが有名である。故にもし、この世界で性格が史実と同じであれば――。

「裏切られるのが当然という事か」

 ガラシャはそう吐き捨てるように疑問を投げ、佐助は「さあね」とだけ呟いた。

「真田昌幸は家を保つ事を目的としている。なら、魏へついたのも、真田家のため」

 蜀に未来はない、そう理解したのだろう。まあ、実際未来で呉より先に蜀は滅ぶけれど。しかし、真田よりも曹操軍の動きが気になった。

「それより、曹操軍がおかしいと思わないの」

「それは理解しておる。……斥候にしては、探るというよりも……何かを探している、求めている、そんな様子じゃな」

「そうなんだよね。こっちの事を探るなら、もっと成都側へ出て来てもいいと思うけれど」

 曹操軍はこの森に潜んでいる。その上で何かを行っている。「何か」が何なのかわからないが、嫌な予感はひしひしと、身体に手をそっと這わされるように伝わってくる。気味が悪い、気持ちが悪い。

「深く探ってみるか」

「うむ、そうじゃな」

 だが探るとはいえ、この辺りは曹操軍が彷徨いている。安易に捜索すれば、まず間違いなく襲われるだろう。千代女のように襲われてもおかしくはない。襲われないようにするためには情報が必要だ。何か情報を探り、それを目星に調査するのがいいだろう。漫画やアニメ、ゲームでも当たり前の事だ。

「よし、まずは……――」

「情報を得るために、曹操軍を襲う、じゃな!」


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