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第7列車 のぞみは遅れているか

―何だかんだ忙しく新大阪駅まで「別列車」として戻ってきてしまった。


22番線には、もう数十分以上列車が来ないことにしびれを切らしかけている表情を見せるお客様の姿が多くみられる。


本来、23A列車(のぞみ23号)は私の入線している22番線に到着する列車なのだが、今回番線を変更をしてお隣21番線に到着番線が変更された。

これを「対面接続」と呼ぶ。

特にホームの両方に線路が通っている場合はこのパターンの車両交換が殆どだが、隣に列車が居る場合や時間上の問題で対面接続が出来ない場合は同じ番線発着とし、先に接続元の列車を入線させ、お客様を降ろして車庫や電留線に収納後すぐに接続先の列車を入線させる場合もある。

この場合は時間がかかる為、お客様の負担を減らすべく対面接続が用いられる場合が多いのだ。



じゃあ「23A」という与えられた番号はどうなるのか。


「―列車番号は8023Aで、お客様にはのぞみ23号、とご案内してください。」

点呼担当から告げられた通りだ。

今回の車両交換はあくまで「臨時列車」の扱いとなるようで、千の位が8-9となる。


《京都新大阪間走行中23A後部車掌、応答願います。―》

列車無線から時々23Aを呼び出す無線内容が聞こえる。

「…新大阪到着。停止位置よし。」

普段とはどこか違う雰囲気。今度はNR東海の乗務員ではなくNR西日本の乗務員が乗務してくる。

進行方向を変えずに、運転台は博多方面を向いたままだ。



≪お待たせしました、22番線に到着の電車は のぞみ23号、博多行です。…≫

≪続きまして、21番線に到着している電車は当駅止まり回送列車のぞみ23号です~≫

駅員も思わず同じ列車の番号を2階もあげてしまっていた。

こちらの「()()()」のぞみ23号は、「()()()」のぞみ23号を待って、お客さまを乗せ換えてから発車するが、新大阪から乗車のお客様をいち早く載せるべく、いちはやく乗務員が乗り込んでくる。


直ぐにドア灯が消え、ドアが開いた。


ビーイッ

『こちら16号車車掌、ブザー・マイク良好でしょうか?どうぞ。』


『こちら運転手。ブザー及びマイクともに異常点はありません。』

『―なお、本日臨時車交の為、使用編成X0編成・NR東海の神代が担当します。よろしくお願いします。』


『あぁ、あの神代さん。車掌は柏木です。宜しくお願いします、何か分からない事あったらすぐ知らせてくださいね。』


『…ご協力感謝します。以上。』



まもなく、出発前点検中にNR西日本の運転手がこちらに来た。

今日は私以外、乗務員全員がNR西日本の方々となる。

普段合わない人々であるだけに、緊張が走る。


乗務員扉が開いた。

「23A補助運転士です、車両外観問題ありません。よろしくお願いしま~す。」

深々と頭を下げる、女性用の乗務員帽を着用した運転士…

「23A本運転士の神代です。よろしくお願いしますね。―若菜サン。」


「―って、わかっとったんかい!」

一本のツッコミをここで一発かまされた。

セミロングに制帽をテキトーにかぶった彼女は圓通寺若菜(えんつうじ わかな)

私と同期の女性運転士で、この新幹線の常務員交代の時散々会った末から仲良くなった。古き良き友人だ。

新大阪から博多までの西日本区間を担当している。


「んもー…こっちは急いでておふざけしてる場合じゃあないの。」


「そんなん分かってるよ~。今日も大変やね~?」


「う~む、まぁね。西日本を走るのは試運転の時以外は無いからアレだけど、車両交換はよくある事だから。」


「さっすがぁ、ベテラン運転士。経験も多いんや。」

「―あっ、来た来た。」


21番線に、定刻より35分遅れたのぞみ23号が入線。

遅延魔のぞみ宜しく、ドアが開くとともに多くのお客さんが降りてきた。

「おおぃ~っ、神代ぉ。23号をよろしく頼むわ!」


「あ、はぁい!」


「なんだ、他社区間(山陽新幹線)もあんたと圓通寺担当かぁ!」


「そうです、エクスレイに慣れてるの私しかいないんで!」


向うがわの運休になったのぞみの乗務員窓から、私より少し上の運転士と大きめの声で挨拶。

皆、お客様は7割方会社員風の方かOLっぽい人ばかり。

平日の「再速達列車」の輸送需要を改めてここで思い知る。

って、そんな事を能天気に考えている暇はない。

とっとと対面立合いを済ませて、発車しなければ。


『…こちら総合指令、8023Aは、乗車完了次第速やかに新大阪22番を出発してください。』


「『了解しました!』…ほら若菜、そんなとこ突っ立ってないでさっさと乗って。」


「なぁ~に、さっちゃん機嫌悪くない?」


「んな、そんなことないよ…」


背後でまた、ドアの閉まる音がした。

「…戸閉灯よし、信号開通、ブレーキ緩解よし。」



『―新大阪、出発。37分45秒延。』

遅れた35分分の乗客と23号からの乗客を乗せてほぼ満員に近い状態で、新大阪を定刻より37分遅れて圓通寺と神代、タッグを組んだ2人とともに発って行った。



新大阪で運休となったのぞみ23号は、手立てがなく…

発って行った23号をよそにそのまま車輌区へと向かっていったのだった。

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