表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄のあとで辺境(魔境)行きになった王子  作者: 美雪
第九章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

96/114

96 竜族の救世主



 ドラクーンからヴァルールに戻ったリオンは、フリューゲルと共に北東エリアの焼肉屋に行った。


「竜王に会ってきた。竜貨幣の改善を検討してくれることになった」


 竜王は猫族であるリオンに謁見を許可してくれた。


 ヴァルールからわざわざ来た理由を説明すると、竜族たちがヴァルールで困っているのは竜族全体に影響する問題だということをわかってくれた。


 まずは竜銅貨の信用と評価を上げるための取り組みを行う。


 あまりにも古い時代のものや出来の悪い貨幣は回収し、品質管理を厳しくする。


 発行数が少ない金貨と銀貨については新規デザインに変更、高品質のものを増産する。


 また、他種族との取引に適さない竜石貨は国内専用の補助貨に切り替える。


 金属貨幣の発行数を大幅に増やしながら、徐々に竜石貨の流通を縮小していくことになったとリオンは説明した。


「竜石貨の価値がなくなるかもしれないって不安になったなら手をあげてほしい」


 店内にいた竜族たちは勢いよく手を上げた。


「大丈夫だ。ドラクーンにある銀行に口座を作って、竜石貨を全部預けるだけでいい。引き出す時は自動的に金属貨幣になる」

「なるほど!」

「簡単だ!」

「ここにいるのは輸送関係者だから、ドラクーンへ行ける者も多いと思う。機会がない者は、ドラクーンによく行く者に頼んで銅貨と変えてもらえばいい。竜族の国では銅貨と石貨の交換レートが発生しない。ドラクーンの銀行に石貨を預けることができる者であれば、石貨と銅貨の単純な交換だけで損をすることはない」


 竜族たちに大きな安心が伝わった。


「他にも伝えたいことがある!」


 フリューゲルが力強く叫んだ。


「俺は幼少時の事故で片方の角が折れてしまい、見目が悪いということで別の角をつけていた。だが、治療方法がわかった!」


 フリューゲルはリオンの保護者アーネストが治療してくれたことを話した。


「今ある角は両方共に俺自身の角だ! 魔法で治療できた!!!」

「おおーーーー!!!」

「すごいーーーー!!!」

「奇跡だーーーー!!!」

「店に入って来た時から気になっていた!」

「よかったな!!!」

「折れた角を治療できるようになったのか!」


 歓喜と祝福が溢れた。


 竜族にとって角は種族特性であり、竜族であることの証。


 それが失われることは竜族でなくなるようなもの。


 全く治療する術がないからこそ、誇りだけでなく自らの存在価値、生きる気力を無くしてしまう者もいた。


 しかし、角が治療できるのであれば、救いがある。


「これからは角を失っても絶望しなくていい。竜王が角の治療方法があることを発表し、治療体制を整えていく。どうかこのことを広め、角の負傷者を勇気づけてほしい!」

「わかった!」

「広める!」

「朗報が二つも!」

「今日、ここへ来て良かった!」

「最高に幸せな気分だ!!!」

「リオン、そしてアーネストのおかげだ」


 フリューゲルは笑みを浮かべながらリオンを見つめた。


「猫族と人間だというのに、竜族が抱える大きな問題を解決してくれた。種族を越えて人々が理解し合い、手を取り合える証拠だ。角だけで相手を判断してはいけない。多くの人々と歩み寄る努力をすれば、人生を変える出会いや大きな力が得られるだろう!」


 店内に力強い拍手と歓声が鳴り響いた。


「竜族の力になれて良かった。この店に来た僕を客として受け入れてくれた竜族、そして、竜王の所へ連れていってくれたフリューゲルのおかげだ。この出会いを大切にしたい。友人になってくれるかな?」

「すでに大恩人だが?」

「友人がいい。その方が遠慮しないですむし、この店に来て美味しい焼肉を食べることもできる。ここの店主はフリューゲルだよね?」


 フリューゲルは驚いた。


「調べたのか?」

「この店は繁盛している。自前で改装資金を用意できないのはおかしいと思った。でも、その理由は竜石貨での支払いサービスを提供しているからだ。フリューゲルは魔物討伐で稼いだ王国貨幣を店につぎ込んで、竜族のために店を維持しようとしてきた。そうだよね?」

「さすがだ。鋭いな」

「僕はフリューゲルも竜族もこの店も好きだ。時々、食事に来てもいいかな?」

「いつでも来てほしい。大歓迎する」


 フリューゲルは笑顔になった。


「全員で祝杯を上げたい。店主判断で乾杯の飲み物をサービスする!」

「聞いたな? 全員で乾杯だ!」

「おおーーー!」

「さすが店主!」

「竜族の問題が解決したことに乾杯だ!」

「竜族の救世主にも乾杯しよう!」


 店内には竜族たちの喜びと熱気に溢れ、乾杯の声が飛び交った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ