序章 光と影
朝日が窓から差し込む。雲一つない快晴。そんな何気ない日常。僕の名前は神智仁。緑字高校の1年生。そう、見かけは普通の人間。でも、僕には多くの人と異なる部分がある。それは、魔力があること。その力は万能であるが故に僕を孤独にさせた。僕の魔力では人の心は操れない。僕の力を知ってもなお、友情を分かち合える。そんな人がこの世にいるのだろうか。そんなことを考えながら僕は今日も教室の隅で一冊の本のページをめくる。
めい『おはよー』
この元気で明るい声はめいだ。玉舘めい。
僕のクラスメイト。
智仁『おはよう玉舘さん』
僕の力なんて何一つ知らない彼女に気さくに返事をした。
めい『智仁くん、昨日の宿題さ、もうやった?』
そういえばそんなものもあったな。
智仁『あぁ忘れてた。いつ提出だっけ?』
めい『えっとね、来週の火曜日!』
智仁『ありがとう玉舘さん。』
彼女は教室の隅にいるような僕にもこうやって話しかけてくれる。僕の心のよりどころだ。
『おはよう。全員席につけー』
担任の山下だ。もうホームルームか。
『今日の連絡はーーー』
はぁ天気はいいのになぜこうも憂鬱なのだろうか。
僕がそんなことを思っているうちに消しカスがひとりでゴミ箱に向かいパサッと落ちた。
『よし、今日も1日頑張っていこう。解散!』
1限目は体育か。運動はあまり好きではない。疲れてその後の授業でうとうとしてしまう。
朽木『おう、智仁。なに浮かない顔してんだよ。』
朽木かよ。彼は僕をいじめて楽しんでいる。とてもじゃないが好きにはなれない。
智仁『別になんでもないよ。』
朽木『相変わらずそっけないな。』
智仁『そんなことないよ。僕は誰に対してもこう。』
朽木『バカ言え。じゃあさっきのめいとのやりとりは何だよ。随分と楽しそうだったじゃないか。』
図星だ。僕は彼女のことが気になっている。というか、ぼっちに優しく話しかけてくれるような女子を誰が嫌いになるんだ。
智仁『いや、別にそんなこと…』
小野『照れ隠しか?ぼっち。朽木様の考えはいつも正しいんだ。』
はぁ。取り巻きの小野だよ。こいつが一番口が悪い。いちいち嫌みなことばかりいって…
みっちゃん『そうだよ…小野くんの言う通り…』
またもや別の取り巻き。三浦だ。こいつらにはみっちゃんなどと呼ばれているらしい。まあ彼女に関してはそんなに憎めないんだが。
めい『やめてあげなよ!朽木くんはいっつも智仁くんいじめてなにが楽しいの!』
こんなときいつも助けてくれるのがめいだ。
朽木『ちっ勝手にいちゃついてろ。』
小野『あっ朽木様ー』
みっちゃちゃん『ちょっと…待ってよ…』
やっといなくなった。一安心。
めい『智仁くん大丈夫?』
智仁『うん。大丈夫。ありがとう。』
いい加減僕一人であいつらを追い払えるようにならなきゃな。まあ力に頼ればできる。でもそれが真の解決にならないことも知ってる。
キーンコーンカーンコーン
めい『大変!もう授業始まっちゃうよ。わたし先に行ってるから智仁くんも早く来てね。』
あいつらにからまれてたせいで余計に時間を使ってしまった。まだジャージに着替えてもないし。しかたないので、ジャージに高速で着替え、体育館近くのトイレにテレポートして事なきを得た。
智仁『ふぅ。』
めい『あれ?智仁くん来るの速くない?』
ギクッ。めいの存在をすっかり忘れてた。
智仁『はは…今全力で走ってきたんだよ。』
めい『そうなんだ?まあいいや。』
危ないところだった。今日の体育はたしかバスケか。まあいいや。適当にこなそう。バスケの時間はなにごともなく、文字通り「適当に」やり過ごした。
続く2時限目からはバスケの疲れからかどっと眠気が押し寄せ授業どころではなかった。魔法の力はあっても、眠気には勝ちようがないのだ。そのままうとうと授業は流し聞きした。
キーンコーンカーンコーン
『よし、1日お疲れ様。解散!』
やっと放課後だ。帰って何をしようか。答えは決まっている。今日は父も母もいない。夜更かしだ。コンビニでも寄ってお菓子でも買い込もうか。コンビニでポテチと炭酸飲料を買い込み足早に帰路につく。
普段とは違い誰もいない静かな家。靴をそろえることも忘れ、階段を駆け上がった。僕は買い込んだ食料をベッドにひろげ一人晩酌の真似事を始めた。いつぶりだろう、家でこんなにも落ち着けたのは。
楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、いつのまにか時計は12時を回っていた。
智仁『そろそろ寝るかぁ。』
空袋をゴミ箱に放り投げ…いや、一人でゴミ箱に向かわせ僕はベッドに潜り込んだ。体育の疲れがのこっていたのか眠りにつくのはそう難しくなかった。
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同時刻、玉舘めいは夜な夜な自室の床に奇妙な幾何学模様を描いていた。言うまでもなくそれは魔法陣。
そう、彼女は中二病なのだ!
めい『今日は出るかも。我が望みを叶え姿を表せ!』
…………。
めい『やっぱ出ないかぁ。明日も挑戦しよ。』
彼女は魔法陣を片付け、ベッドに潜り込む。
めい『絶対あの男の子みたいに魔法使えるようになるの。』
彼女の言葉はゆっくりと闇に消え、やがて彼女も眠りについた。
作者の夜更かしは午前2時までです。
感想など、なにかあればぜひお願いします。
次回は6月26日に投稿いたします。
重ねてお願いですが、
これからもこの作品をよろしくお願いします。




