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ノドの地  作者: 音切萌樹
第一章.バートンとトラグス
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12.合流

 ズカズカと廊下を進む。ヴィオレッタの人間は見つけ次第全員射殺し、隠れている者も見つけ次第殺し続けた。

最期の一発を目の前の人間に撃ち込むと残弾が切れたらしくスライドが下がる。

バルドルはチッと舌打ちを一つ零すとトランクの中にあるマガジンを取り出し入れ替え、スライドを引き装填する。


「こっちにはもういなさそうッスよ、バルドルさん」

「おお。東側からせめていないってこったあ……」

「西、っすかね」

「だなぁ……」


 ため息をつきながらバルドルとジェットの二人は西棟へ向かった。

R.P.G.なんて代物を屋敷の門へ打ち込んだのだ。そりゃあ侵入者(じぶんたち)がいる側に部下が集まることはわかりきっていた話であろうが、二人にはなぜこんなに人が多いのかと道中話続けていた。



 * * *



 西棟には部屋が極端に少ない。それはウォズ・ヴィオレッタの趣味が悪いせいもあるが単純にこの屋敷の立地のせいだ。治安が悪い地域柄、縦や横に長い屋敷は立てられなかったために東西ではなく東南に広い屋敷となり、極端に西エリアが狭くなったのだ。

 そしてその狭い西エリアに執務室やら私室やら隠し部屋やらを詰め込んだ結果、西側だけ厳重警備になったようだ。


「えっと、確かこの辺り……」


 ペタペタと廊下の壁を触りながらエイラは何かを探していた。壁を登るヤモリか、地面にへばりついたカエルのような傍から見たらとても奇妙な姿をさらしている。


「エイラさん、その変な恰好で探す意味はあるの?」

「あたりまえよ!この格好で探すのが一番わかりやすいんだもの!」

「あ、さよで……」


 もう何も言うまいとベリルはため息をついた。そしてもう一度エイラに声をかけようするがすぐに銃を構える。一瞬、廊下の向こう側から咳払いが聞こえた気がしたのだ。


「エイラ、いま……」

「だーいじょうぶよ。アイツだから」

「アイツ……?」


 警戒を緩めぬまま、ベリルは廊下の向こうを見つめる。しばらくするとエイラと同じように帰り血に塗れたバルドルと疲れたようにため息をついたジェットがやってきた。

心なしかジェットが最期に見た時よりやつれているように見える。


「ジェット!バルドル!」

「おお!エイラに嬢ちゃんか!つか、結局ここで合流かよ」

「おぉ、ベリル……おつかれさん」

「く、詳しい話はあとで聞くわジェット。お疲れ」


 少し会わなかっただけでここまで老け込むのか。とベリルは独り言を零す。今のジェットは十歳ほど老け込んでいるように見えた。どれだけ精神的に負担がかかったのかは本人のみぞ知るというところだろう。

 しばらくペタペタと壁を触り続けていたエイラが「あった」と声を上げた。様子を見れば壁にあったわずかな隙間に指をひっかけ壁を引く。すると回転扉のように壁がまわり、奥への通路が現れた。


「これ知ってる。東国の小さな島に伝わってるニンジャってのが使うやつだろ。ニンジュツ、っていったけ?」

「ジェットそんなことよく知ってるわね!アタシだってユダから聞いてようやく知れたのに」

「あー……あ、ほらうちの右腕が、ほら、そっちのユダってのと仲いいだろ?だから、聞いてたって話を、聞いたんだよ。そう、聞いたんだ」


 時々言葉に詰まりながらジェットはそう言った。目を一切こちらに合わせないところなど明らかにこちらに何か隠しているのではないかと色々と思うところはあるが、任務には一切関係ないためエイラは小さく息を吐いた。


「そう。ならとりあえず任務に戻るわよ。バルドルを先頭にベリル、ジェットの順に。アタシは殿(しんがり)を。ターゲットであるウォズ・ヴィオレッタは見つけ次第一時捕縛。情報を聞き出したら処分。聞き出した情報はトラグス、バートン共に共有。屋敷や領地については後日ボス同士の会談を持って締結、これでいいわね?」


 隠し部屋に侵入する前に再度条件に付いて確認する。全員が承諾したうえで侵入すれば誰かが仮に死んでも残りがそれを達成できる。もっとも、そんなにすぐ死んでしまうような人間はここにいないんだが。

 エイラの言葉に全員が頷き、ベリルは大口を開けながら欠伸をした。


「あたし達だけで決められる話じゃないしねぇ~それでいいんじゃない?」

「そうだな、あとなんかあるかってんならヴィオレッタのつけている装飾品を証拠として持ち帰らせろ」


 ふと思い出したかのようにジェットが声をかけた。その言葉にベリルも思い出したようにあー、と声を上げた。証拠など何故持って帰るのか、と問えばジェットも困ったように肩を落とした。


「うちのボス、オニキスさん以外が仕事したらやってきた証拠を出せ~って言うんだよ。まぁ、一種の暇つぶしでそう言ってるってのはわかるからいいんだけど……今回は緊急の仕事だしちゃんと持って帰ったほうが良いかと思ってよ」

「あぁ・・・・・・そっちも大変なのね。了解したわ。ヴィオレッタの印とブローチを持っていけばいいわ。さて、じゃあそろそろ行くわよ」


 切りが良い所で話を終え、隠し扉の先に進む。

馬鹿だが一応ファミリーを収める者だ。この隠し扉の中にすべての証拠がある、そう確信している。

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