『プロローグ』
冬が始まります・・・。
朝。
家を出る時。
玄関のドアを開いて見上げた空は、青く澄んでいた・・・。
『本当に、こんなに晴れた日に、初雪が降るの?』
それが私が見た今日の外の最初の印象。
今朝は、家族の中で最後に家を出る事に成った私は、鍵を制服のポケットから取り出して家のドアの錠をカチャリと掛け、確認の為にドアノブを掴んでグリグリとネジって確かめた。
そうして確認を終えた私は、まだ手に持っていたドアの鍵をカバンにしまった。
玄関前の2段の階段を下りもせずに振り返った脚で立ち止まった私は、もう一度、空を見上げ太陽の方向を確かめた。
『眩しい・・・あっちが東・・・。だから、反対側が西・・・。だから
・・・。』
「雪雲さんは・・・あっちの方から来るんだよね?」
独り言を小声で呟いた私が見た西の空は、不安な程に爽やかな青色だった・・・。
「ちゃんと時間には間に合ってよね?雪雲さん・・・。」
『じゃないと、私の小さな企みは・・・。』
普段は、雨雲だろうと羊雲だろうと、空飛ぶ雲に〖さん〗なんて付けた事が無い私だったのだけれど、この日の朝は、雪雲に〖さん〗を付けずには居られなかったのだ・・・。
なんて・・・そんな言い訳をいったい誰に対しての照れ隠しとして思い付いたのだろう・・・。
一人でテレテレしてしまった私は視線を水平に戻し、前を向いて歩き始めた。
『今日は真っ直ぐ向かうんだ!』
今度は歩きながらジャンプしそうになった自分の気持ちの高ぶりと脚をグッと抑えて堪えた・・・。
『朝から一人で、私は何をしてるのだろう・・・。』
自分に呆れた私は、また気付かない内にテレテレしていた・・・。
『初雪が降る前に、アナタに逢いたい・・・・。』
私は繰り返しそう思いながら、歩道の上で脚を早める。
気象予報が、今日の18時頃には平地でも雪が積もると予想したこの日。
私の小さな計画は、昨夜からヒッソリと進行していたのだけれど・・・。
きっとこの後。
夜には全ての辻褄を合わせる事が出来て・・・・。
その後は、甘い安らぎの時間が待っている・・・・筈・・・。
この日の朝は、空が青く澄んでました・・・。
そして、このところの寒さに慣れた私の体には、朝の空気がまだ少し暖かく感じられていて・・・それが、少し・・・不安だったのです。




