小島攻略4
朝8時に目覚ましがなる。いつもなら耳障りな目覚ましも今日は癒しのメロディに聞こえた。なぜなら今日はデートの日。ここで攻略できるかの命運が決まる。いつもは着ない勝負服に着替え、いざ出陣。
いつもと同じ道も全く別物に見える。今までにここまで緊張したことはない。大手企業の面接よりも緊張している。
待ち合わせの30分前に集合場所である駅についた。
さすがにまだいないだろうと思っていたら凛々しい姿で待っている小島がいた。いつもと違って私服に少し見とれてしまった。すると小島がこちらに気がつき手を降ってこっちへ向かってくる。
「おはようございます!」
「おはよう!早いね?まだ30分前だよ?」
「気合い入ってしまって早く来てしまいました」
そう言い微笑んできた顔はまるで天使のような笑顔だった。
「じゃあとりあえず行こっか。」
笑顔が可愛すぎて私服を褒めるのを忘れてしまった。危うくファンになってしまうところだった危ない危ない。総選挙で桐山咲を一位にさせるために大手企業を辞めてマネージャーになったのだからそれを忘れてはいけない。そう自分に言い聞かせた。
「どこにいくんですか?」
「とりあえず朝ごはんまだでしょ?どっかお店にでも入ろうよ!何が好き?」
「私はパスタが好きです。」
「じゃあイタリアンの店に入ろう」
とりあえず王道に人気のあるイタリアンの店に入っとこう。
「ここのパスタはやっぱり美味しいですね」
やはり王道の店に入っておいてよかった。ひとまず食事をとったがこのあとどうしようか、正直に言うと何も考えてなかったのだ。
「このあとどうします?」
こういうときは男がリードをするものだろうが僕はオタクと仕事しかしてこなかったから分からないんだよ。
「どうしよっか。なんかしたいことある?」
「そうですね、じゃあ近藤さんの家に行きたいです」
「え?僕の家なんかでいいの?何もないよ?」
「近藤さんの家に行きたいんです。」
モジモジと照れてる姿はやはり可愛い。
ご所望通り、僕の家にいくことになったがなぜ僕の家に行きたいのか、全く謎だ。
「狭いとこだけどくつろいで。適当に座ってて、いまお茶でもいれるね」
「わざわざすみません!」
家に着き、小島はキョロキョロと家を興味津々のようだ。
「はい!ただ麦茶だけどどうぞ」
「ありがとうございます!」
ゴクゴクと麦茶を飲む音だけが部屋に響く。
シーンとした空気が続き、少し気まずい。
どうしよう、何か話さないと。
「あの…」
「ど、どうしたの?あ、お菓子もあるけどいる?とってくるよ」
「私、近藤さんが好きです。」
いきなりの告白に固まった。なぜだ?まだ何もしていないのに。今回のデートもご飯を食べて家に来ただけだし好かれる要素が見当たらない。
「え?それって人として?」
「男性としてです。」
凄く真剣な顔をしている。こんな小島は見たことがない。
「でもいいの?俺なんかで。」
「今まで誰にも頼らずに生きてきました。私は人間不信なんで誰にも心を開けなかったんです。だけど近藤さんなら全てをさらけ出せる、そう思ったんです。」
まあ信用してもらえるのは嬉しいが信用できるほど良い人間じゃないよ。
「そうか。凄く嬉しい。俺も小島とはこの先も一緒にいたい」
「じゃあ…」
「だけど小島はアイドルだから恋愛は禁止。だから…」
誰にもバレないように内緒で付き合おう、そう言おうとした時、小島が予想もしなかったことを言う。
「なら私、アイドルを辞めます」
「え?えええーー?」
押し潰されそうになるくらいの凄い覚悟だ。
でも計画とは違うがアイドルを辞めさせればライバルが減り、結果的に成功と言える。
「分かった、小島がアイドルを捨てても僕を選んでくれるなら僕はその気持ちに答える」
「本当に…?嬉しいです。これからも近藤さんと一緒にいれるんですね?」
小島が泣き始めた。
「どうしたの?大丈夫?」
「大丈夫です。ただ嬉しくて」
少し心が痛いが桐山咲のためだ。
こうして小島はアイドルを辞めた。




