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あしたのはなし(プロローグ)
自殺者は増え続けていた。
だから国は、ひとつの答えを出した。
自ら命を絶つ代わりに、臓器を提供する制度。
人々はそれを「自提」と呼んだ。
死ぬことは悪ではない。
誰かの命を救うための選択だ。
そんな言葉が、テレビでも、ネットでも、街角でも当たり前のように語られている。
街には「ジサス」と呼ばれる施設が建ち並び、自提を望む人々を静かに受け入れていた。
けれど。
死にたい理由は、人の数だけある。
友達に無視されたこと。
家族と上手くいかなかったこと。
職場で傷ついたこと。
誰にも言えない苦しみを抱えていたこと。
そんな人たちの話を聴き続ける男がいた。
さい。
そして、その人が死を決意していることを不思議と感じ取ってしまう女がいた。
なみ。
これは、死を選ぼうとした少年少女と、彼らの「明日」を諦めなかった二人の物語である。




